SpaceX、Flight 14でスターシップ初の軌道飛行へ 打ち上げ日は未確定

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SpaceXのスターシップ第14回飛行試験「Flight 14」では、同機として初めて上段を地球周回軌道へ投入し、次世代通信衛星Starlink V3を展開する計画が示されている。米連邦通信委員会(FCC)への関連申請には2026年9月15日を前提とした記述があるが、これは確定した打ち上げ日ではない。打ち上げと再突入には米連邦航空局(FAA)の認可も必要となる。
■スターシップ初の軌道投入を計画
これまでに実施された13回のスターシップ統合飛行試験では、上段のShipは地球を一周する軌道には入らず、宇宙空間を飛行した後に大気圏へ再突入する準軌道飛行を採用してきた。Flight 14が計画通り軌道投入に進めば、スターシップにとって初の地球周回飛行となる。
SpaceXがFCCへ提出したFlight 14関連の申請には、軌道飛行を行う第2段を含むことや、Starbaseから打ち上げるShipの通信に使用する周波数が記載されている。別の衛星通信関連の申請には9月15日を前提とした運用期間が示されており、複数の申請から、軌道投入とStarlink V3衛星の展開を目指す計画が読み取れる。
ただし、FCCが扱うのはロケットのテレメトリや衛星通信などに使用する周波数であり、申請や認可だけで打ち上げ自体が許可されるわけではない。米国で商業ロケットを打ち上げ、機体を再突入させるにはFAAの認可が必要になる。SpaceXは記事公開時点で、Flight 14の正式な打ち上げ日時や詳細なミッション概要を発表していない。
Flight 14に使用されるSuper HeavyブースターとShipは、打ち上げに向けた燃焼試験を進めている。Super Heavyには33基のRaptor 3エンジンが搭載され、上段のShipは海面高度用と真空用を合わせて6基のRaptorエンジンを使用する。軌道投入へ進むには、機体の準備に加えて規制当局の手続きも完了する必要がある。
■従来の準軌道飛行との違い
地球周回軌道へ入るには、高度を上げるだけでなく、地球の重力に引かれながら落下し続けるのに十分な水平方向の速度が必要となる。低軌道では秒速約7.8kmが一つの目安となり、機体は地表へ落下する代わりに地球の周囲を回り続ける。
Flight 13までのShipも宇宙空間へ到達していたが、予定された経路は地球を周回しない準軌道だった。これに対してFlight 14では、軌道投入後に衛星を展開し、さらに再突入へ向けて軌道離脱噴射を実施する飛行が想定されている。
軌道離脱噴射では、宇宙空間でRaptorエンジンを再点火して速度を落とし、再突入する時刻と経路を調整する。軌道投入から衛星展開、軌道離脱、再突入までを一連の飛行として成立させることが、今回の重要な試験項目となる。
■Flight 13でV3衛星展開と再点火を実証
2026年7月24日に行われたFlight 13では、StarshipとSuper HeavyのV3機体が使用され、33基のRaptor 3によるSuper Heavyの上昇に続いて、Shipが6基のエンジンで予定された速度と飛行経路に到達した。
Flight 13では、次世代のStarlink V3衛星20機が初めて放出された。これらの衛星は運用軌道へ投入するものではなく、Shipと同様の準軌道を飛行した後、展開から約20分後に大気圏へ再突入する計画だった。SpaceXによると、同社は20機すべてと無線およびレーザー通信を確立し、テレメトリを受信した。
Shipは衛星展開後、宇宙空間でRaptorエンジン1基を再点火した。これは将来の軌道ミッションに必要となるエンジン再始動能力の実証であり、Flight 14で計画される軌道離脱噴射につながる成果となった。
Flight 13のShipはその後、大気圏へ再突入し、将来のStarbase帰還を想定した機動を行ったうえで、インド洋の予定海域へ軟着水した。Flight 14では、この飛行実績を基礎として、地球周回軌道への投入と軌道離脱を加えた、より複雑な飛行に進むことになる。
■Starlink V3の本格展開に必要なスターシップ
Starlink V3は、SpaceXが開発する次世代の低軌道通信衛星である。同社によると、V3は1機当たり1Tbpsのダウンリンク容量と160Gbpsのアップリンク容量を持つ設計で、V2世代と比べてダウンリンクは約10倍、アップリンクは約22倍に増える。
各V3衛星には、改良されたフェーズドアレイアンテナのほか、1基当たり400Gbpsに対応する衛星間光通信装置を6基搭載する。地上局などとのバックホール通信にはKa、E、V、Wの4周波数帯を利用するアンテナを備え、SpaceXはV2世代より大幅に高い通信容量を計画している。
