米国防総省、ハーバードやMITなど30校に外国機関との関係監査を要求

2026年8月19日 14:30

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記事提供元:Tech Times

米国防総省は2026年8月17日、米国内の大学・研究機関30校に対し、安全保障上の懸念がある外国機関との学術、資金、研究上の関係を包括的に調査するよう通知した。対象校は8月31日までに監査結果と対応内容を提出する必要があり、今後も連邦研究資金の受給資格を維持するため、問題があると判断した提携の終了を含む是正措置を求められる。

監査の対象には、2019会計年度国防権限法の第1286条に基づいて指定された外国機関のほか、閉鎖後に別の名称や組織形態へ移行した孔子学院に関連する組織も含まれる。国防総省は、米国の公的資金で支えられた研究成果を、不正な技術移転や知的財産の窃取、外国勢力による利用から守ることが目的だと説明している。

■ハーバードやMITなど30校が対象

国防総省の公式発表は監査対象となった30校を公表していない。米政府当局者がDefenseScoopに明らかにしたリストには、ジョージタウン大学、マサチューセッツ工科大学、カリフォルニア大学バークレー校、同サンディエゴ校、テキサス大学オースティン校、エモリー大学、ハーバード大学、オクラホマ州立大学、ペンシルベニア州立大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校が含まれる。

このほか、シンシナティ大学、ミネソタ大学、ノースカロライナ大学チャペルヒル校、サウスカロライナ大学、南カリフォルニア大学、バージニア工科大学、ウースター工科大学、ブライアント大学、コーネル大学、ドレイク大学、デューク大学、イリノイ工科大学、ジョンズ・ホプキンス大学、ニューヨーク大学、ノースイースタン州立大学、ポートランド州立大学、南イリノイ大学カーボンデール校、ストーニーブルック大学、デラウェア大学、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校も挙げられている。

国防総省と当局者は、各校が選ばれた個別の理由を明らかにしていない。監査対象になったこと自体が、大学による違反や不正行為が確認されたことを意味するわけではない。

対象校は、指定された外国機関との連携を調べ、機微情報や輸出管理対象の研究が相手方に提供された可能性を評価する。そのうえで、リスクを軽減するための計画を策定し、必要に応じて提携を終了しなければならない。結果と実施した措置は8月31日までに国防総省へ報告する。

■第1286条の指定リストは中国、ロシア、イランの130機関

監査の基礎となる第1286条は、米政府が資金を提供した研究開発成果が、外国の軍事計画などに流用される危険性を高める活動に関与した外国の学術・研究機関を国防総省が特定する制度である。

国防総省が2026年7月23日に公表した2025会計年度版のリストには、中国、ロシア、イランに所在する130の学術・研究機関が掲載された。中国では復旦大学、上海交通大学、山東大学などが新たに加わり、ロシアのクルチャトフ研究所やイランのバキヤタラ医科大学なども指定対象となっている。

2026会計年度から、国防総省は最新のリストに掲載された機関との共同研究や、その機関の設備を使用する基礎研究に資金を支出できない。制限は掲載機関に所属する研究者との連携にも及ぶため、大学には共同研究、共著論文、設備利用などを組織的に把握することが求められる。

この仕組みは、特定の技術、物品、ソフトウェアの移転を規制する一般的な輸出管理とは対象の定め方が異なる。第1286条では、国防総省の資金を受ける基礎研究について、研究内容だけでなく連携先の機関や所属関係が審査上の重要な要素となる。

■孔子学院の関連組織も調査対象

今回の通知は、第1286条の掲載機関に加え、別の名称や形態へ移行した孔子学院に関連する組織との関係も監査対象にしている。

孔子学院は、中国側組織と米国の大学が共同で運営してきた中国語・中国文化の教育プログラムである。米政府監査院によると、米国の大学に設置された孔子学院は2019年の約100カ所から2023年には5カ所未満へ減少した。回答した大学の多くは、連邦資金を受けられなくなる可能性などが閉鎖判断に影響したと説明している。

一部の大学は閉鎖後、米政府のプログラムや別の提携先などを通じて中国語教育を継続した。今回の監査では、後継となるプログラムや提携組織についても、資金提供や運営への関与を確認することになる。

■下院委員会がハーバードの外国資金開示を問題視

国防総省による通知の4日前となる8月13日、米下院の中国共産党に関する特別委員会と教育・労働力委員会は、ハーバード大学と中国側組織との関係に関する調査報告書を公表した。

報告書が問題視した組織の一つが、ハーバード大学の関連非営利組織「Harvard Global Research and Support Services」である。同組織のウェブサイトには以前、ハーバード大学がスポンサーの条件を法的または財務的な理由で受け入れられない場合、提案の申請者や資金の受領者になれるとの説明が掲載されていた。

