NASAローマン宇宙望遠鏡、燃料は「少なくとも22年分」 初回軌道修正で計画の1割未満

2026年9月16日 20:37

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記事提供元:Tech Times

ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡を搭載して打ち上げられるSpaceXのFalcon Heavy=2026年8月30日(写真:NASA)

ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡を搭載して打ち上げられるSpaceXのFalcon Heavy=2026年8月30日(写真:NASA)[写真拡大]

NASAは、ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡について、少なくとも22年間の科学運用に使える推進剤があるとの見通しを明らかにした。初回の中間軌道修正で消費した推進剤が計画の1割未満にとどまったことに加え、打ち上げ時に余分に搭載できた燃料や、今後の軌道修正で見込まれる節約分を反映した推計である。

ローマンは2026年8月30日、SpaceXのFalcon Heavyで米フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられた。現在は太陽・地球系の第2ラグランジュ点であるL2へ向かいながら、機器の起動、調整、校正を進めている。

■初回軌道修正の消費量は計画の1割未満

ローマンの運用チームは8月31日、L2へ向かう軌道を調整するため、最初の中間軌道修正を実施した。NASAによると、この噴射は99%を超える精度で行われ、消費した推進剤は約40ポンド(18kg)だった。

NASAはこの軌道修正に441ポンド(200kg)の推進剤を割り当てていたため、実際の消費量は計画の1割未満にとどまった。初回噴射で節約できた推進剤は、潜在的な科学運用期間を約4年延ばす効果があると見積もられている。

NASAゴダード宇宙飛行センターのジェイミー・ダン所長は、軌道力学チームの計画、運用チームによる実施、SpaceXの正確な打ち上げの結果として、ローマンには少なくとも22年間の科学運用に使える燃料があると説明している。

この22年という数字は、推進剤に基づく潜在的な運用可能期間を示す。ローマンの基本ミッションは5年間で、その後の延長ミッション5年間を合わせ、合計10年分の燃料を確保する設計だった。今回の見通しでは、その期間が2倍以上になる。

■軽い機体に余分な推進剤を搭載

燃料の余裕を生んだもう一つの要因が、実際の機体質量が当初想定より軽かったことである。

ローマンの推進剤予算は、機体の最大質量を2万1605ポンド(9800kg)とする保守的な想定に基づいて算定されていた。実際の打ち上げ時質量は1万7760ポンド(8056kg)で、想定上限を3845ポンド(1744kg)下回った。

機体が軽ければ、同じ速度変化を得るために必要な推進剤も少なくなる。さらにローマンでは、10年間の運用要件に必要な量を超えて、推進剤タンクを容量いっぱいまで満たすことができた。

NASAゴダード宇宙飛行センターでローマンの推進系を担当するアリソン・ラオは、宇宙機の質量は設計・製造中に変化するため、燃料不足を避けられるよう一定の最大値を基準に推進剤予算を組むと説明した。ローマンは想定より軽くなったため、10年分だけでなく、タンクの容量まで推進剤を搭載できたという。

この追加搭載分によって、科学運用期間はさらに約4年延びる可能性がある。

■今後の軌道修正でも約4年分を見込む

中間軌道修正は、打ち上げロケットから分離された宇宙機が目的地へ向かう途中で、軌道のずれを補正するために行う噴射である。ローマンの場合、Falcon Heavyによる軌道投入の精度が高かったため、初回の修正量を小さく抑えることができた。

初回の軌道修正が高精度で実施されたことで、2回目の中間軌道修正も非常に小規模になると予測されている。NASAは2回目の噴射を9月後半に予定しており、その後、打ち上げから約100日後となる12月初旬ごろにL2周辺の軌道へ投入する計画だ。

NASAの現時点の予測では、2回目の中間軌道修正とL2への軌道投入でも、計画より少ない推進剤で済む可能性がある。この節約分は、潜在的な運用期間をさらに約4年延ばす要因として、22年という見通しに含まれている。

ローマンがL2周辺の軌道に入った後は、軌道を維持するため、およそ28日ごとに小規模なステーションキーピング噴射を行う。初期の軌道修正や軌道投入で節約できた推進剤を、長期的な軌道維持に回せることになる。

■22年は実際の寿命を保証する数字ではない

推進剤はローマンの主要な消耗資源であり、その残量は運用期間を左右する重要な条件となる。一方、少なくとも22年という見通しは、ハードウェアを含む宇宙望遠鏡全体が22年間確実に稼働することを保証するものではない。

実際の運用期間は、今後の軌道修正やステーションキーピングでの燃料消費、機器や宇宙機本体の状態、将来の科学運用方針などにも左右される。NASAの発表は、推進剤の面では当初の10年間を大きく超える余力を確保できる可能性を示したものだ。

同様の燃料節約はジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡でも生じている。ウェッブは2021年12月の打ち上げと、その後の中間軌道修正で推進剤の消費を抑え、NASAは当初、10年間を大きく超える科学運用を支えられる可能性があると説明していた。

■広視野で暗黒エネルギーや系外惑星を調査

ローマンの主観測装置である広視野装置は、約3億画素の赤外線カメラである。1回の撮影で満月の見かけの大きさより広い範囲を捉えられ、ハッブル宇宙望遠鏡の赤外線画像と比べると、撮影できる空の範囲は約200倍に達する。

この広い視野を生かし、暗黒エネルギー、暗黒物質、銀河の形成と進化、太陽系外惑星などを調べる。天の川銀河中心部の観測では、手前の天体の重力によって背景の恒星が一時的に明るく見える重力マイクロレンズ現象を利用し、系外惑星を探す計画である。

コロナグラフ装置は、恒星の強い光を抑えて、その周囲を公転する惑星や塵の円盤を可視光で観測するための技術実証を担う。NASAは9月1日に同装置を起動し、地上から各構成要素と通信して制御できることや、温度制御が想定通り機能していることを確認した。

広視野装置も9月に起動され、18基の赤外線検出器、校正システム、光学素子を切り替える機構、焦点調整機構などの初期確認が行われた。NASAによると、広視野装置は現段階で期待通りに動作している。

■L2到着に向けて初期確認を継続

ローマンはL2まで約3カ月かけて移動しながら、宇宙機と観測装置のコミッショニングを進めている。コミッショニングでは、各システムの起動、調整、校正を行い、本格的な科学観測に備える。

NASAはローマンの最初の科学画像を2027年初めまでに公開する予定としている。少なくとも22年という燃料面の余力が実際の長期観測につながれば、広い範囲を繰り返し観測し、時間とともに明るさや位置が変化する天体を追跡する機会も拡大する。

今後は、9月後半に予定される2回目の中間軌道修正と、12月初旬ごろのL2周辺への軌道投入が、燃料見通しを左右する次の重要な節目となる。

元記事: NASA Roman Telescope Confirms 22-Year Science Life After First Burn Used Just 9% of Fuel

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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