SpaceX、Falcon 9「B1063」が35回目の飛行成功 Starship初の軌道飛行は9月15日以降か

2026年9月3日 18:04

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記事提供元:Tech Times

SpaceXは9月2日、Falcon 9ロケットで27基のStarlink衛星を打ち上げ、第1段ブースター「B1063」の35回目となる飛行と着陸に成功した。B1063は2020年から運用が続く現役最古級の機体で、現在の最多飛行記録まであと2回に迫った。

一方、次世代大型ロケット「Starship」の14回目の統合飛行試験では、初めて軌道投入を試みる計画が明らかになっている。米連邦通信委員会への申請では9月15日から通信許可を求めているが、これは確定した打ち上げ日を示すものではなく、実際の飛行には米連邦航空局による許可なども必要となる。

■B1063が35回目の飛行と着陸に成功

Falcon 9は9月2日午前1時42分(米太平洋夏時間、日本時間同日午後5時42分)、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地にある第4発射施設東から打ち上げられた。ミッション名は「Starlink 15-23」で、27基のStarlink衛星を搭載していた。

SpaceXによると、第1段ブースターのB1063は打ち上げから約8分半後、太平洋上のドローン船「Of Course I Still Love You」に着陸した。上段は飛行を続け、打ち上げから約62分後に27基の衛星を地球低軌道へ展開した。

今回の飛行はB1063にとって35回目であり、35回すべてで着陸に成功した。SpaceXによる2026年のFalcon 9打ち上げとしては102回目、Starlink専用ミッションとしては79回目となった。同年にはFalcon Heavyも2回打ち上げられており、SpaceX全体では104回目の軌道打ち上げに当たる。

B1063は2020年11月21日に初飛行し、NASAと欧州宇宙機関の海洋観測衛星「Sentinel-6 Michael Freilich」を打ち上げた。その後はNASAの小惑星軌道変更実験「DART」、相乗り型のTransporter-7、IridiumとOneWebの衛星、米宇宙開発庁や米国家偵察局のミッションなどに使用されてきた。今回を含め、Starlink衛星の打ち上げには25回投入されている。

B1063の特徴は、現在の現役機の中で初飛行時期が最も早いことにある。最多飛行記録を持つB1067は2021年6月に運用を開始し、これまでに37回飛行している。B1063は運用期間で先行する一方、B1067はより短期間に多くのミッションを重ねており、機体の運用年数と飛行回数では記録の意味が異なる。

B1063の前回の飛行は8月4日で、今回は約29日後の再飛行となった。多数のStarlink衛星を継続して配備するSpaceXの運用では、再使用するブースターを短期間で次のミッションへ戻す体制が打ち上げ頻度を支えている。

■Starship Flight 14は初の軌道投入を計画

Falcon 9が高頻度の打ち上げを続ける一方、SpaceXはStarshipによる初の軌道飛行に向けた準備を進めている。Flight 14は、Super HeavyブースターとStarship上段を組み合わせたシステムとして14回目の統合飛行試験となる。

SpaceXがFCCに提出した申請では、Starbaseから打ち上げる「軌道上の第2段」に使用する予備通信周波数について、2026年9月15日から2027年3月15日までの運用許可を求めている。別の申請では、新世代の高容量衛星を9月15日に展開する計画が記載されている。

このため9月15日は現時点で想定される最も早い時期の目安となるが、SpaceXが正式に発表した確定打ち上げ日ではない。FCCへの申請は無線通信に関するもので、打ち上げそのものを認可するFAAの飛行許可とは異なる。機体の準備や規制当局の手続きによって日程が変わる可能性がある。

過去13回のStarship統合飛行試験では、宇宙空間に到達して地球の一部を周回する飛行も行われたが、軌道を維持する速度にはわずかに届かない意図的な弾道飛行経路が採用されていた。制御を失った場合でも、機体が所定の海域へ再突入するように設計された試験経路である。

