ファンボロー国際航空ショー2026開幕へ:自律型戦闘機「ゴーストバット」初公開、2機の電動航空機が同日飛行、過去最大の混雑に
英ハンプシャー州のファンボロー空港および隣接するエキシビション&カンファレンス・センターにて、2026年7月20日から24日まで「ファンボロー国際航空ショー2026(FIA2026)」が開催される。78年の歴史の中で最大かつ最も混雑する開催回になるとみられており、41カ国から1,400社以上の出展者が集う。今回は電動航空機(eVTOL)2機による同日飛行や、ボーイングの無人戦闘機「MQ-28 ゴーストバット」の初展示など、航空宇宙産業の構造転換を象徴する技術が実機として一堂に会する。
■開催概要とスケジュール
FIA2026は、2022年に導入された「4日間のビジネスデー+1日間の一般公開日」のフォーマットを踏襲する。開催時間は以下の通りである。
7月20日(月):10:00〜16:00(初日のため短縮営業)
7月21日(火)〜23日(木):09:00〜17:30
7月24日(金):09:00〜17:30(一般公開日「Pioneers of Tomorrow」、飛行展示は12:30〜16:00)
ビジネスデーの期間中、毎日午後に飛行展示が行われる。金曜日の一般公開日の飛行展示も、ビジネスデーと同様のプログラムが予定されている。なお、英国政府の規制に基づき、ロシアおよびイランの企業の出展は見送られている。
■注目される飛行展示:F-35、電動航空機、そしてUAEアクロバットチーム
王立航空協会(RAeS)は、今年の飛行プログラムをここ数十年で最大かつ最も多様なものと評している。主な見どころは以下の通りである。
米国空軍のF-35AライトニングIIデモンストレーションチームが、2026年における欧州唯一の一般公開飛行展示を行う。これにより、ファンボローは今年、欧州で第5世代戦闘機の制限なしのフライトを見られる唯一の機会となる。
BETA Technologiesの電動固定翼機「CX300」の飛行が決定している。同機はショーに先立ち、ローガンエアーやロイヤルメールとの試験を実施してきた。
Vertical Aerospaceの「VA-1X」(認証書類上のプロトタイプ名称はVX4)も飛行展示に参加する。同社は2025年7月に、商業サービス向けに設計されたフルスケールの有翼チルトローターeVTOLとして世界初となる空港間有人飛行(コッツウォルズ空港からRAFフェアフォードまでの17マイル(約27.3km)を時速115マイル(約185km/h)、高度1,800フィート(約550m)で飛行)を完了した。2026年6月には最終プロトタイプによる有人初飛行を終えており、2029年までに英国民間航空局(CAA)から「Valo」eVTOLの型式証明を取得することを目指している。
CX300とVA-1Xが同じ日の午後にファンボローの空を舞えば、主要な国際航空ショーにおいて2機の電動航空機が同時に飛行展示を行う初の事例となる。2023年のパリ航空ショーの時点ではモックアップの展示にとどまっていたこの分野において、具体的なマイルストーンとなる。
民間機の主役としてはエアバスA350-1000が飛行し、軍用輸送機ではエンブラエルC-390ミレニアム、ビジネスジェットではボンバルディア・グローバル8000が登場する。
アラブ首長国連邦(UAE)のナショナルアクロバットチーム「フルサン・アル・エマラート」が7機編成でファンボローに初登場する。同チームは2025年11月のドバイ航空ショーで、従来の「アエルマッキMB-339」から中国製の練習機「洪都L-15」に機種変更したばかりである。L-15の性能向上により、よりアグレッシブな密集体系での機動が可能となり、黒と金の煙でUAEの国旗カラーを描く。チームは展示飛行の検証のため、7月11日にファンボロー空港に到着している。
■ボーイングの復活:地上展示の「ゴーストバット」と777Xの客室モックアップ
パビリオンC-620に位置するボーイングの展示エリアは地上展示の目玉であり、アラスカ航空の737 MAX 9のドアプラグ脱落事故の対応に追われて規模を縮小していた2024年と比べ、本格的な出展内容となっている。
「MQ-28 ゴーストバット」は、ファンボローで初の地上展示となる。オーストラリア国防省および王立オーストラリア空軍の「ロイヤル・ウイングマン」計画との提携により開発されたこの無人機は、有人戦闘機と随伴して飛行し、自律的に警戒監視、電子戦、打撃任務を遂行するよう設計されている。最近の試験ではAMRAAM空対空ミサイルの発射に成功し、太平洋での「バリアント・シールド」演習にも参加した。7月21日(火)には、メディア向けのブリーフィングが予定されている。
「777X」の客室インテリアも展示される。ボーイングが現在も型式証明の取得に向けて取り組んでいるこの大型ワイドボディ機の客室(フルサイズセクション)を、ビジネス来場者が体験できる。ボーイングが公表した最新の航続距離によると、777Xファミリーは最大9,500海里(約17,594km)の飛行が可能である。ボーイングのケリー・オルトバーグCEOは、7月13日のプレスリリースで「安全性、品質、そして納期遵守に注力しながら、信頼を築き続ける機会である」と述べている。
なお、ボーイングは今回のショーで民間機の飛行展示を行わない。737 MAXや777Xのデモンストレーター機が空を飛ぶことはなく、空中でのパフォーマンスよりも、納入実績を通じた信頼回復に注力する姿勢を示している。また、型式証明の取得待ちである737-7や737-10の飛行可能な実機も地上展示には登場しない。
