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AppleがvisionOS 27ベータ5を公開、Siri音声カスタマイズはM5版Vision Pro限定の見通し

(Apple.com)[写真拡大]
Appleは8月10日、開発者向けに「visionOS 27」のベータ5を公開した。今秋と予想される正式リリースに向けた最終調整に入ったとみられ、M5搭載Apple Vision Pro限定のSiri音声カスタマイズ機能なども、現在の仕様のまま提供される可能性が高まった。既存のM2搭載モデルでは、ハードウェア上の制約により一部の高度なAI機能を利用できない見通しだ。
■秋の正式リリースに向けた機能が固まる
Appleは8月10日(月)、登録開発者向けに「visionOS 27 developer beta 5(ビルド24M5348b)」を公開した。ベータ4から3週間ぶりのリリースとなり、今秋と予想される一般公開に向け、ローンチ以来最大規模となるソフトウェアアップデートが最終段階に入ったことを示唆している。5回のベータ版を経ても機能構成に大幅な変更がないことから、6月のWWDC 2026で発表されたM5専用機能も、Appleが当初示した仕様のまま提供される可能性が高い。数十万人規模とされる既存のVision Proユーザーにとって、これが何を意味するかは、ヘッドセットに搭載されているチップにほぼ全面的に左右される。
Appleはベータ5におけるユーザー向けの具体的な変更点を明らかにしていない。開発者の報告や同ビルドに関する報道によると、テストサイクル終盤の傾向を引き継ぎ、バグ修正、安定性の向上、これまでに導入された機能の継続的な改良が中心となっている。Appleは例年8月に開発者向けと一般向けのビルドを相次いで公開しているため、数日以内にパブリックベータ版が登場すると予想されている。
過去4回のベータ版を通じてvisionOS 27の機能構成はすでに詳しく明らかになっており、ベータ5の登場によって、開発者は正式版に近い姿をこれまで以上に把握できるようになった。テスト中の主な機能は以下の通りだ。
Siri AIとVisual Intelligence:Siriは、ユーザーを取り巻く現実空間やデジタル空間について幅広く対話できる会話型AIとして再構築された。Vision ProのカメラとアイトラッキングからVisual Intelligenceへリアルタイムで情報を送り、物体や表面、画面上のコンテンツを識別して、文脈に応じた応答を行う。ユーザーの部屋の好きな場所に配置できる3次元のオーブ(球体)が、従来のSiri起動インターフェースに代わる。オーブを見るだけで会話を開始でき、「Hey Siri」と呼びかける必要はない。専用のSiriアプリには過去の会話が保存され、後から続きを話すこともできる。
曲面アプリウィンドウ:Safari、Apple TV、フリーボードが、ユーザーの視野を包み込むようにコンテンツを配置する曲面ウィンドウレイアウトに対応した。Vision Proの広大な仮想キャンバス上で、読書やメディア視聴への没入感を高めることを目的とした機能だ。
空間パノラマ:パノラマ写真を、周囲を取り囲む没入型の空間環境へ拡張できるようになった。平面画像として眺めるのではなく、奥行きが加えられたパノラマ空間の中へ入り込める。さらに、アイスランド南部高地のソルスモルク(「トールの森」の意)氷河谷を題材とする新しい環境が、内蔵ライブラリに追加された。
SafariのWeb Environments:開発者は新しい没入型APIを利用し、Safariから直接起動できる360度環境を構築できる。これにより、オープンウェブのコンテンツをVision Proに適した没入型表現で提供できるようになる。
コントロールセンターの再設計と視線対応通知:コントロールセンターが、通知、メディア再生、システムコントロール、没入型環境という4つの専用セクションに再編された。通知はユーザーが視線を向けると自動的に展開されるため、視線が自然な注意の合図となる場面ではハンドジェスチャーが不要になる。
Wi-Fi接続の高速化:Appleによると、ヘッドセットがWi-Fiへの接続を開始してから確立するまでの速度が、従来比で最大3倍高速になったという。これは一般的なデータ転送速度、すなわちスループットが3倍になるという意味ではない。
Macとの3Dモデル共同作業:対応するmacOSアップデートを導入したMacでは、3Dモデルをプレビュー、編集し、その内容をVision Pro内へリアルタイムに表示できる。クイックルックの強化により、ヘッドセット内で3Dモデルに直接注釈を加えることも可能になる。
高頻度オブジェクトトラッキング:高速で動く物体や、頻繁に位置が変わる現実空間の物体をリアルタイムで追跡する能力が向上した。これにより、動きのある現実の物体に仮想コンテンツを固定して表示できる範囲が広がる。
■M5搭載Vision Proがより多くの機能を利用できる理由
visionOS 27では、「Siriの音声設定」と「音声入力精度の向上」という2つの機能が、M5搭載Apple Vision Pro限定となっている。Siriの音声設定では、声の表現力、話す速さ、トーンをユーザーが調整できる。どちらの機能も、Appleで最も高性能なオンデバイスAIモデルとされる「AFM 3 Core Advanced」に依存している。その理由を理解するには、AFM 3 Core Advancedのアーキテクチャが、M2で動作するモデルとどのように異なるかを知る必要がある。
