キーウのデータセンター攻撃、約10万世帯でネット障害 空襲警報の通知にも懸念
ロシア軍による2026年9月23日から24日にかけての攻撃で、ウクライナの首都キーウにある複数のデータセンターや通信設備が損傷した。ウクライナのデジタル変革省によると、23日の攻撃後、キーウと周辺の約10万世帯でインターネット接続に問題が生じた。通信障害は、住民がスマートフォンで受け取る空襲警報にも影響し得る。
■複数の通信事業者に被害
インターネット監視団体NetBlocksによると、23日の攻撃後、Kyiv Link、Pavutyna、UTELS、Crazy Networkの少なくとも4事業者で接続の一部が失われた。複数の事業者が機器や通信経路を置く施設が被害を受けると、障害は施設の利用者に広がる。
UTELSは、基幹機器を置くデータセンターが停電し、サービスに支障が出る可能性を伝えた。Pavutynaは、攻撃でデータセンターなど複数の設備が損傷し、ネットワークのほぼ半分が一時停止したと説明している。
Crazy Networkによると、キーウの通信拠点への攻撃で、キーウに加えビンニツァ州とフメリニツキー州の利用者にもインターネットと電話の障害が及んだ。24日にはKievnet、Domonet、Faustも設備の被害を報告した。各社は機器の修理や予備経路への切り替えを進めた。
被害は接続事業者以外にも広がった。MiroHostの創業者オレクサンドル・オルシャンスキーによると、同社の設備が入るウクライナ国内のデータセンターは破壊された。CityHostも、キーウのデータセンターに置いていた機器の一部が破壊され、サービスに支障が出たと報告した。
■ネット経由の空襲警報に生じるリスク
ウクライナでは屋外サイレンに加え、公式アプリ「Повітряна тривога(空襲警報)」やメッセージアプリなどを通じても警報が伝えられる。接続が途絶えた利用者は、その回線を使うアプリの通知や更新情報を受け取りにくくなる。約10万世帯という数字は通信障害の規模を示すもので、全世帯で警報が届かなかったことを示すものではない。
アンドリー・シビハ外相は、ロシアが主要なデータセンターを標的とし、情報の流れを妨げようとしていると述べた。ミサイルやドローンの脅威を迅速に知らせる警報は人命を救うとして、被害を受けた施設を重要な民生インフラと位置付けている。
屋外サイレンなど別の警報手段もある。一方で、アプリやメッセージで情報を確認する住民にとって、地域の通信障害は避難を判断するための情報へのアクセスを狭める。23日のキーウへの一連のドローン攻撃では2人が死亡し、少なくとも43人が負傷した。
■破壊された設備の復旧と分散
23日のキーウ・ソロミャンスキー地区の被害を伝える写真の説明では、データセンターと通信設備が入る建物への攻撃に、ジェット推進型ドローン「ゲラン5」が使われたとされる。ただし、被害を受けたすべての施設で同じ機種が使われたと確認されたわけではない。
ウクライナ国防省情報総局が公開するゲラン5の機体資料では、弾頭重量は90kg、巡航速度は時速450~600km、航続距離は950kmとされる。通信設備が物理的に破壊された場合は、機器や回線の交換が必要になる。攻撃による接続障害の復旧には、予備設備や別の通信経路の有無も関わる。
キーウのインターネット交換点「1-IX」の関係者アナトリー・フロレンコフは、9月に入ってデータセンターや通信拠点への攻撃が強まったとの見方を示した。先行する被害として、7月2日にはデータセンターへの攻撃で複数の事業者に障害が生じ、9月11日にはKyivstarの技術部門のオフィスが損傷した。Kyivstarは11日の攻撃後、自社のネットワークは通常どおり稼働していると発表した。
フロレンコフは、機器の複製、予備の通信経路、拠点の分散を障害対策として挙げる一方、費用が事業者の負担になると指摘する。MiroHostによると、国外の設備を利用する顧客約90~95%は今回の被害を受けなかった。ウクライナ国内で損傷した設備の復旧作業は、9月25日時点でも続いていた。
■攻撃対象をめぐる主張
ロシア国防省は、23日にキーウのNew-TelcoとUnited DCを攻撃したと発表し、ウクライナ軍や治安機関の通信などに利用されていたと主張した。両施設の具体的な利用実態について、独立した確認は得られていない。シビハ外相は、データセンターは住民が重要な情報にアクセスするための民生インフラだと反論している。
ジュネーブ諸条約第一追加議定書では、軍事目標に該当するか疑わしい民用施設は民用物と推定する。攻撃できる軍事目標かどうかは、軍事行動への効果的な寄与と、その時点で攻撃から得られる明確な軍事的利益などに照らして判断される。施設名や政府機関との関係についての主張だけで、今回の個々の攻撃の適法性は決まらない。
国際刑事裁判所(ICC)は、ウクライナの民生インフラに対する過去の攻撃をめぐり、ロシア軍関係者への逮捕状を発付している。また、空襲警報を伝えるモバイルデータサービスを妨害したサイバー攻撃も、捜査対象に含まれると報じられた。今回のデータセンター攻撃について、ICCが個別に捜査対象としたとの発表は確認されていない。
元記事: Russian Drones Destroyed Kyiv Data Centers, Silencing Air Raid Alerts for 100,000 Homes
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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