SpaceX相乗り便の予約逼迫で代替需要、欧州がオートファージエンジン開発を本格化

2026年9月10日 00:31

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記事提供元:Tech Times

Alpha Impulsion、Indra、Mecano ID、CT Ingénierieの欧州4社は、ロケットの機体構造の一部を燃料として消費するオートファージエンジン「Garnet」の開発に向け、「European Alliance 2030+」を設立した。目標推力は15トン級で、2029年に技術成熟度レベル(TRL)6に相当する地上実証を行い、2030年代の実用化を目指す。

提携各社は、SpaceXの小型衛星相乗りミッションについて、2028年後半より先の新規予約受け付けが停止されたとの業界報道を事業機会として挙げている。ただし、SpaceXは相乗りサービス全体の終了を公式発表しておらず、同社ウェブサイトでは引き続き予約案内と料金が掲載されている。

■不要になる機体構造を推進剤として利用

オートファージは「自己を食べる」という意味で、飛行中に不要になった機体構造を順次消費し、推進剤の一部として利用する方式を指す。燃焼室の熱で高密度ポリエチレンなどの樹脂製構造を溶融または気化させ、燃焼室へ送り込んで推力の発生に利用する。

従来型のロケットでは、推進剤を消費した後もタンクや機体構造の一部を運び続ける必要がある。機体を小型化すると、搭載できる推進剤の体積に比べて構造質量の割合が大きくなりやすく、小型打ち上げ機の性能を制約する要因となる。オートファージ方式は、機体構造を推進剤として利用しながら飛行中の構造質量を減らすことで、この制約を緩和することを狙う。

この概念は1930年代に特許が出願されており、グラスゴー大学とウクライナのオレシ・ホンチャル・ドニプロ国立大学の研究チームは2018年、推進剤を収めた固体ロッドを加熱部へ送り込むオートファージエンジンの制御燃焼を報告した。ロッドの送り速度を変えることで、燃焼室圧力を調整できることも示した。

グラスゴー大学の別の研究チームはその後、高密度ポリエチレン製の機体を補助燃料として使う三元推進剤型の「Ouroboros-3」を開発した。査読論文として2026年に公表された試験結果では、実験室環境で100ニュートン級の燃焼試験を行い、定常運転時に機体構造が総推進剤質量の5.1~15.7%を占めたと報告している。再始動や間欠運転を含む試験も実施され、より高い推力へ拡大するための基礎データと位置付けられている。

■Garnetは15トン級、4社が技術を分担

European Alliance 2030+が開発するGarnetは、推力15トン、約150キロニュートンを目標とするオートファージエンジンである。直径は80センチで、500kg級のペイロードを扱うマイクロランチャーへの搭載を想定している。

Alpha Impulsionは、オートファージ燃焼の研究開発を統括する。同社のイタリア子会社が、専用試験設備の設計、統合、運用を担当する。

CT Ingénierieは、Garnetと打ち上げ機全体の予備設計、システムエンジニアリングを担う。独自のシミュレーションツールを使用し、エンジン内部の極低温流体と熱流動を解析する。

スペインのIndraは、ミッション解析とGNC(誘導・航法・制御)を担当し、飛行経路を通じた機体性能を評価する。オートファージ方式では機体が飛行中に短くなり、質量や重心位置も変化するため、こうした変化を考慮した制御が必要になる。

フランスのMecano IDは、機体の樹脂製部分をエンジンへ送り込む挿入機構の開発を主導する。この機構には、燃焼圧力に抗して構造材を安定的に供給し、消費速度を制御する役割がある。提携各社は、試験設備や射場をめぐって北欧の企業や機関とも協議しているという。

■2029年の試験でTRL 6を目指す

提携各社は2029年にエンジン試験を実施し、9段階の技術成熟度指標であるTRLのうち、模擬運用環境で試作システムを実証するTRL 6への到達を目指す。

試験では、目標規模における燃焼の安定性、燃焼中に消費される機体構造の健全性、比推力や推力重量比などの主要性能を評価する計画だ。TRL 6は飛行可能な完成品を意味するものではなく、その後も飛行環境での実証、システムの認定、打ち上げ機への統合が必要になる。

最大の技術課題は、これまで実験室で示されてきた100ニュートン級から、目標とする約150キロニュートンへ推力を拡大することである。単純な推力比較では約1500倍に相当する。大型化に伴い、構造材を燃焼室へ送り込む力、酸化剤の供給、シールの維持、燃焼安定性、機体の重心変化などを同時に管理する必要がある。

European Alliance 2030+の体制は、このスケールアップを複数分野から進めるために組まれた。燃焼研究、熱流動解析、機械式挿入機構、誘導・制御を各社が分担し、2029年の統合試験に向けて開発を進める。

■打ち上げ価格は提携各社の目標値

提携各社は、Garnetを利用する将来の打ち上げサービスについて、軌道投入価格を1kg当たり4600ドルにする目標を掲げている。機体構造を推進剤として利用し、従来型のマイクロランチャーが運ぶ構造質量を減らすことがコスト低減につながるとしている。

Alpha Impulsionは、同社が構想するオートファージ打ち上げ機について、機体質量を最大40%削減し、製造費を最大80%減らせる可能性があるとしている。いずれも同社や提携各社が開発目標として示した推計であり、実機による飛行や商用運用で確認された数値ではない。

SpaceXの公式料金は、太陽同期軌道への相乗り打ち上げで50kgまで35万ドル、追加分は1kg当たり7000ドルとなっている。2028年後半より先のTransporterおよびBandwagonミッションについては、小型衛星事業者やミッション取りまとめ企業が新規予約の停止を確認したと報じられている一方、SpaceXから予約方針に関する公式声明は出ていない。

したがって、Garnetは現時点で予約できる打ち上げサービスではない。2029年の目標も地上でのエンジン実証であり、提携各社は実用的な打ち上げサービスの開始時期を2030年代としている。

■Grenat打ち上げ機とは別のエンジンプログラム

Garnetは、European Alliance 2030+が共同開発するエンジンの名称である。一方、Alpha Impulsionは「Grenat」と呼ぶオートファージ打ち上げ機も構想している。

同社の現在の案内では、Grenatの初打ち上げは2030年代とされている。機体は全長25メートル、直径1メートルで、高密度ポリエチレンと液体酸素を推進系に用いる構想が示されているが、ペイロード能力については開発段階に応じて拡大する計画となっている。

今回の提携は完成した打ち上げ機ではなく、15トン級エンジンGarnetの開発を中心とする。まず地上での燃焼、構造、推進性能を実証し、その後の打ち上げ機への統合につなげられるかが、欧州の小型衛星打ち上げ市場へ参入するための焦点となる。

元記事: Self-Eating Rocket Gets Its First Industrial Alliance as SpaceX Rideshare Slots Dry Up

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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