このモデルは200億のパラメータを持ち、M2搭載Vision Proや多くのAppleデバイスで動作する30億パラメータの「AFM 3 Core」よりはるかに大規模だ。通常、コンシューマー向けハードウェアで200億パラメータのモデルを動かすには、200億個すべての重みをアクティブメモリであるDRAMに保持する必要がある。しかし、現在のスマートフォンやヘッドセットに、そのすべてを格納できるものはない。Appleはこの問題に対し、同社の研究者が開発した「Instruction-Following Pruning(IFP)」という技術を採用した。AFM 3 Core Advancedはモデル全体をDRAMへ読み込む代わりに、すべての重みをNANDフラッシュメモリへ保存する。クエリを受け取ると、そのリクエストに関連するパラメータだけを、全200億のうち10億から40億の範囲でアクティブメモリへ読み込む。残りは読み込まれず、フラッシュメモリに保持される。
M2搭載Vision Proで高度なモデルを実行できないのはこのためだ。IFPを利用するには、特定水準のフラッシュメモリ帯域幅と、要求に応じて適切なパラメータ群をDRAMへ高速転送できるメモリコントローラのアーキテクチャが必要になる。M5のユニファイドメモリとストレージコントローラは必要なスループットを維持できるが、M2にはそれができない。この機能差はソフトウェア上の方針によるものではなく、M2ハードウェアで技術的に実現できる機能をAppleが意図的に制限しているわけではない。M2チップには、このモデルが必要とするI/Oアーキテクチャが備わっていないのである。
M2搭載Vision Proのユーザーも、標準のAFM 3 Coreモデルが対応するSiri AI機能は利用できる。これにはVisual Intelligence、3Dオーブのインターフェース、専用のSiri会話アプリ、ユーザーが見ているものについてリアルタイムで質問し、回答を受ける機能などが含まれる。利用できないのは、Siriの音声を個人向けに調整する機能だ。AFM 3 Core Advancedを使うM5版のSiriは、30億パラメータのモデルでは生成できない形で、音声応答の韻律や話す速さを変化させられる。M2ユーザーはSiriの標準音声を利用し、M5ユーザーはその音声を調整できる。
実用上の違いは音声カスタマイズだけではない。M2搭載Vision Proでは、一部のリクエストがAppleの「Private Cloud Compute」、またはさらに上位のクラウド処理層へ送られる一方、M5版では同様のリクエストをオンデバイスで処理できる場合がある。Siri AIは3層のアーキテクチャを採用している。単純なクエリはApple独自のモデルを使ってデバイス上で処理される。中程度のリクエストはAppleのPrivate Cloud Computeサーバーへ送られる。最も高度な推論タスクは、Google Cloud上のNvidia Blackwell B200 GPUで稼働する、カスタマイズされた1兆2000億パラメータのGeminiモデルへ転送される。クエリはGoogleへ到達する前にPrivate Cloud Compute層で匿名化およびトークン化され、AppleとGoogleの契約ではAppleユーザーのデータをモデルのトレーニングに利用することが禁じられている。AFM 3 Core Advancedを利用できるM5では、より広い範囲のリクエストを第1層のオンデバイス処理で扱えるため、デバイス外へ送信されるクエリが少なくなる。M2の小規模なモデルでは第1層と第2層の境界が変わり、複雑なリクエストがクラウドへ送られる機会が増える。
■M2ユーザーへの影響と秋のリリースに向けた展望
3,499ドル(約55万6000円、1ドル=159円換算)という価格を考えると、現在のVision Proは一般消費者よりも、企業や専門職のユーザーに利用されている可能性が高い。こうしたユーザーにとって音声カスタマイズ機能の欠如が実用上どの程度影響するかは、SiriがvisionOS上の作業でどれほど中心的な役割を担うかによって変わる。音声はヘッドセットにおける主要な、視線を操作に使わない入力手段であり、Siri AIはこのプラットフォームの入力機能として過去最大規模のアップグレードだ。M2のクラウド支援型Siriが日常的な利用では同じように感じられる回答を返すとしても、より多くのやり取りをオンデバイスで処理できるM5の能力は、アーキテクチャ上の重要な違いとなる。
発売から2年が経過した初代Vision Proは、この基準で見ると、2026年時点のAppleのオンデバイスAI戦略で実現できる上限にすでに達している。これはvisionOS 27を受け取る既存ユーザーだけでなく、M2版とM5版のどちらが価格に見合うかを検討する購入希望者にとっても重要な点になる。
AppleのvisionOSベータプログラムに登録している開発者は、ベータ5をヘッドセットへ直接インストールできる。「設定」>「一般」>「ソフトウェアアップデート」>「ベータアップデート」の順に進み、「visionOS Developer Beta」がオンになっていることを確認する。その後、「ソフトウェアアップデート」画面へ戻り、ビルド24M5348bをダウンロードする。Appleは主要なデバイスにベータ版ソフトウェアをインストールしないよう案内しており、専用のテスト機の使用を推奨している。同じビルドを基にしたパブリックベータ版も数日以内に提供される見込みで、beta.apple.comに無料のApple IDを登録すればアクセスできる。