7月24日のFlight 13では20基のStarlink V3衛星が展開されたものの、機体と衛星は持続的な軌道には入らず、その後に大気圏へ再突入する経路を飛行した。Flight 14では、Starship上段を軌道へ投入し、Starlink V3衛星を運用可能な軌道へ展開することが計画されている。

軌道飛行では、正確な軌道投入に加え、姿勢や電力の維持、衛星の展開、軌道離脱から再突入までの一連の動作が重要になる。Starshipが大型衛星の実運用上の輸送手段へ移行するうえで、Flight 14は節目となる試験だ。

■Booster 21とShip 41が地上燃焼試験

Flight 14に向けては、Super Heavyの「Booster 21」とStarship上段の「Ship 41」が主要な地上燃焼試験を終えている。

Ship 41は8月21日、6基のRaptorエンジンを使用したフルデュレーションのスタティックファイアを実施した。Booster 21も8月28日、33基のRaptorエンジンを同時に作動させるフルデュレーションのスタティックファイアを完了した。

Flight 14はテキサス州南部のStarbaseから打ち上げる計画である。SpaceXはフロリダ州でもStarshipの打ち上げ施設を整備しており、ケネディ宇宙センターのLC-39Aと、ケープカナベラル宇宙軍施設のSLC-37で建設計画を進めている。ただし、フロリダからのStarship初飛行について確定した日程は公表されていない。

■Starlink V3で衛星1基と1回の打ち上げ能力を拡大

今回Falcon 9が打ち上げたStarlink衛星は、現行世代のV2 Mini系に当たる。V2 Miniは、Eバンドを使用するバックホールやフェーズドアレイアンテナを採用し、SpaceXによれば初期世代と比べて衛星1基当たり約4倍の容量を提供する。

Starshipでの本格展開が計画されているV3衛星は、さらに大型で通信容量も大きい。SpaceXは、V3衛星1基について下り最大1Tbps、上り最大200Gbpsの帯域幅を想定している。また、StarshipによるV3衛星の打ち上げ1回で追加できる下り容量は60Tbpsに達し、Falcon 9によるV2 Miniの打ち上げ1回と比べて20倍を超えるとしている。

これらはSpaceXが公表した設計上の数値であり、実際のサービス容量は展開する衛星数、通信設備、利用地域や需要などにも左右される。Flight 14で計画通り軌道投入と衛星展開が行われれば、V3衛星をStarlinkネットワークへ組み込むための重要な段階となる。

Starlinkはすでに世界最大規模の衛星コンステレーションとなっている。衛星追跡データでは、軌道上にあるStarlink衛星は9月初めの時点で1万1000基を超える。ただし、軌道上の総数、運用中の衛星、所定の軌道へ移動中の衛星では集計基準が異なるため、数値には差が生じる。

■Falcon 9の再使用実績と今後

B1063は、Falcon 9ブースターの最多飛行記録である37回まであと2回となった。SpaceXはB1063やB1067について、具体的な退役時期や最終的な飛行回数を発表していない。機体の状態や割り当てるミッションに応じて、今後の運用が決まるとみられる。

Falcon 9の第1段は帰還後に点検や必要な整備を受け、再び打ち上げに投入される。ブースターを繰り返し使用することで、新しい第1段をミッションごとに製造する必要がなくなり、高頻度の打ち上げを支えられることがB1063の飛行実績からも分かる。

報道によると、SpaceXは2028年より後に実施する一部のFalcon 9商業打ち上げについて、新規予約の受け付けを制限している。もっとも、Falcon 9の正式な退役日が決まったわけではなく、既存契約や有人飛行、NASA、米国防関連などのミッションが残っている。

SpaceXは当面、既存のFalcon 9を活用してStarlink衛星や顧客のペイロードを打ち上げながら、より大型のStarshipへ段階的に役割を移す方針だ。B1063の35回目の飛行はFalcon 9の再使用技術の成熟を示し、Flight 14の軌道飛行計画はStarshipが次の運用段階へ進むための試金石となる。

元記事: SpaceX’s Oldest Falcon 9 Booster Completes 35th Flight; Orbital Starship Debut Approaches

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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