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くら寿司が株主優待を復活 再び株主優待が注目される理由とは?
●くら寿司が株主優待復活でストップ高
回転寿司チェーン大手のくら寿司は2月19日、株主優待制度を再導入すると発表。翌日には株価がストップ高となり、好感されている。同社は昨年12月に廃止方針を打ち出し、失望売りを招いていた。
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他にも、2月にはコカ・コーラボトラーズジャパンHD、山形銀行、日本テレビHDが自社製品の商品券やQUOカードといった株主優待の導入を発表。トヨタ自動車も初の株主優待制度導入を発表しており、決済アプリ「トヨタウォレット」に最大3万円分の残高が付与される。
株主平等の原則の観点や、配送作業などのコスト面、東証改革などにより、オリックスやJTなど人気だった株主優待が廃止されてきたが、再び株主優待見直しの流れの背景にあるものとは何だろう?
●くら寿司の株主優待復活の理由
くら寿司は昨年末の廃止の理由として、海外の株主や機関投資家は優待制度を活用しづらく、公平性を重視するためと説明していた。
しかし2月19日、「多くの株主から株主優待制度の再開等のご意見・ご要望を頂戴した」として、わずか2カ月で再復活を決めた。
優待廃止後、株価は17%急落し、その後の10月期の減益も逆風となり、優待廃止前から30%以上も下落した。
一部には節税対策との噂もあるが、真相は分からない。少なくとも、優待廃止よりも続けたほうがメリットが大きい、というのは株価を見れば明白ではある。
●今後も導入企業は増える?背景に新NISA
2024年から開始した新NISAが、株主優待復活の追い風になっているとの指摘もある。
若年層の関心は高まっており、新NISAにより中長期での保有割合が増加し、株主優待が株主をつなぎ留める手段にもなっている。
政策保有株(持ち合い株)の解消により、安定株主を個人投資家へ切り替えたいとの思惑も、企業側にはある。
ただくら寿司のように、株主優待制度を廃止・復活することで株価が大きく動くと、機関投資家からは不満が出ることも考えられ、株主提案で株主優待が議題に上がることも考えられる。
銘柄によっては優待制度で神経質な動きになることも考えられ、投資家は、気を付けないといけないだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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