「バーテックスフォース」10月3日放送開始 沖縄を舞台に姉弟と“エンジン”の謎を描く

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高村和宏監督によるオリジナルTVアニメ「バーテックスフォース」が、2026年10月3日23時30分からTOKYO MX、BS11、群馬テレビ、とちぎテレビで放送を開始する。同時刻からU-NEXTなどで先行配信され、10月10日以降はほかの動画配信サービスでも順次配信される予定だ。
舞台は沖縄北部。父から「エンジン」と呼ばれる力を受け継いだ姉の晴香と、その力を継げなかった弟の明を中心に、世界各地で起きる異変と正体不明の敵をめぐる戦いが描かれる。
■沖縄で暮らす姉弟と受け継がれた力
主人公の東道明は、沖縄北部で姉の晴香、カフェを営む母と暮らす13歳の男子中学生である。人一倍強い正義感を持つ一方、いつも姉に守られる立場にあることや、自分の弱さにコンプレックスを抱えている。
16歳の晴香は明るく天真らんまんな性格で、優れた運動神経を持つ。父から「エンジン」と呼ばれる力を受け継いでいるが、その存在を周囲に隠しながら生活してきた。対して明は父の力を継いでいない。
そんな日常のさなか、世界各地で異変が発生する。姉弟の前には正体不明の敵が現れ、宇宙の命運を背負う少年少女の戦いが始まる。
父親の力が晴香には受け継がれ、明には受け継がれなかったという設定は、姉弟の能力差だけでなく、守る側と守られる側という関係にも結び付いている。明が抱えるコンプレックスと正義感が、より大きな脅威を前にしてどのような選択へつながるのかが、物語の軸の一つになりそうだ。
■「エンジン」と「ENIA」を異なるデザイナーが担当
本作では、海老川兼武がエンジンデザイン、JNTHEDがENIAデザインを担当する。それぞれに異なる肩書が与えられており、劇中でも「エンジン」と「ENIA」が別の位置付けを持つことをうかがわせる。
海老川は「機動戦士ガンダム00」や「機動戦士ガンダム 水星の魔女」などに参加してきたメカニックデザイナーである。JNTHEDも「機動戦士ガンダム 水星の魔女」などでメカニックデザインを手掛けた。
公開済みの映像では、人間の身体とは別の位置に展開する大型の機械的存在や、少年少女とメカが向き合う場面が示されている。搭乗者がコックピットから機体を操縦する従来型のロボット表現とは異なり、人間とメカの距離や関係そのものが重要になる可能性がある。
人の意図や動作を機械の出力に変えるという発想は、現実のブレイン・コンピューター・インターフェースにも通じる。BCIは脳活動から利用者の意図に関係する信号を読み取り、外部機器の操作などに利用する技術である。もっとも、現段階で公表されている作品情報から、エンジンが神経科学や特定の生物学的機構を基礎に設定されているとは確認できない。
それでも、エンジンが使用者とどのように結び付き、晴香の能力や意思をどのような形で外部へ表すのかという点は、人と機械を結ぶインターフェースの発想を重ねて楽しめる部分である。
■「継承」を生物学から読み解く補助線
エンジンは、晴香が訓練によって身に付けた技術や、偶然手に入れた装備ではなく、父から受け継いだ力として説明されている。この「親から子へ伝わり、きょうだいの一方にだけ現れる」という構造は、遺伝や遺伝子発現を連想させる。
生物の形質は、DNA配列だけで単純に決まるとは限らない。遺伝子の働き方は、DNAメチル化やヒストン修飾、非コードRNAなど、DNA配列を直接変更しない調節機構からも影響を受ける。こうした仕組みはエピジェネティクスと呼ばれる。
一部の生物では、エピジェネティックな情報が世代を越えて伝わる現象も研究されている。ただし、哺乳類では生殖細胞や初期胚の形成過程で多くのエピジェネティックな状態が再設定される。特に人間では、環境によって生じた変化が複数世代にわたって受け継がれるという主張について、因果関係を含めて慎重な検証が続いている。
作品側はエンジンの継承機構を詳しく明らかにしておらず、晴香と明の違いを性染色体やエピジェネティクスによって説明しているわけでもない。現実の研究は、エンジンの正体を特定する材料というより、同じ家族でも受け継ぐ形質やその現れ方が異なり得るという、作品設定を読み解く補助線になる。
■沖縄北部という実在の舞台
物語の出発点となるのは、架空の都市ではなく沖縄北部である。公式サイトでも「オキナワ」という地名が明示され、青い海や豊かな自然の中で暮らす明たちの日常が、世界規模の異変へとつながっていく。