カタール航空の出展キャンセル:2026年FIFAワールドカップの特別塗装を施したボーイング777-300ERや、ガルフストリームG700の展示を予定していたカタール航空は、7月13日に出展の全面取りやめを発表した。同社は、7月12日に前カタール首長シェイク・ハマド・ビン・ハリーファ・アール・サーニーが逝去したことを受け、喪に服すために参加をキャンセルしたと説明している。カタール政府は7月12日から4日間の国家服喪期間を発表していた。
■日英伊の次世代戦闘機「GCAP」:開幕直前の大型契約で加速
グローバル・コンバット・エア・プログラム(GCAP)は、これまでの航空ショーとは全く異なる位置づけでファンボローに乗り込んでくる。開幕の17日前にあたる7月3日、GCAP機関はBAEシステムズ、レオナルド、そして日本の航空機システム共同開発企業(JAIEC)による共同企業体「エッジウイング(Edgewing)」に対し、今後18カ月間の詳細設計およびエンジニアリングを推進するための46億ポンド(約7,452億円、1ポンド=162円換算)の契約を授与した。この契約は、2026年4月に授与された6億8,600万ポンドの暫定契約に続くものであり、英国の防衛投資計画が4年間で86億ポンドを同プログラムに投入することを約束した後に締結された。
このタイミングは極めて重要である。ドイツがライバル関係にある仏独西のFCASプログラムから離脱したと報じられたことで、GCAPは世界で唯一、輸出顧客が獲得可能な第6世代の大型制空戦闘機プログラムとなった。このステータスと7月3日の契約締結により、ホール4に新設される「防衛SME(中小企業)ゾーン」などを中心に、GCAPのサプライチェーンに関する商談が今回のショーで最も活発に行われるとみられる。同プログラムは2035年の就役を目指しており、2027年後半には実証機や試験機「エクスキャリバー」の飛行試験を予定している。
■受注見通しとサプライチェーンの課題
2024年のファンボロー航空ショーでは、公示価格ベースで約1,058億ドル(約17兆1,396億円、1ドル=162円換算)の航空機発注が発表された。市場分析会社IBAの事前予測によると、FIA2026での発注数は500〜875機と、やや控えめな規模にとどまる見通しである。これは、エアバスとボーイングが合わせて約16,000機という膨大な受注残を抱えている市場環境を反映している。
最も注目されている商談はエティハド航空である。ロイター通信は7月8日、同社がボーイング787ドリームライナー10機の新規発注に向けて最終調整に入っており、ショーの期間中に発表される可能性があると報じた。ただし、両社は交渉中であることを理由にコメントを控えており、関係者は契約書に署名されるまでは確定ではないと注意を促している。
今年のショーにおける真の焦点は、派手な受注総額よりも、メーカー各社が既存の受注残を確実に納入できる見通しを示せるかどうかに集まっている。プラット・アンド・ホイットニー製GTFエンジンの問題により、数百機のエアバス製ナローボディ機が運航停止や制限を余儀なくされており、CFM製LEAPエンジンの供給不足も同様に注視されている。7月21日(火)に予定されているサプライチェーンに関するセッションでは、こうした緊張関係が直接議論される可能性が高い。
■注目ポイントQ&A
●ファンボロー航空ショー2026で飛行展示を行う主な航空機は何ですか?
米国空軍のF-35AライトニングII、エアバスA350-1000、エンブラエルC-390ミレニアム、ボンバルディア・グローバル8000、GEエアロスペースのボーイング747-400テストベッド、ロールス・ロイスのスピットファイア、P-51Dマスタングなどが飛行します。また、BETA Technologiesの「CX300」とVertical Aerospaceの「VA-1X」という2機の電動航空機が同じ日の午後に同時に飛行展示を行う予定で、これは主要な国際航空ショーにおいて初の試みとなります。
●ボーイングの「MQ-28 ゴーストバット」とはどのような機体ですか?
オーストラリア国防省とボーイングが共同開発した無人戦闘機(協調型戦闘航空機)です。有人戦闘機と連携して飛行し、自律的に警戒監視や電子戦、攻撃任務を遂行するように設計されています。今回のファンボロー航空ショーで初めて地上展示(スタティックディスプレイ)が行われます。
●一般の航空ファンでも入場できますか?チケットの仕組みはどうなっていますか?
月曜日から木曜日までは業界関係者向けのビジネスデーとなっており、一般の方は入場できません。最終日である7月24日(金)は「Pioneers of Tomorrow」として一般公開され、21歳以下、学生、見習い技術者は入場無料となります。その他の一般来場者向けのチケットは、ファンボロー航空ショーの公式サイトで販売されています。
元記事: Farnborough Airshow 2026: Ghost Bat Debut, Dual eVTOL First, Record Demand
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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