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次期iPad AirのOLED、BOEが中国向け供給を目指す―サムスンに続く採用は年末判断

(Francois Hoang/unsplash.com)[写真拡大]
Appleが2027年前半に発表するとみられる次期iPad Airは、販売地域などによって搭載されるOLEDディスプレイの製造元が異なる可能性がある。韓国メディアThe Elecが業界関係者の話として報じたところによると、主要サプライヤーに選ばれたサムスンディスプレイに加え、中国パネル最大手の京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)が中国市場向けモデルや整備済製品などの第2供給元を目指しているという。BOEはまだAppleの量産認定を取得しておらず、採用の可否は2026年11月か12月に決まる見通しだ。
■BOEの製造拠点とパネルの仕様
The Elecが引用した業界関係者の情報によると、中国のBOEは、重慶にあるB12工場の第6世代OLEDラインで、次期iPad Air向けOLEDパネルを開発している。BOEは、すでに主要サプライヤーに選ばれているサムスンディスプレイに続く、第2供給元としての参入を目指しているという。次期iPad Airは11インチと13インチの2サイズで開発されていると報じられている。
報道によれば、次期iPad Airには、ガラス基板と薄膜封止(TFE)を組み合わせた「ハイブリッドOLED」が採用される見込みだ。ガラス基板による平坦性を維持しながら、上面を2枚目のガラスではなく薄膜で封止する構造で、一般的なリジッドOLEDより軽量化しやすい。
発光構造には、1ピクセル当たり1層の発光層を使用するシングルスタックRGB方式が採用されるとみられる。iPad Proが採用するタンデムOLEDは発光層を2層重ね、高輝度化や長寿命化を図る構造だが、製造コストも高くなる。次期iPad Airではシングルスタック方式を採用することで、iPad Proとの差別化とコスト抑制を図るものとみられる。
薄膜トランジスタ(TFT)のバックプレーンにはLTPS(低温ポリシリコン)が使われ、リフレッシュレートは60Hzになる見込みだ。iPad ProのProMotionで使われるような可変リフレッシュレートには対応しないと報じられている。BOEとサムスンディスプレイのいずれが製造する場合も、Appleが定める同じ基本仕様に基づくパネルとなる見通しだ。
■訴訟和解がもたらした参入の契機
BOEの動きで注目されるのが、サムスンディスプレイとの法的紛争が終結した後のタイミングである。サムスンディスプレイは2022年12月にOLED特許を巡る申し立てを行い、2023年10月にはBOEによる営業秘密の不正利用を主張する手続きを開始した。
2025年7月、米国国際貿易委員会(ITC)の行政法判事は、BOEによるサムスンディスプレイの営業秘密の不正利用を認定する初期判断を示し、BOE製OLEDパネルの米国への輸入を14年8カ月にわたって制限する排除命令を勧告した。ただし、これは最終命令ではなく、両社は最終判断が出る前の2025年11月に和解し、係争中の法的手続きを取り下げる方針を示した。
この和解により、BOEが米国市場向けを含むAppleの新たな製品カテゴリーで供給拡大を目指す際の大きな法的不確実性が解消された。今回のiPad Air向けパネル開発が和解から約9カ月後に明らかになったことから、元記事は両者に関連がある可能性を指摘している。ただし、AppleやBOEが和解と今回の開発との直接的な因果関係を公式に説明したわけではない。
■供給の主導権と今後のスケジュール
サムスンディスプレイはすでにiPad Air向けOLEDの主要サプライヤーに選ばれており、業界関係者によれば、2026年末から2027年初頭にかけて量産を開始する見込みだという。製品は2027年前半に発表されると予想されている。
一方、BOEは2026年8月11日の報道時点で量産認定の段階には達しておらず、今後サンプルを提出してAppleの評価を受ける予定だ。業界関係者は、量産認定の可否が2026年11月か12月に決まるとみている。Appleは通常、量産開始の1〜2カ月前に生産を承認すると報じられており、BOEに残された時間は限られている。
BOEがAppleの基準を満たせなかった場合、初期生産分はサムスンディスプレイが単独で供給する見込みだ。BOEが認定を取得した場合でも、当初の供給量は限定的となり、中国市場向けのiPad Airや整備済製品用のパネルに使われる可能性がある。現時点では、BOEが供給契約を獲得したことや、地域別の割り当てが正式に決まったことは確認されていない。
■BOEの品質実績という懸念材料
BOEが認定を取得できるかは不透明であり、近年報じられたiPhone向けOLEDの生産問題も判断材料となりそうだ。The Elecによると、BOEでは2025年11月から12月にかけて特定の製造工程で問題が発生し、iPhone 15、iPhone 16、iPhone 17向けパネルの一部で生産が停滞した。Appleは本来BOEが生産する予定だった数百万枚分をサムスンディスプレイへ振り替えたと報じられている。
iPhone 15とiPhone 16向けには比較的成熟したLTPS OLEDが使われていたため、より複雑なLTPO OLEDだけでなくLTPS製品にも問題が及んだことが業界関係者を驚かせたという。BOEでは過去にも、iPhone 15向けパネルのDynamic Island周辺で光漏れや歩留まりの問題が報じられている。
