EUがChatGPTを「超大型検索エンジン」に指定、AI検索にもDSAの厳格規制

2026年9月4日 23:31

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記事提供元:Tech Times

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欧州委員会は2026年8月31日、ChatGPTをデジタルサービス法(DSA)上の「超大型オンライン検索エンジン(VLOSE)」に指定した。対話型AIであっても、利用者の質問に応じてウェブを検索する機能を持ち、EU域内で大規模に利用されていれば、検索エンジンとしてDSAの強化された監督対象になり得ることが明確になった。

今回の指定により、OpenAIは2027年1月までに、システミックリスクの評価と軽減、独立監査、研究者へのデータ提供、広告の透明性確保など、VLOSEに課される追加義務へ対応する必要がある。Google GeminiやPerplexityなど、同様にウェブ上の情報を検索・提示するAIサービスについても、サービスの法的性質とEU域内の利用者規模に応じて、今後指定の対象になる可能性がある。

■ChatGPTを3番目のVLOSEに指定

欧州委員会はChatGPTをVLOSEに指定すると同時に、RedditとRobloxを「超大型オンラインプラットフォーム(VLOP)」に指定した。ChatGPTは、Google SearchとMicrosoft Bingに続く3番目のVLOSEとなった。

DSAでは、EU域内の月間平均アクティブ利用者が4500万人以上に達したオンラインプラットフォームまたはオンライン検索エンジンについて、欧州委員会がVLOPまたはVLOSEに指定できる。利用者数が基準に達しただけで追加義務が自動的に発生するのではなく、欧州委員会による指定を経て、原則として通知から4カ月後に追加義務が適用される。

欧州委員会の登録情報によると、ChatGPTのEU域内における月間平均アクティブ利用者は約1億5910万人で、基準となる4500万人の3倍を超える。Redditは約5720万人、Robloxは約4660万人と報告している。これらの数値は各事業者が提供したもので、利用者数の算定方法に対する欧州委員会の評価をあらかじめ確定するものではない。

欧州委員会で技術主権・安全保障・民主主義を担当するHenna Virkkunen執行副委員長は、3サービスが市民と社会に及ぼす大きな影響に応じて、今後はEUでより厳格な監視と説明責任の対象になると説明した。また、強化された監督の基準を満たすサービスについて、今後も指定をためらわない方針を示している。

■対話型AIを検索エンジンとして分類

欧州委員会はChatGPTについて、利用者のプロンプトや質問に応答し、その過程でウェブを検索できることから、オンライン検索エンジンに該当するハイブリッド型のサービスと位置付けた。

この判断で重要なのは、チャットボットやAIアシスタントという製品名ではなく、サービスが実際に提供している機能に着目した点である。対話形式で回答を生成するサービスであっても、利用者の要求に応じてウェブ上の情報を検索する機能があれば、DSA上のオンライン検索エンジンに該当し得る。

もっとも、ウェブ検索機能を備えたAIサービスが一律にVLOSEになるわけではない。対象となるには、オンライン検索エンジンに該当するかという法的評価に加え、EU域内の月間平均アクティブ利用者が4500万人以上であること、欧州委員会から正式な指定を受けることが必要になる。

このため、Google Gemini、Perplexity、AnthropicのClaudeなどに同じ枠組みが適用されるかは、それぞれのサービスの機能、提供形態、EU域内の利用者数を基に個別に判断される。世界全体の利用者数やウェブトラフィックの推計だけから、VLOSEの基準を満たしていると断定することはできない。

■ドイツでは利用者数に依存しない規制も

EUレベルのDSAとは別に、ドイツでは国内メディア法に基づくAI検索への監督が始まっている。ドイツの14州のメディア当局が参加する認可監督委員会(ZAK)は2026年7月14日、GoogleのAI OverviewsとPerplexityについて、ドイツのメディア州間協定が適用されるとの判断を初めて示した。

ZAKは、AI検索エンジンやチャットボットが生成する回答を、事業者自身が提供するコンテンツと位置付けた。また、AIの回答に付随するリンクや情報源の選択・配置によって第三者コンテンツの見つけやすさが左右される場合、メディア仲介サービスとして透明性や多様性の確保に関する義務を負い得ると判断した。

GoogleのAI Overviewsについては、AIが生成した回答が検索結果の目立つ位置に表示され、従来のリンク一覧が相対的に見つけにくくなる構成を問題視した。Perplexityについても、AI回答に情報源や関連リンクを付け、その選択と表示順を決めている機能がメディア仲介サービスの要件を満たすとした。

ZAKの判断はDSAのVLOSE指定とは異なる法的枠組みに基づくため、4500万人という利用者数の基準を前提としない。AI検索サービスに対する規制が、EUの大規模サービス向け制度と加盟国のメディア法という複数の経路から進むことを示している。対象事業者はZAKの決定に対して法的救済を求めることができる。

■2027年1月までに追加義務へ対応

ChatGPTは指定の通知から4カ月後となる2027年1月までに、VLOSEに適用される追加義務を履行する必要がある。

中心となるのが、DSA第34条と第35条に基づくシステミックリスクの評価と軽減である。OpenAIは、違法コンテンツの拡散、基本的人権、選挙や公共の安全、未成年者の保護、心身の健康などに及ぼすリスクを特定・分析し、適切な軽減策を講じなければならない。