V3衛星は従来世代より大型かつ高性能で、その本格的な打ち上げにはスターシップの広いペイロード区画と輸送能力を活用する。SpaceXは、V3衛星を搭載したスターシップ1回の打ち上げによって、Starlinkネットワークに約60Tbpsのダウンリンク容量を追加できるとしている。これはFalcon 9でV2 Miniを打ち上げる場合の20倍超に相当するという。
この数値は衛星やロケットの設計上の能力を基にしたSpaceXの公表値であり、利用者が実際に得られる通信速度は、地域の利用状況、地上設備、端末、周波数資源など複数の条件に左右される。それでも、V3の展開ペースを高められれば、需要の大きい地域でネットワーク容量を増やす手段となる。
Flight 13ではV3衛星の放出機構と通信を準軌道飛行で試した。Flight 14でV3衛星を運用可能な軌道へ投入できれば、スターシップがStarlinkネットワークの拡張に直接使われる段階へ進むことになる。ただし、今回搭載される衛星の確定数や最終的な投入軌道については、SpaceXによる正式なミッション概要を待つ必要がある。
■再突入に必要な宇宙空間でのエンジン再始動
軌道に入ったShipを予定海域へ戻すには、適切な時刻にエンジンを再点火し、軌道離脱噴射を行わなければならない。Flight 13ではRaptorエンジン1基の宇宙空間での再点火に成功したが、Flight 14では軌道飛行後の再突入経路を設定するための実運用に近い操作となる。
軌道投入に成功しても、計画された軌道離脱噴射を実行できなければ、予定した海域へ正確に再突入させることはできない。このためFlight 14では、軌道へ到達する能力だけでなく、軌道上で機体を制御し、安全に離脱させる能力も重要になる。
上段のShipをStarbaseへ帰還させ、発射塔のアームで捕捉する構想もあるが、Flight 14では軌道投入や衛星展開、軌道離脱の実証が中心となる見通しだ。Shipの発射塔帰還と捕捉は、完全再利用運用へ向けた後の段階に位置付けられる。
■Artemis計画にもつながる軌道飛行能力
NASAは、月周回軌道と月面の間で宇宙飛行士を輸送する有人着陸システム(HLS)の一つとして、スターシップの派生型を選定している。SpaceXとの当初契約額は28億9000万ドルで、1ドル154円で換算すると約4450億円となる。その後、後続ミッションに対応するための契約変更も行われた。
スターシップHLSを月へ送る構想では、地球低軌道で複数回の推進剤補給を行う必要がある。極低温推進剤の軌道上移送や長期保管は、SpaceXとNASAが今後実証しなければならない主要技術に含まれる。
Flight 14はHLSそのものの試験ではないが、スターシップが軌道へ到達し、宇宙空間でエンジンを運用し、計画的に軌道から離脱できることは、その後の推進剤移送や月着陸船開発へ進むための基礎となる。
NASAの現在の計画では、2027年のArtemis IIIは地球低軌道で実施する有人実証ミッションとなる。Orion宇宙船と、SpaceXやBlue Originが開発する商業月着陸船とのランデブーやドッキングなどを試し、将来の月面着陸に必要なシステムを検証する。
有人月面着陸は、早ければ2028年初めのArtemis IVで目指す。4人の宇宙飛行士がSLSロケットとOrionで月周回軌道へ向かい、そのうち2人が有人着陸システムに移乗して月の南極地域へ降下する計画だ。月着陸船の開発や軌道上試験には技術面と日程面の課題が残っており、NASA監察総監室も開発の遅れや統合作業をリスクとして挙げている。
■Flight 14で注目される試験項目
Flight 14が計画通り進めば、Super Heavyは33基のRaptor 3で機体を上昇させ、段分離後に所定の海域へ降下する。上段のShipは飛行を続け、地球周回軌道への投入を目指す。
軌道投入後にはStarlink V3衛星を展開し、続いて軌道離脱噴射を実施する流れが想定されている。Shipはその後、大気圏へ再突入し、インド洋の予定海域へ降下する見通しである。
今回の飛行で特に注目されるのは、軌道速度への到達、衛星展開、宇宙空間でのエンジン再始動、軌道離脱、再突入という複数の工程を連続して実行できるかどうかだ。すべてが成立すれば、スターシップは準軌道の開発飛行から、衛星を地球周回軌道へ運ぶ輸送システムへ大きく前進する。
一方、一部の試験項目が予定通りに進まなかった場合も、飛行データは後続機の設計や運用手順に反映される。Flight 14は、Starlink V3の本格展開だけでなく、スターシップの再利用運用、軌道上推進剤移送、有人月着陸船へと続く開発の基礎を確かめる飛行となる。
元記事: Starship Flight 14 Targets First Orbit: Starlink V3 Satellites Falcon 9 Cannot Carry
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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