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Salesforce、「Claudeforce」でClaudeからCRM操作へ Agentforce ARRは15億ドル突破
Salesforceは2026年8月26日、Anthropicとの戦略的提携を拡大する「Claudeforce」を発表した。中核となるのは、ClaudeからSalesforceの顧客情報を参照し、権限や業務ルールに沿ってレコード更新などを実行できる「Salesforce in Claude」である。
同日発表した2027年度第2四半期決算では、AIエージェント基盤「Agentforce」の年間経常収益(ARR)が15億ドルを超えた。今後1年間に売上高として認識する見込みの契約額を示すcRPOも、為替変動の影響を除いて前年同期比14%増となった。
■ClaudeからSalesforceのデータと業務機能を利用
Claudeforceは、Claudeの推論能力とSalesforceが管理するデータ、ワークフロー、業務ルール、権限を組み合わせる提携の総称である。最初の製品となるSalesforce in Claudeは、商談前の準備、案件の健全性確認、パイプライン分析などに対応する37種類の営業向けスキルを備える。
営業担当者はClaudeの対話画面から、権限の範囲内でSalesforceのデータを参照し、案件情報の更新や業務アクションを実行できる。アクションはSalesforceを経由するため、既存の権限設定や業務ルールが適用される。
管理者が組織単位で接続、認証、権限を設定する構成となっており、利用者ごとに新しい権限体系を構築する必要を減らせるという。ClaudeはSalesforceだけでなく、Slackや電子メールなど接続済みの情報も参照し、営業担当者の状況に応じた案件確認や会議準備を支援する。
Salesforce in Claudeは現在、一部のパイロット顧客に提供されている。オープンベータは2026年9月に開始する計画で、営業以外の業務に対応するスキルも2026年後半から追加する予定だ。価格は発表されていない。
■MCPを使い、AIから業務システムを呼び出す
Salesforce in Claudeを支えるのが、Salesforceの企業向けAI連携基盤「AIforce」である。AIforceは、Model Context Protocol(MCP)サーバー、API、コマンドラインツールを通じ、Salesforceのデータやワークフロー、業務ロジックをAIエージェントから利用できるようにする。
MCPは、AIアプリケーションと外部のデータやツールを接続するためのオープンなプロトコルである。個々のAIモデルと業務システムを組み合わせるたびに専用接続を開発するのではなく、共通の接続方式を利用できる点に特徴がある。
この構成では、Claudeが情報を単に表示するだけでなく、Salesforce側で許可された処理を呼び出せる。AIが判断や情報整理を担い、Salesforceが権限、業務ルール、記録の更新を管理するという役割分担である。
AIforceは特定のモデルだけを前提とした基盤ではない。SalesforceはClaude以外のモデルも選択できるマルチモデル構成を維持しており、ClaudeforceはClaudeとの連携を大幅に深める一方、独占契約を意味するものではない。
■ClaudeはSalesforceとSlackでも利用拡大
ClaudeはSalesforce内でも、Agentforceの推論モデルとして利用できる。Salesforceによると、Claudeは「Agentforce Vibes」と「Agentforce Coworker」を標準で支え、独自のAIエージェントを構築する「Agent Builder」からも選択できる。
Slackでは、Claudeをチームメンバーのように呼び出す「Claude Tag」や、AIを活用した開発環境「Slack Code」などとの連携を進める。Claudeforceは、SalesforceのデータをClaudeから扱う方向と、SalesforceやSlackのサービス内でClaudeを使う方向の双方を強化する取り組みとなる。
Salesforceは自社のグローバルなエンジニアリング組織でClaude Codeを優先的なAIコーディング支援ツールとして採用している。一方、AnthropicはSalesforceを優先的なCRM、Slackを社内コラボレーション基盤として利用する。
■Agentforce ARRは15億ドルを突破
Salesforceの2027年度第2四半期は、売上高が前年同期比11%増の113億ドルとなった。サブスクリプションおよびサポート売上高は108億ドルで、前年同期比12%増だった。
AgentforceのARRは15億ドルを超え、前年同期比で240%超増加した。Agentforceと顧客データ基盤「Data 360」を合わせたARRは約39億ドルとなり、前年同期比で210%超増加した。
もっとも、Salesforceは2027年度第2四半期からAgentforce ARRの対象にSlackbotとHeadless 360を含めている。このため、前年同期比の伸び率を評価する際には、対象範囲が変更された点も考慮する必要がある。
cRPOは335億ドル(約5兆3,265億円、1ドル=159円換算)となり、前年同期比で14%増加した。cRPOは契約済み収益のうち、今後12カ月以内に売上高として認識する見込みの金額を示す。伸び率は会社予想を1ポイント上回った。
