富士通へ強まる逆風、英国史上最大の冤罪事件の不条理! (1)

2024年1月25日 16:21

印刷

 英国の郵便局に導入されている会計システムの不具合で、”英国史上最大の冤罪事件”が発生した。

【こちらも】富士通もいなくなった汐留の行く末

 1999年に富士通 UK(United Kingdom)がホライゾンという会計システムを、英国の郵便局に納入した。富士通 UKは、経営不振のため身売りされたICLという英国の国策IT企業を前身とし、1990年に富士通に買収され、2002年に現在の社名に変更されている。

 問題となっている「ホライゾン」システムは1995年に立ち上げられ、年間1億5000万ポンドにも及んでいた年金受給詐欺防止の切り札として期待されたという。

 英国でポスト・オフィスと呼ばれる郵便局は、政府が100%の株式を保有して運営し、末端の小規模な郵便局はフランチャイズで個人事業者が経営している。

 ポスト・オフィスは政府機関に準じて、社内に検察機能のある監察組織を持ち、不正経理や横領問題などに、独自の判断で迅速に対処してきた。

 この監査組織がどの程度の捜査能力を有していたかは不明だ。もっとも後に、ホライゾンの欠陥が原因だったと判明するような事案に「迅速」に対応した結果、英国史上最大の冤罪事件を生み出すに至った程度の捜査能力だから、おおよそ想像がつく。

 2000年に稼働を始めたホライゾンは、あり得ない「口座の残高不足」を表示した。当該郵便局の局長はこの監察組織に訴追され、初年度に6人の局長が「横領」という有罪判決を受けた。翌年の2001年には41人、2002年には64人と訴追される局長が続き、2014年までに合計で700人以上に上ったという。

 郵便局が犯罪の巣窟だったイメージだが、事案の性質上大っぴらに話題にされることがなかったため、そんな不可解な話は殆ど知られていなかった。訴追された局長の多くは「罪を認めれば、収監を免れる」という司法取引に応じて、身に覚えがないにも関わらず罪を認めた上に不足とされた金額の負担をさせられた。抵抗した236人もの無実の元局長が投獄され、4人の自殺が確認されている。(2)に続く(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

続きは: 富士通へ強まる逆風、英国史上最大の冤罪事件の不条理! (2)

関連キーワード

関連記事