Starship第14回飛行試験、初の軌道投入を計画 FCC申請で判明、FAA承認は未確認

2026年9月3日 18:11

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記事提供元:Tech Times

SpaceXが提出した複数のFCC(連邦通信委員会)申請から、Starshipの第14回飛行試験(Flight 14)で、同機として初めて上段を軌道へ投入し、Starlink V3衛星を展開する計画が明らかになった。

申請書類には9月15日を前提とした記述があるものの、これは確定した打ち上げ日ではない。FCCへの申請は通信周波数や衛星運用に関する手続きであり、打ち上げと再突入にはFAA(連邦航空局)の認可も必要になる。SpaceXは9月2日時点で、Flight 14の正式な打ち上げ日時やFAAの承認取得を発表していない。

■FCC申請に軌道飛行を含む計画

SpaceXが8月21日付で提出したFCCの特別一時許可申請には、Starship Flight 14について「軌道飛行を行う第2段を含む」と記載されていた。申請はShipの通信に使う予備周波数の許可を求めるもので、飛行経路のデータは米国の関係機関に直接提出するとしている。

この申請自体は8月28日付で却下または取り下げ扱いとなっている。一方、SpaceXはFlight 14に関連するとみられる別の周波数申請も提出しており、8月31日付の衛星通信に関する申請では、高容量衛星の展開日として9月15日までの許可を求めている。

複数の申請を合わせると、Flight 14で軌道投入とStarlink V3衛星の展開を目指していることは読み取れる。ただし、FCCへの申請は計画内容と必要な通信運用を示すものであり、それだけで打ち上げや飛行プロファイル全体が承認されたことにはならない。

これまでの13回の統合飛行試験では、Starship上段は地球を周回する軌道には入らず、宇宙空間を飛行した後にインド洋へ再突入する軌道を採用してきた。Flight 14で軌道投入に進めば、Starshipの試験計画は飛行データの取得だけでなく、衛星を運用軌道へ運ぶ段階へ移ることになる。

■打ち上げと再突入にはFAAの認可が必要

FCCが扱うのは、ロケットのテレメトリや衛星通信などに使われる周波数の許可である。米国で商業ロケットを打ち上げ、機体を再突入させるには、これとは別にFAAの認可を受ける必要がある。

軌道へ入ったStarshipを計画した海域へ戻すには、宇宙空間でエンジンを再点火して軌道離脱噴射を行い、再突入経路を適切に設定しなければならない。FAAの審査では、打ち上げ時だけでなく、再突入や飛行が計画から外れた場合の公衆リスクも評価対象になる。

9月15日は、SpaceXの申請書類に衛星の展開予定日として示された時点であり、確定した打ち上げ枠ではない。ハードウェアの準備、FCCの周波数認可、FAAのライセンス手続きがそろうまで、日程が変更される可能性がある。

■発射塔によるShipキャッチは後の飛行へ

Flight 14では、Starship上段のShipをStarbaseへ帰還させ、発射塔のアームで捕捉する計画も検討されていた。しかし、イーロン・マスクは8月20日、Shipのキャッチは「おそらく数カ月後」になるとの見通しを示した。

Flight 13で使用されたShip 40は7月24日、軌道投入には進まず、Starlink V3衛星を放出した後にインド洋へ再突入した。SpaceXによると、Shipは予定海域へ誘導され、着水後も機体が原形を保った。同社は着水精度について、将来の発射塔帰還につながる成果と位置付けている。

Flight 14では発射塔への帰還よりも、軌道投入、衛星展開、軌道離脱噴射、インド洋への再突入という一連の飛行を成立させることが中心になる。Shipのキャッチと回収機の再飛行は、その後の再利用運用に向けた別の段階となる。

■Flight 13で宇宙空間のエンジン再点火に成功

軌道飛行後にShipを計画的に再突入させるうえで重要になるのが、宇宙空間でのRaptorエンジン再点火である。Flight 13では、Starship上段が飛行中にRaptorエンジン1基を再点火し、将来の軌道ミッションに必要な能力を実証した。

Flight 12では上昇中にRaptor Vacuumエンジン1基が停止したものの、残るエンジンで予定された飛行経路に到達した。続くFlight 13では6基すべてによる上昇燃焼を終え、Starlink V3衛星20機を放出した後、宇宙空間での再点火、再突入、軟着水までを実施した。

