SpaceXが米宇宙軍の機密任務を打ち上げへ―搭載物はStarshield衛星か

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米宇宙軍の機密任務「USSF-153」が、米国時間9月10日にカリフォルニア州のバンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられる予定だ。搭載物は公表されていないが、事前に示された飛行計画などから、SpaceXの国家安全保障向け衛星システム「Starshield」に関連する衛星を運ぶ可能性が指摘されている。
今回の任務では、打ち上げロケットと搭載衛星の双方でSpaceXが中心的な役割を担う可能性がある。同社の技術力と打ち上げ能力を活用する合理性がある一方、米軍の重要な宇宙通信基盤を特定企業に依存することへの懸念も米議会で示されている。
■日本時間11日未明に打ち上げ予定
SpaceXの発表によると、USSF-153は9月10日午前8時37分から午前11時37分までの太平洋夏時間の打ち上げ枠で予定されている。日本時間では11日午前0時37分から午前3時37分までに相当する。
打ち上げにはFalcon 9が使われ、バンデンバーグ宇宙軍基地のSpace Launch Complex 4 Eastから発射される。SpaceXは任務名と打ち上げ日時、発射施設、洋上での第1段回収計画を公表しているが、搭載物の詳細は明らかにしていない。
独立系の打ち上げ情報サービスは、USSF-153について、SpaceXのStarshield衛星バスを用いた低軌道衛星を搭載する可能性があるとしている。根拠とされているのは、ロケットの段やフェアリングに関係する飛行区域が、Starshieldとの関連が指摘されてきた過去の打ち上げと一致することだ。
もっとも、これは飛行計画に基づく外部分析であり、米宇宙軍やSpaceXがStarshieldの搭載を正式に発表したものではない。今回のペイロードは、あくまで機密扱いの国家安全保障任務として位置付けられている。
■27回目の飛行を迎えるFalcon 9第1段
今回使われるFalcon 9の第1段は「B1081」で、予定通り飛行すれば通算27回目の使用となる。打ち上げ情報サービスによると、前回の飛行からの間隔は約40日で、段分離後には太平洋上の無人船「Of Course I Still Love You」への着陸が計画されている。
B1081は2023年8月、NASAの有人宇宙飛行「Crew-7」で初飛行した。その後も国際宇宙ステーションへの補給、地球観測衛星、商用ライドシェア、国家安全保障任務、Starlink衛星の打ち上げなどに使われてきた。
Falcon 9の再使用は、SpaceXが高頻度の打ち上げを実施するうえで重要な基盤となっている。同じ第1段を繰り返し使用することで、新しい第1段を毎回製造する方式に比べ、製造工程と機体運用を効率化できる。
一方、個々の打ち上げにかかる詳細な原価や整備費は一般には開示されていない。外部では複数の試算が示されているものの、機体の使用回数だけから今回の任務の実際の費用や採算性を確定することはできない。
■Starlinkの技術を国家安全保障用途に活用
Starshieldは、SpaceXが2022年に公表した政府機関向けの衛星プログラムだ。消費者や企業向けの通信サービスであるStarlinkの技術と打ち上げ能力を活用し、地球観測、政府向け通信、他組織の機器を搭載するホステッドペイロードの3分野を当初の重点領域としている。
SpaceXによると、Starshieldでは機密ペイロードの搭載やデータ処理を想定し、高保証の暗号技術を追加する。多様なペイロードを統合できるモジュール設計を採用し、Starlinkで使われている衛星間レーザー通信端末を、提携先の衛星へ組み込むことも想定している。
衛星間レーザー通信は、衛星同士でデータを中継し、地上局への依存を抑えながら広い範囲へ情報を送るための技術だ。多数の低軌道衛星を相互接続する構成は、一部の衛星や通信経路に障害が起きても、別の経路を利用できる冗長性につながる。
StarshieldはStarlinkで培った技術や生産、打ち上げの仕組みを活用できる点を特徴とする。ただし、USSF-153で打ち上げられる衛星の仕様や数、運用主体、Starshieldネットワーク内での役割は公表されていない。
■拡大する米政府の低軌道衛星網
米国家偵察局(NRO)は、多数の比較的小型な衛星を低軌道へ配置する「分散型アーキテクチャ」の構築を進めている。NROによると、2026年5月に実施したNROL-172は、このアーキテクチャに関係する通算13回目の打ち上げだった。