ただし、BOEは2024年にiPhone向けOLEDパネルを約4000万枚供給したとも報じられている。元訳文にあった「約4000万枚の注文に対して700万〜800万枚しか納入できなかった」との記述は、異なる対象期間や注文数量を扱った二次報道が混在しており、BOEの2024年通年の実績としては確認できないため削除した。
次期iPad Air向けとして報じられているシングルスタックLTPSパネルは、LTPOを用いる上位製品向けパネルより構造が簡素である。それでも、Appleの量産認定に合格し、量産期間を通して品質と歩留まりを維持できるかは未確定だ。
■BOEのコスト競争力と米国の規制
情報技術イノベーション財団(ITIF)の2024年の報告書によると、BOEは過去12年間に中国の中央政府や地方政府から推定39億ドル(約6201億円、1ドル=159円換算)の補助金を受けた。ITIFは、こうした補助金が中国のディスプレイ産業の価格競争力を支えてきたと分析している。
さらに米国防総省は2026年6月、国防権限法1260H条に基づく「中国軍事企業」のリストにBOEを追加した。この指定に伴い、2026年6月30日から米国防総省によるリスト掲載企業からの直接調達が制限されている。一方、この指定は一般の民間企業による通常の商取引を全面的に禁止する制裁ではなく、Appleが消費者向け製品のディスプレイをBOEから調達することを直接禁止するものではない。
ディスプレイパネルは、単体ではユーザーデータを保存したり通信したりする部品ではない。このため、ネットワーク機器やソフトウェアで問題となるデータ処理上のリスクとは性質が異なる。BOE製パネルの採用を巡って消費者に直接関係する主な論点は、現時点では品質、歩留まり、供給の安定性である。ただし、企業としてのBOEを巡る規制や取引上の評価と、個々のパネルが持つ技術的性質は分けて考える必要がある。
■消費者への影響と今後の展開
BOEがAppleの量産認定を取得した場合、BOE製とサムスンディスプレイ製のパネルはいずれも、Appleが次期iPad Air向けに指定する基本仕様と品質基準を満たす必要がある。このため、承認済みのパネルであれば、通常の使用で製造元による違いを容易に見分けられるとは限らない。
一方で、量産期間を通した歩留まりや供給安定性まで両社が同等になるかは、発売前の認定だけでは判断できない。BOEが当初供給すると報じられているのは中国市場向けや整備済製品用の限定的な数量であり、中国以外で販売される発売初期の新品には、主にサムスンディスプレイ製パネルが搭載される見込みだ。
今後、BOEはパネル開発とサンプル提出を進め、Appleの量産認定を受ける必要がある。認定を取得すれば、BOEにとってAppleのタブレット向けOLED供給網への初参入となる。一方、基準を満たせなければ、少なくとも初期生産分はサムスンディスプレイが単独で供給する見通しだ。
■注目ポイントQ&A
●iPad Air OLEDは、どこで購入しても同じメーカーのディスプレイが搭載されますか?
必ずしも同じになるとは限りません。業界関係者によると、サムスンディスプレイが主要サプライヤーに選ばれていますが、BOEが第2供給元として認定された場合、中国市場向けモデルや整備済製品にBOE製パネルが使われる可能性があります。ただし、BOEの採用や地域別の割り当てはまだ正式決定されていません。
●ハイブリッドOLEDとは何ですか?また、iPad Airのシングルスタック版はiPad Proのディスプレイとどう違いますか?
ハイブリッドOLEDは、ガラス基板を使い、上面を2枚目のガラスではなく薄膜封止(TFE)で覆う構造です。次期iPad Airは発光層が1層のシングルスタック方式を採用する見込みです。一方、iPad ProのタンデムOLEDは発光層を2層重ね、高輝度化や長寿命化を図っています。また、次期iPad Airのリフレッシュレートは60Hzになると報じられており、ProMotionには対応しない見込みです。
●サムスンディスプレイとBOEの営業秘密を巡る和解は、iPad Airにどう関係していますか?
2025年7月、米国国際貿易委員会の行政法判事はBOEによる営業秘密の不正利用を認定する初期判断を示し、BOE製OLEDパネルの輸入を14年8カ月にわたって制限する排除命令を勧告しました。両社は最終判断の前に和解し、係争中の手続きを取り下げる方針を示しました。これによってBOEの新規供給を巡る法的不確実性の一つが解消されましたが、和解が今回のiPad Air向け開発の直接的な原因だと両社が公式に説明したわけではありません。
●BOE製ディスプレイを搭載したiPad Airには、セキュリティやプライバシーのリスクがありますか?
ディスプレイパネルは単体でユーザーデータを保存、処理、送信する部品ではないため、ネットワーク機器やソフトウェアと同じ種類のデータセキュリティリスクを持つものではありません。BOE製パネルについて消費者に直接関係する主な論点は、品質や量産時の供給安定性です。ただし、製造元を巡る法規制上の評価と、部品そのものの技術的性質は分けて判断する必要があります。
元記事: iPad Air OLED May Split Displays by Geography: BOE for China, Samsung Worldwide
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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