同社が「4年間で最も強い」と説明したのは、cRPOの金額そのものではなく、新規年間受注額の伸びである。Agentforce One EditionとAgentforce for Appsの受注額は前四半期から2倍以上に増え、Slackも買収後で最も高い四半期の新規年間受注額の伸びを記録した。
第2四半期に処理されたAgentic Work Unitsは32億単位で、前四半期比97%増となった。AgentforceとSlackを通じた累計は70億単位に達した。Slackbotの利用者数も前四半期から150%超増加したが、Salesforceの公式決算資料では利用者の具体的な人数を示していない。
■通期売上高見通しを引き上げ
Salesforceは2027年度通期の売上高見通しを461億~464億ドル(約7兆3,299億~7兆3,776億円)へ引き上げた。従来予想の459億~462億ドルから名目ベースで2億ドル、為替変動の影響を除いたベースで3億ドルの上方修正となる。
希薄化後1株利益はGAAPベースで4.29ドル、非GAAPベースで5.90ドルだった。営業キャッシュフローは前年同期比71%増の13億ドル、フリーキャッシュフローは81%増の11億ドルとなった。
利益には、Salesforceが保有するAnthropicへの戦略的投資を主因とする26億ドル(約4,134億円)の投資利益が大きく寄与した。この利益は製品販売やサブスクリプション契約から生じたものではないため、本業の動向を見る際には売上高、営業利益率、cRPO、キャッシュフローなどと分けて捉える必要がある。
決算発表後、Salesforce株は時間外取引で大幅に上昇した。株価の反応には、AI関連製品の成長、cRPOの伸び、通期見通しの引き上げ、投資利益など複数の要因が含まれており、Claudeforceだけの効果と切り分けることはできない。
■AIはSaaSを置き換えるのか
2026年のソフトウェア市場では、高性能なAIモデルが業務を直接処理するようになれば、利用者数に応じて料金を取る従来型SaaSの価値が低下するとの見方が広がった。「SaaSpocalypse」と呼ばれるこの議論は、Salesforceを含むソフトウェア企業の株価を圧迫する材料となっていた。
マーク・ベニオフCEOは決算説明会で、「これはSaaSpocalypseではない。ソフトウェアの終わりや、モデルがすべてを飲み込むという悲観的な予測をこの2四半期にわたって聞いてきたが、当社では実際に起きていない」と述べた。
Claudeforceが示す戦略は、AIとの接点がSalesforceの画面からClaudeへ移っても、CRMに蓄積されたデータ、権限、業務ルール、アクションの管理基盤としてSalesforceの役割を残すというものだ。
一方で、利用者がAgentforce、Slack、Claudeの複数の画面から同じデータやエージェントを扱うようになれば、どのサービスを主要な操作窓口とするかが分かりにくくなる可能性もある。Salesforceには、各製品の役割分担と管理方法を明確にすることが求められる。
今回の四半期だけで、AIがSaaSにもたらす長期的な影響が決着したわけではない。今後は、cRPOの伸びが持続するか、Agentforceの利用拡大が継続的な売上高に結び付くか、Salesforce in Claudeがパイロット提供から本格導入へ進むかが焦点となる。
■注目ポイントQ&A
●Claudeforceとは何ですか?
SalesforceとAnthropicの戦略的提携を拡大する取り組みです。最初の製品となるSalesforce in Claudeでは、ClaudeからSalesforceのデータを参照し、既存の権限や業務ルールに沿ってレコード更新などを実行できます。
●Salesforce in Claudeはいつ利用できますか?
現在は一部のパイロット顧客に提供されています。Salesforceは2026年9月にオープンベータを開始する計画ですが、一般提供の時期や価格は発表していません。
●ClaudeからSalesforceを利用すると、権限管理はどうなりますか?
Salesforce in Claudeから実行するアクションはSalesforceを経由し、既存の権限と業務ルールが適用されます。具体的なデータ処理場所、保存方法、データ所在地、契約上の保護措置は利用形態によって異なる可能性があるため、導入企業はSalesforceとAnthropicの契約条件や管理者向け資料を確認する必要があります。
●ClaudeforceはClaudeの独占採用を意味しますか?
独占採用ではありません。Claudeとの連携は大幅に強化されますが、Salesforceは複数のAIモデルを利用できる構成を維持しています。
●cRPOが4年ぶりの高水準になったのですか?
335億ドルというcRPOの金額が4年ぶりの高水準になったという意味ではありません。cRPOは為替影響を除いて前年同期比14%増となり、Salesforceが4年間で最も強いと説明したのは、新規年間受注額の伸びです。
●1株利益が大幅に増えた主な理由は何ですか?
本業の成長に加え、Anthropicへの戦略的投資を主因とする26億ドルの投資利益が大きく寄与しました。本業の推移を見る場合は、売上高、営業利益率、cRPO、キャッシュフローなども併せて確認する必要があります。
元記事: Salesforce Launches Claudeforce, Posts Four-Year Revenue High as AI Threat Thesis Collapses
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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