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スペースX株に「買い」評価、スターシップ再利用が2兆ドル企業価値の鍵

Photo by SpaceX on Unsplash[写真拡大]
米調査会社ピボタル・リサーチは、米宇宙開発大手スペースX株に「買い」の投資判断を新たに付与し、目標株価を220ドルに設定した。同社が約2兆ドル(約307兆円)の企業価値を正当化できるかどうかは、次世代大型宇宙船「スターシップ」の迅速かつ低コストな再利用を実現できるかに大きく左右されるとみている。
CNBCによると、ピボタルのジェフリー・ウォダルチャク氏は、スターシップが短期間の整備で1機当たり20〜50回飛行できる体制を構築することが最大の課題だと指摘した。航空機のように短期間で繰り返し運用し、飛行のたびに大規模な修復を必要としないシステムの確立が求められる。
ウォダルチャク氏は顧客向けリポートで、「現在約2兆ドルの企業価値を持つスペースXへの投資が成功するかどうかは、非常に大きな単一の技術的ボトルネックにほぼ全面的にかかっている」と述べた。
同氏はスペースXがこの課題を克服すると予想している。ただし、目標株価の達成には、技術開発と運用体制の両面で大きな実行リスクが伴う。
スペースXはこれまでにスターシップの統合飛行試験を13回実施している。最新の第13回試験では、スターシップ上段が予定した飛行経路をたどり、次世代スターリンク衛星20基を放出した後、インド洋に軟着水した。一方、スーパーヘビー・ブースターは着水時に機体を失った。
同社はスーパーヘビーについて、発射塔のアームによる回収や、回収した機体の再飛行を実現している。しかし、スターシップ上段を回収し、整備後に繰り返し飛行させる運用はまだ実証していない。
ロケットを回収できることと、頻繁かつ経済的に再利用できることには大きな差がある。高額な修理を伴わずに1機を数十回使用できれば、製造費を多数のミッションに分散し、軌道への貨物輸送費を引き下げられる。打ち上げ頻度も大幅に高められる可能性がある。
スペースXは株式公開時の投資家向け資料で、スターシップを宇宙輸送、衛星通信、AI事業を垂直統合する事業モデルの中核に位置付けている。完全再利用型のスターシップは、既存のロケットより大幅に多い貨物を運び、1970〜2000年の業界平均と比べて、低軌道への1キログラム当たり打ち上げ費用を99%以上引き下げることを目標としている。
ただし、この費用削減目標の達成には、機体の完全再利用に加え、迅速な整備と高頻度の打ち上げを実現する必要がある。
打ち上げ費用が低下すれば、スペースXは衛星通信サービス「スターリンク」の衛星をより頻繁に配備し、通信容量を拡大できる。地上通信や無線通信市場で顧客獲得を加速させることも可能になる。ピボタルは、スターリンク衛星網を効率的に拡大し、この市場で一定のシェアを獲得できれば、極めて大きな事業機会が生まれると予想している。
同様の費用構造は、軌道上データセンターの構築にもつながる可能性がある。スペースXなどは、太陽光発電や宇宙空間に適した冷却方式を利用し、コンピューティング設備を宇宙に配置する構想を検討している。
この構想は技術面、商業面ともに不確実性が大きい。ただ、宇宙への輸送費が大幅に下がれば、軌道上データセンターの実現を阻む主要な障害の一つが小さくなる。
ウォダルチャク氏は、スターシップによってスペースXが新たな「軌道経済」の重要な関門を握る可能性も指摘した。大量の設備を宇宙へ輸送する最も経済的な手段を同社が支配すれば、軌道へのアクセスを求める企業から手数料を受け取ったり、出資持ち分を取得したりする事業モデルが考えられるという。
ただし、これはアナリストによる将来予測であり、スペースXが軌道輸送市場で独占的な地位を確立していることを意味しない。
スターシップの迅速な再利用を実現できない場合でも、スペースXは大手ロケット打ち上げ・衛星通信事業者として事業を継続できる可能性がある。ただ、現在の企業価値を裏付ける規模には到達できない恐れがある。
ウォダルチャク氏は、スターシップが必要な費用削減を実現するまでは、人工知能(AI)企業xAIやスーパーコンピューター「コロッサス」、スターリンクの顧客採算性を巡る議論は二次的だと主張した。「こうした要素が重要になるのは、スターシップが機能してからだ」と述べた。
CNBCが引用したLSEGの集計によると、スペースXを担当するアナリスト37人のうち29人が「買い」または「強い買い」と評価している。
スペースX株は9日、前日比5.92ドル安の147.55ドルで取引を終えた。ピボタルの目標株価220ドルは、同日の終値を約49%上回る水準となる。
※この記事はInternational Business Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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