visionOS 27の開発者向けベータサイクルは、iOS 27、macOS 27など、AppleのほかのOSの開発者向けベータ版とともに、6月8日のWWDC 2026で始まった。ベータ4から3週間を経て8月にベータ5が登場したことは、9月のハードウェアおよびソフトウェア発表に先立つ数週間にAppleが例年採用する進行ペースと一致する。初期のベータ版は2週間間隔で公開されていた。ベータ5までの間隔が長くなったことは、機能の組み込みから、Appleの最終的なリリース前テストに特徴的な安定性とパフォーマンスの調整へ、作業の重点が移ったことを反映している。
visionOS 27は、今秋にiOS 27およびmacOS Golden Gateとともに一般公開されると予想されている。iPhone 18シリーズが含まれるとみられる、Appleの9月のハードウェア発表に合わせた時期になる見込みだ。このリリース時期は、ティム・クック氏がエグゼクティブチェアマンとなり、ジョン・ターナス氏が9月1日付で正式にCEOへ就任する時期とも重なる。
このアップデートは、Vision Proプラットフォームへの競争圧力が高まる中で登場する。SamsungのGalaxy XRヘッドセットは約1,799ドル(約28万6000円、1ドル=159円換算)と、Vision Proのほぼ半額に設定されている。GoogleおよびQualcommと共同開発したAndroid XRプラットフォームを通じ、2026年には欧州とカナダへ展開地域を拡大している。ソフトウェア面でAppleが打ち出した対応は、Vision Proのチップ性能が可能にするもの、すなわちGalaxy XRのSnapdragon XR2+ Gen 2では現時点で対抗できないとされる高度なオンデバイスAIへ注力することだ。visionOS 27の機能構成、特にM5のAFM 3 Core Advancedを利用した機能は、その方針を明確にしている。
visionOS 27のAI統合と開発者向けツールが、本格的な空間アプリの成長を加速させるかどうか。秋の一般公開によって、その大きな問いへの答えが見え始めることになる。
■注目ポイントQ&A
●以前のベータ版と比べて、visionOS 27ベータ5では何が変わりましたか?
Appleはベータ5(ビルド24M5348b)の詳しい変更履歴を公開していません。開発者からの報告によると、このビルドはユーザー向けの新機能を追加するのではなく、バグ修正、安定性の向上、パフォーマンスの改善に重点を置いています。5回のベータ版が公開され、秋に予想される一般公開まで約1カ月となったこの段階では、Siri AIとVisual Intelligence、曲面アプリウィンドウ、空間パノラマ、SafariのWeb Environments、再設計されたコントロールセンター、Wi-Fi接続確立の高速化など、visionOS 27の機能構成はほぼ固まったとみられます。
●Apple Vision ProにvisionOS 27ベータ5をインストールするにはどうすればよいですか?
Vision Proの「設定」アプリを開き、「一般」>「ソフトウェアアップデート」>「ベータアップデート」の順に進み、「visionOS Developer Beta」が選択されていることを確認します。「ソフトウェアアップデート」画面へ戻り、ベータ5をダウンロードします。開発者向けベータ版へアクセスするには、Apple Developer Programの有効なメンバーシップが必要です。ベータ版ソフトウェアには安定性やパフォーマンスに影響する不具合が含まれる可能性があるため、Appleは主要なヘッドセットではなく、専用のテスト機を使用するよう推奨しています。
●なぜM5搭載Vision ProではSiriの音声を調整でき、M2搭載モデルではできないのですか?
この機能が、Appleの200億パラメータのオンデバイスAIモデル「AFM 3 Core Advanced」に依存しているためです。このモデルは、すべての重みをDRAMではなくNANDフラッシュメモリに保存し、「Instruction-Following Pruning(IFP)」という技術を使って、リクエストごとに10億から40億の関連パラメータだけを読み込むスパースアーキテクチャを採用しています。この処理には特定水準のフラッシュメモリ帯域幅とメモリコントローラ機能が必要です。M5チップにはこれらが備わっていますが、M2にはありません。この違いはアーキテクチャ上のものであり、M2はモデルが必要とするI/Oスループットを物理的に維持できないとされています。Appleがハードウェアの更新なしに解除できるソフトウェア上の制限ではありません。M2搭載Vision Proでも、30億パラメータの「AFM 3 Core」によるVisual Intelligenceや3Dオーブのインターフェースなどは利用できますが、音声のパーソナライゼーションには対応しません。
●visionOS 27はいつすべてのVision Proユーザーに提供されますか?
Appleは具体的なリリース日を発表していません。秋のiPhone発表に合わせて主要OSをリリースしてきたAppleの過去の傾向から、visionOS 27はiOS 27およびmacOS Golden Gateと同じ2026年9月に一般公開されると予想されています。開発者向けベータ5の公開から数日以内にはパブリックベータ版も登場する見込みで、beta.apple.comに無料のApple IDを登録すればアクセスできます。
元記事: visionOS 27 Beta 5 Locks In M5-Only Siri Voice: M2 Vision Pro Hits Hardware Ceiling
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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