沖縄はかつて琉球王国として、中国や日本、東南アジアを結ぶ海上交易を展開してきた。1609年の薩摩藩による侵攻後も王国は存続したが、1879年の琉球処分によって沖縄県が設置された。第二次世界大戦末期には激しい地上戦の舞台となり、戦後は米国の施政下に置かれた後、1972年に日本へ復帰した。
現在も、国土面積の約0.6%を占める沖縄県に、全国の在日米軍専用施設・区域の約70%が集中している。物語の舞台である沖縄北部にも、米軍施設やその周辺地域が存在する。
もっとも、現時点の公式情報には、エンジンの継承を琉球の歴史や文化的記憶と直接結び付ける説明はない。沖縄の歴史をそのまま物語の寓意と見なすのではなく、実在の土地が持つ記憶や安全保障上の位置付けが、少年少女による地球防衛の物語にどのような奥行きを与えるのかが注目される。
穏やかな日常の風景と世界規模の戦いを結び付ける舞台として、沖縄北部がどのように描かれるのか。地域の自然や文化、歴史が物語にどこまで組み込まれるかは、放送後に明らかになる。
■「“正解”は、世界を壊す」が示す選択
ティザービジュアルには「“正解”は、世界を壊す」という言葉が掲げられている。何が正解で、それがなぜ世界を壊すのかは明かされていないが、正義感の強い明や、特別な力を持つ晴香が、単純な善悪では割り切れない選択に直面することを予感させる。
哲学や悲劇作品では、どの選択にも正当な理由がありながら、すべてを同時に守ることができない状況が繰り返し描かれてきた。正しい行動が望ましい結果を必ずもたらすとは限らず、選択には本人の意思だけでは制御できない条件や代償が伴う。
「バーテックスフォース」でも、地球を守ること、家族を守ること、受け継いだ力を使うことが、常に同じ方向を向くとは限らない。タグラインは、登場人物が何を正解と考え、その答えによって何を失うのかという物語を読み解く手掛かりになる。
ただし、具体的な悲劇の構造や結末が公式に示されているわけではない。タグラインが物語全体を貫く命題となるのか、それとも序盤の状況を象徴する言葉なのかは、放送を通じて確かめることになる。
■10月3日から放送・先行配信
TOKYO MX、BS11、群馬テレビ、とちぎテレビでは、10月3日23時30分から放送を開始する。メ~テレでは同日26時30分、ABCテレビでは10月7日27時15分から放送予定である。
U-NEXT、アニメ放題、dアニメストアとその提携サービスでは、10月3日23時30分から配信を開始する。ABEMA、DMM TV、FOD、Hulu、Lemino、Prime Video、TELASA、TVer、ニコニコ、バンダイチャンネルなどでは、10月10日0時以降に順次配信される予定だ。放送・配信日時は編成などの都合で変更される場合がある。
■スタッフ・キャスト
監督とキャラクターデザインは、「ストライクウィッチーズ」「ビビッドレッド・オペレーション」の高村和宏が担当する。副監督は、「ペリリュー 楽園のゲルニカ」を手掛けた久慈悟郎。シリーズ構成は高村と鈴木雅詞が共同で務める。
エンジンデザインは海老川兼武、ENIAデザインはJNTHED、総作画監督は小野田将人、CGディレクターは田所洋行、モデリングディレクターは簡長鵬が担当する。音楽は信澤宣明、アニメーション制作はSMDEが手掛ける。
東道明役は小市眞琴、東道晴香役は本渡楓が演じる。このほか、エレノア・ノースブルック役で小清水亜美、ララ・ズーデンシュタイン役で潘めぐみ、仁科陽子役で高橋李依が出演する。
エレノアは米国生まれの負けず嫌いな努力家、ララはスイス生まれで時計職人を目指す冷静な少女として紹介されている。北海道出身の陽子は心優しい人物だが、過去の出来事に苦しんでいるという。
父の力を継いだ晴香と、継ぐことができなかった明。能力の違いを抱えた姉弟が、沖縄で始まる異変の中でどのような答えを選ぶのか。「バーテックスフォース」は、メカと美少女によるSFバトルに、家族、継承、正義と選択をめぐる物語を重ねる作品となる。
元記事: Vertex Force Opens October 3: Epigenetics and Okinawa History Power New Mecha Anime
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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