Flight 14では、上段を軌道へ投入するだけでなく、軌道離脱噴射を確実に実行することが重要になる。成功すれば、Starshipが衛星投入から計画的な再突入までを一つの飛行で行うための基礎が整う。

■Starlink V3の本格展開を左右

Starlink V3は、SpaceXが開発する次世代の通信衛星である。同社によると、V3衛星は1機当たり1Tbpsのダウンリンク容量と160Gbpsのアップリンク容量を持つ設計で、V2衛星と比べてそれぞれ約10倍、約22倍に増える。

各衛星には改良型のフェーズドアレイアンテナに加え、衛星間通信に使う6基の400Gbps光通信装置を搭載する。SpaceXは、StarshipによるV3衛星の投入によって、Falcon 9でV2衛星を打ち上げる場合よりも、1回の飛行で追加できる通信容量を大幅に増やせるとしている。

Flight 13で放出された20機のV3衛星は、Starshipと同じサブオービタル軌道を飛行し、約20分後に大気圏へ再突入する計画だった。SpaceXは全衛星との無線およびレーザー通信に成功し、テレメトリを受信したとしている。

Flight 14でV3衛星を運用軌道へ投入できれば、Starshipは初めてStarlinkネットワークの拡張に直接使われることになる。ただし、Flight 14に搭載する衛星数や最終的な投入軌道について、SpaceXは正式なミッション概要をまだ公表していない。

■StarshipとStarlinkの事業上の関係

V3衛星は従来世代より大型で、SpaceXはその本格的な展開にStarshipの大きなペイロード空間と輸送能力を活用する計画である。このため、Starshipが安定して軌道へ到達できるかどうかは、Starlinkの通信容量を増強するペースにも影響する。

SpaceXが公表した2026年1~3月期のコネクティビティー部門の売上高は32億5700万ドルで、全社売上高の約69%を占めた。同部門には主にStarlink事業が含まれる。StarlinkがSpaceXの主要な収益源となる一方、その次世代ネットワークの展開にはStarshipの実用化が深く関わっている。

SpaceXは7月、最大10万機の第3世代衛星からなる新たなコンステレーションについて、FCCへ運用認可を申請した。この大規模申請はFlight 14に必要な一時的な周波数許可とは別の手続きであり、FCCによる長期的な審査の対象となる。

■アルテミス計画にも関わる軌道飛行能力

Starshipの軌道飛行能力は、NASAのアルテミス計画でSpaceXが開発する有人月着陸船Starship HLSにも関係する。HLSの運用には、地球周回軌道への投入、軌道上での推進剤移送、月面への無人着陸試験など、段階的な実証が必要になる。

NASAは、2028年初頭を目標とするアルテミスIVを、アポロ17号以来となる有人月面着陸ミッションに位置付けている。着陸船にはSpaceXのStarship HLSまたはBlue OriginのBlue Moonが候補となっており、NASAは着陸船の準備状況を踏まえて使用する機体を決める方針である。

このため、Flight 14の成否だけでアルテミスIVの日程が決まるわけではない。それでも、Starshipが軌道投入と制御された再突入を達成することは、HLSに必要な、より複雑な軌道上運用へ進むうえで重要な前提となる。

■焦点は軌道投入から再突入までの一連の飛行

Flight 14で注目されるのは、Starship上段の軌道投入、Starlink V3衛星の展開、宇宙空間での軌道離脱噴射、インド洋への再突入を一連の飛行として実施できるかどうかである。

これが成功すれば、Starshipはサブオービタルの試験飛行から、実際の衛星輸送に利用できる軌道打ち上げシステムへ一歩近づく。Starlink V3の展開やStarship HLSの試験、さらに将来の機体回収と再飛行も、この軌道飛行能力を土台として進められる。

一方、9月15日は申請上の予定日にすぎず、SpaceXによる正式発表やFAAの認可を示すものではない。Flight 14の打ち上げ時期と最終的な飛行計画は、規制手続きと飛行前準備の進展を待って確定することになる。

元記事: Starship Flight 14: FCC Filing Confirms First Orbital Profile, FAA Approval Remains

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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