金価格、半年で約10%下落 モルガン・スタンレーが見る3つの支え

Photo by Zlaťáky.cz on Unsplash[写真拡大]
金価格は過去6カ月で約10%下落している。米国債利回りの上昇や米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測が利息を生まない金の重荷となるなか、モルガン・スタンレーは、中央銀行や中国による需要、政府債務への懸念、インフレ圧力の緩和という3つの要因が金相場を支える可能性があるとみている。
金は9月下旬、米国債利回りの急上昇を受けて売りが加速し、一時約7週間ぶりの安値まで下落した。米10年国債利回りは9月29日に5.293%まで上昇し、2007年以来の高水準を付けた。
モルガン・スタンレーの金属・鉱業戦略責任者エイミー・ガウアー氏はCNBCの番組「Squawk Box Europe」で、「金を保有する理由はまだ数多くある」と述べ、1トロイオンス4000ドルを「かなり強い下値」とみていると語った。同氏は今後12カ月の金相場について強気の見方を維持している。
■中央銀行、中国の金需要が下支え
ガウアー氏が挙げた第1の要因は、中央銀行を中心とする現物需要である。
世界金協会(WGC)によると、各国中央銀行は7月に合計23トンを純購入した。中国人民銀行が20トン、ポーランド国立銀行が8トンをそれぞれ買い増し、主要な買い手となった。
ポーランドの2026年1〜7月の購入量は90トンに達した。中国人民銀行は7月まで21カ月連続で金を購入し、7月の20トンの増加は2023年10月以来の大きさだった。
中国では中央銀行以外の投資需要も続いている。WGCによると、中国の金ETFは7月に資金流入となり、保有量は前月から5トン増の282トンとなった。
ガウアー氏は「中国には非常に強い金への需要があるようだ」と述べた。
■政府債務への懸念と高金利の綱引き
第2の要因は、世界各国の政府債務と財政の持続可能性を巡る懸念である。
一方、足元の国債利回り上昇は金には逆風となっている。債券は利息を生むのに対し、金自体には利回りがないため、金利上昇局面では金の相対的な投資魅力が低下しやすい。
ガウアー氏は、長期国債市場への政策対応などによって利回りが低下する展開になれば、この関係が金に有利に転じる可能性を指摘した。
「長期債市場への介入がさらに進み、利回りが再び低下したらどうなるだろうか」と述べた。
■原油安ならインフレ圧力緩和も
第3の要因は、エネルギー価格を通じたインフレ動向である。
米国とイランを巡る中東情勢を背景に原油価格は高止まりしてきたが、中東からの原油輸出は持ち直している。外交協議が緊張緩和につながり、原油価格が下落すれば、インフレ圧力が和らぐ可能性がある。
ガウアー氏は「原油価格が下がったらどうなるだろうか」と問いかけた。
インフレ圧力の低下は、FRBが追加利上げを続ける必要性を弱める可能性がある。利上げ観測が後退すれば、米国債利回りやドルへの上昇圧力が弱まり、金の相対的な魅力を支える要因となり得る。
米商務省経済分析局(BEA)が9月30日に公表した8月の個人消費支出(PCE)物価指数を受け、市場では10月27〜28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げ観測が後退した。CMEのFedWatchに基づく利上げ確率は39%と、指標発表前の45%から低下した。
金価格は指標発表直後に上向く場面もあったが、その後は国債利回りやエネルギー価格の上昇が重荷となった。9月30日午後のスポット金は1トロイオンス4152.86ドルと前日比0.7%下落し、9月を通じては6.6%安となった。
金相場は2026年第4四半期も、FRBの金融政策、インフレ・雇用などの経済指標、原油価格、地政学情勢の影響を受けやすい展開が続きそうだ。
※この記事はInternational Business Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
スポンサードリンク
関連キーワード