NROは、次世代システムを含む政府の衛星群として、すでに数百基の衛星を軌道上で運用していると説明している。ただし、機密性の高い計画であるため、各任務に含まれる衛星数や個々の衛星の詳しい機能は公開されていない。
USSF-153にStarshield関連衛星が搭載されている場合、米国政府が進める低軌道衛星網の拡大を支える任務の一つとなる。ただし、USSF-153がNROの分散型アーキテクチャや、米宇宙軍の別の通信計画と具体的にどのような関係にあるかは確認されていない。
■軍事データ網で大型契約を獲得
米宇宙軍は2026年5月、Space Data Network Backboneの開発について、SpaceXと22億9000万ドルの契約を結んだ。この計画は、多数の低軌道衛星を使い、軍のセンサーや指揮系統、各種システムの間で大容量かつ低遅延のデータ通信を実現することを目指している。
SpaceXは契約に基づき、2027年末までに完全に運用可能なプロトタイプ能力を提供することを求められている。同ネットワークは、ミサイルの警戒・追跡センサーから迎撃システムへ情報を伝える通信経路などを支え、米国が進めるミサイル防衛構想「Golden Dome」にも関係する基盤として位置付けられている。
Space Data Network Backboneは、以前は「MILNET」と呼ばれていた計画を引き継ぐ。過去の構想では480基を超える衛星で構成する可能性が報じられていたが、現在の契約で最終的に配備される衛星数は公表されていない。
米宇宙軍は、この契約について、Space Data Network向けの企業共同体を通じて他社にも募集を行った競争的な選定だったと説明している。また、衛星製造やその他のネットワーク要素について、追加の事業者を選ぶ方針も示している。
■競争と企業依存を巡る議論
SpaceXへの依存を巡る懸念は、契約前から米議会で示されていた。2025年6月の上院歳出委員会国防小委員会の公聴会では、Chris Coons上院議員が、競争型でオープンな構成を目指していた宇宙開発局のTransport Layerから、SpaceXの技術を活用するMILNETへ重点が移ることを問題視した。
Coons議員は公聴会で「競争もなく、オープンアーキテクチャもなく、活力ある宇宙エコシステムの活用もない」と述べ、単一企業の独自技術への依存が強まる可能性を指摘した。
当時、Troy Meink空軍長官は、Transport Layerの第2段階にあたるTranche 2への資金は維持されており、MILNETを今後どのような調達方式で整備するかは検討中だと説明した。宇宙軍はその後、Space Data Network BackboneがTransport Layerの既存部分と連携し、統合されたオープンアーキテクチャを形成するとしている。
このため、議論の焦点は、SpaceXとの契約が完全に競争を排除したかどうかだけではない。衛星、通信網、打ち上げという複数の重要機能で同社の役割が拡大する中、代替手段や相互運用性をどのように確保するかが問われている。
■実績を生かす効率性と集中リスク
SpaceXは、衛星の設計・製造から打ち上げ、軌道上での運用までを一体的に手がけている。大量のStarlink衛星を生産・運用してきた経験と、Falcon 9による高頻度の打ち上げ能力を組み合わせられることは、国家安全保障向けの衛星網を短期間で展開するうえで大きな利点となる。
米宇宙軍は、Starshieldを基盤とするシステム以外の選択肢や、複数企業が参加できるネットワーク要素についても検討を進めている。Space Data Network全体では追加の契約先を選ぶ方針が示されており、今後の調達がSpaceX以外へどの程度広がるかが注目される。
多数の衛星を分散配置する設計は、個々の衛星に障害が発生してもネットワーク全体の機能を維持しやすくする。一方で、その構築と打ち上げを担う企業が限られれば、技術、供給、運用面で別の集中リスクが生じる。この二つをどう両立させるかが、米軍の低軌道衛星戦略における重要な課題となる。
USSF-153は、予定通りなら日本時間11日午前0時37分以降に打ち上げられる。SpaceXは打ち上げの約15分から30分前をめどに、自社ウェブサイトで中継を開始する予定だ。機密任務のため、搭載物に関する映像や情報は限定される見通しである。
元記事: Space Force Starshield Launch Thursday: SpaceX Controls Both Rocket and Satellite Backbone
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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