両委員会は、この仕組みが外国からの贈与や契約に関する開示義務を回避するために設けられたように見えると主張した。ハーバード側は報告書の草案を受け取った後、ウェブサイトから該当する説明を削除したという。

高等教育法第117条は、連邦政府の資金援助を受ける一定の大学に対し、同じ外国資金源から受け取った贈与や契約が単独または合計で暦年25万ドル以上になった場合、教育省への報告を義務付けている。

下院委員会の報告書によると、ハーバード大学が第117条に基づいて報告した外国資金は合計約45億ドルで、このうち中国に帰属する資金は6億3000万ドルを超えた。6億3000万ドルの全額がハーバード・グローバルを経由したと確認されたわけではなく、外国資金の報告総額と、関連組織の構造をめぐる委員会の問題提起は区別する必要がある。

報告書はまた、ハーバード大学の関係者と、中国の「国防七校」に所属する研究者による140件以上の共著論文を確認したとしている。国防七校は中国工業情報化省の所管する7大学の総称で、中国の国防研究や軍事技術開発との関係を米政府から問題視されてきた。

これらは共和党が主導する下院委員会の調査結果と評価であり、ハーバード大学に対する刑事上または民事上の違法認定ではない。国防総省による30校への一斉監査についても、ハーバードに関する報告書が直接の原因になったとは公式には示されていない。

■未開示が直ちに3倍賠償につながるわけではない

大学による研究者の所属や外国機関との関係の開示は、連邦助成金の審査で重要性を増している。虚偽請求取締法では、政府に対して虚偽の請求を故意に提出した者や、重要な虚偽記録を使用した者に、政府の損害額の3倍と民事制裁金を課すことができる。

一方、未開示の共同研究や所属関係が監査で見つかっただけで、大学に3倍賠償が自動的に発生するわけではない。同法上の責任には、虚偽性、認識、政府への請求との関連性や重要性など、個別事案に応じた要件がある。今回の国防総省の発表も、30校に過去の助成金について虚偽請求取締法上の責任が生じたとは述べていない。

大学にとって当面の直接的な影響は、8月31日までに監査と是正措置を完了し、その内容を国防総省に報告しなければ、今後の連邦研究資金の受給資格を維持できない可能性があることだ。

■研究の安全保障と国際連携の両立が課題に

国防総省は、納税者が支える研究投資を外国による不正利用から保護するため、大学には高い水準の研究安全保障が必要だとしている。指定機関が民間の総合大学にも広がったことで、研究者の所属確認や共同研究の審査は、軍事・防衛分野に限らず幅広い研究領域に及ぶ。

一方、国際的な研究交流を広範に制限すれば、米国の科学研究や人材交流にも影響し得るとの懸念がある。大学側を代表する米国教育協議会は、監査対象になった大学が不正を行っているかのような印象を、根拠を示さずに与えることに懸念を表明した。

対象校には、個々の研究の内容だけでなく、共同研究者の所属、資金源、設備の利用、提携組織の運営主体を確認し、安全保障上の規制と開かれた研究活動を両立させる体制の整備が求められる。

■注目ポイントQ&A

●監査の対象となった大学は不正を認定されたのですか?

いいえ。国防総省は監査対象になった30校について、違反や不正行為が確認されたとは発表していません。また、各校が選ばれた個別の理由も公表していません。

●大学は8月31日までに何をする必要がありますか?

指定外国機関などとの学術、資金、研究上の関係を監査し、機微情報や輸出管理対象研究への影響を評価したうえで、問題のある提携の終了を含む是正措置を実施し、その結果を国防総省へ報告する必要があります。

●6億3000万ドルはすべてハーバード・グローバル経由だったのですか?

そのようには確認されていません。下院委員会はハーバード・グローバルの構造が開示義務の回避を目的としていたように見えると主張しましたが、6億3000万ドルの全額が同組織を経由したとする根拠は示していません。

●第1286条の制限は通常の輸出管理とどう違うのですか?

通常の輸出管理は特定の技術や物品などを対象とします。第1286条では、国防総省が資金を提供する基礎研究について、指定機関との共同研究、その機関の設備の使用、所属研究者との連携が資金提供上の制限や審査の対象になります。

●未開示の連携が判明すると、大学は必ず3倍の賠償を負うのですか?

いいえ。虚偽請求取締法による3倍賠償は自動的に発生するものではありません。虚偽の申告を認識しながら政府への請求に用いたか、その情報が請求にとって重要だったかなど、個別の法的要件に基づいて判断されます。

元記事: Harvard Nonprofit Exposed as DoD Orders 30 Universities to Audit Foreign Research Ties

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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