さらに、DSA第37条に基づく独立監査、同第40条に基づく適格な研究者へのデータ提供、コンプライアンス部門の設置、透明性報告なども求められる。これらは単なる書類の提出ではなく、サービスの設計、運用、リスク管理、データ管理を継続的に検証できる体制の整備を伴う。

レコメンダーシステムを使用する場合には、情報の提示や優先順位を決める主要なパラメータを、平易で理解可能な形で説明することも必要になる。VLOPとVLOSEには、プロファイリングに基づかない選択肢を少なくとも一つ提供する義務も課される。

生成AIによる回答では、ウェブ検索による情報取得、取得した情報の選択、回答生成という複数の処理が組み合わされる。どの機能がDSA上のレコメンダーシステムに該当し、主要なパラメータをどの範囲で説明すべきかは、サービスの具体的な設計に即して整理する必要がある。DSAはモデルの重みやアルゴリズム全体の公開を求めるものではない。

■EU AI法とDSAの双方が適用

OpenAIには、DSAだけでなくEU AI法に基づく義務も適用される。EUでは2026年8月2日から、AIシステムの透明性に関する新たな規則などの執行が始まった。

EU AI法は、汎用AIモデルを含むAIシステムの開発・提供に関する文書化、透明性、著作権方針などを規定する。一方、DSAは、ChatGPTというオンラインサービスが大規模に運営されることによって生じるシステミックリスクや広告、研究者のデータアクセスなどを扱う。

両制度の対象には重なる部分があるが、同一の規制ではない。OpenAIは基盤モデルに関する管理と、ChatGPTの検索・回答サービスに関するリスク管理を、それぞれの法的要件に沿って整合させる必要がある。

■成長する広告事業にも透明性義務

OpenAIは2026年8月31日、ChatGPT Adsの年間換算収益ペースが10億ドルに達したと発表した。1ドル=156円で換算すると約1560億円となる。これは実際に1年間で計上した売上高ではなく、発表時点の収益水準を年換算した指標である。

同社によると、ChatGPT Adsは開始から200日未満でこの水準に達し、セルフサービス型の広告購入機能を欧州、インド、中東、北アフリカへ拡大した。広告はChatGPTの回答とは分離して表示され、広告であることを明示する仕組みとしている。

VLOSEがサービス上に広告を表示する場合、DSA第39条に基づき、広告内容、広告主、費用を負担した主体、表示期間、対象となった利用者層などの情報を検索可能なリポジトリで公開する必要がある。

会話の文脈に応じて広告を表示するChatGPTでは、どの表示を一つの広告として記録し、文脈やターゲティングに関する情報をどのように整理するかが実装上の課題になる。欧州で広告事業を拡大するOpenAIにとって、広告配信システムとDSAに対応した公開リポジトリの整備は並行して進める必要がある。

■DSA違反には巨額の制裁金

DSA違反に対しては、全世界の年間売上高の最大6%に相当する制裁金が科される可能性がある。欧州委員会はすでに、指定サービスに対する調査と制裁を実施している。

2025年12月にはXに対し、認証済みアカウントを示す青いチェックマークの設計、広告リポジトリの透明性、研究者による公開データへのアクセスを巡る違反を理由に、1億2000万ユーロの制裁金を科した。これはDSAに基づく最初の違反決定となった。

2026年5月には、違法商品の流通に関するシステミックリスクを十分に評価しなかったとしてTemuに2億ユーロ、同年7月には違法・危険・模倣商品の販売リスクを適切に評価・軽減しなかったとしてAliExpressに5億5000万ユーロの制裁金を科している。

指定そのものを巡る訴訟でも、EU一般裁判所はZalandoとAmazonによるVLOP指定の取り消し請求をそれぞれ退けた。裁判所は追加義務が事業者に大きな費用や技術的負担をもたらし得ることを認めながらも、大規模サービスがもたらすシステミックリスクへの対応という目的に照らして正当化されると判断している。

■AI検索への適用を試す最初の事例に

2027年1月の期限に向け、OpenAIはChatGPTについて、システミックリスクの評価、軽減策、独立監査、研究者へのデータ提供、広告リポジトリなどの体制を整えることになる。

ChatGPTは、生成AIを中心としたサービスとして初めてVLOSEに指定された。今回の対応は、検索結果をリンク一覧として表示する従来型の検索エンジンとは異なる、対話型AIサービスにDSAの義務をどう適用するかを具体化する先行事例となる。

ウェブ検索機能を持つ他のAIサービスに追加義務が及ぶ時期は、各サービスのEU域内における利用者数、機能、法的分類、欧州委員会の判断によって異なる。それでも、AIによる検索や情報提示がサービスの中心的な機能になるにつれ、事業者には利用者数が基準に達する前から、リスク評価、監査、データ提供、広告透明化を見据えた設計が求められることになる。

元記事: EU Sets AI Search Compliance Template: Gemini and Perplexity Face Same Clock as ChatGPT

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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