小さく生まれ大きく育っている:好収益街道を走るヴィス株とどう付き合うか

2025年3月4日 11:12

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 2020年3月25日に公開価格820円に対し754円と小さく生まれた企業の本稿作成中の時価が、1361円。小さく生まれて大きく育っている。

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 ヴィス(5071、東証スタンダード)。オフィスの設計・レイアウト・インテリが主力事業。上場直後の初決算:2020年3月期こそ「7.2%増収、2.3%営業増益、15円配」とこじっかりで歩み出したが、翌期はコロナ禍に晒され「13.2%減収、44.5%営業減益、7円減配8円配」。

 がその後は好調な足取り。「32.8%増収、93.2%営業増益、9円増配17円配」、前3月期も「23.2%増収、26.9%営業増益、15円増配36円配」。そして今期も第3四半期に上方修正し「12.5%の増収(162億300万円)、18.5%の営業増益(18億600万円)、8円増配44円配」計画。第3四半期実績を見る限り、着地に不安はない。

 かつ発表済みの長期計画(売上高250億円、営業利益25億円)実現に向けた、至26年3月期の中計は「売上高161億6900万円(23年3月期比22.3%増、営業利益15億9000万円(24.9%増)、従業員数330名(38%増))」。強気の姿勢を崩していない。背景として、こんな点が指摘されている。

 *東京23区・大阪市のオフィス供給状況が「(コロナ禍に晒された)21年~22年の平均12.8万坪に対し、23年から25年では22.0万坪」。都市圏のオフィス供給量は、緩やかながらも増加を持続する。

 *ヴィスの戦略転換(拡充)。19年から22年までのIPO数384社中、ヴィスのクライアントは94社。顧客の約25%を占めていた。が長期ビジョン・中計では「大規模案件の受注にも注力」としている。現に21年3月期以降は大規模案件の受注が、右肩がりとなっている。中計で従業員数を4割近く増やすのも、その為と捉えることが出来る。

 初春に発売の四季報でも業績欄の見出しを【独自増額】とし、「今期の営業利益を20億円、来期を21億5000万円」を見込んでいる。

 本稿作成中の時価は、前記のとおり1361円。予想税引き後配当利回り2.6%。予想ROE18.30%と儲け上手を示しながらも、予想PERは9.5倍水準。昨年来安値875円(8月5日)から同高値1530円(2月12日)まで買い直され、微調整揉み合い場面。過熱感は感じられない。

 押し目買い好利回り配享受も妙味ありだが、初値の倍近くまで大きく育っている点を見逃すのも如何か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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