月偵察オービターカメラが月面で崩壊した溶岩洞らしきものを発見 NASA

2023年10月10日 16:07

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グルイトハイゼン (北緯 34.7 度、東経 -43.7 度)付近にある崩壊した溶岩洞の一部の拡大図 (c) NASA/GSFC/アリゾナ州立大学

グルイトハイゼン (北緯 34.7 度、東経 -43.7 度)付近にある崩壊した溶岩洞の一部の拡大図 (c) NASA/GSFC/アリゾナ州立大学[写真拡大]

 月偵察オービターカメラ(略称:LROC)は、2009年6月にNASAによって打ち上げられた月偵察衛星(略称:LRO)に搭載された、3台のカメラからなるシステムだ。月の基本的な科学的知見を得る目的で、高解像度の白黒画像と中解像度のマルチスペクトル画像を撮影している。

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 LROは現在、高度50~200kmで月を周回しており、従来にない精細な月面画像がたくさん得られている。NASAは6日、月面の嵐の大洋にあるグルイトハイゼンKと呼ばれるクレーターの近くで撮影された、崩壊した溶岩洞らしき地形の写真を公開した。この地形は月面に空いた穴が曲がりくねったチェーン状に連なり、全長48kmにも及ぶ巨大なものだ。

 NASAによれば、この地形は溶岩流の噴出口である可能性があり、グルイトハイゼンKに溶岩洞がある場合、その幅は500メートルにも及ぶ可能性があるとしている。また、月の表面は大きな温度変動、宇宙放射線、隕石の衝突に見舞われるため、人や機器をこれらの危険から守るために、月下の空洞の中に生息地を設けることを提案する研究者もいるという。

 もしこの構造が、NASAの推論通りのものであるとすれば、これが近い将来人類による史上初の月面基地として利用されるかもしれない。他の研究によれば、このような地形の内部での温度は17度程度で安定しており、人間が過ごすには非常に快適である可能性が高いという。

 月の表面温度は、日中の最高温度127度から夜間の最低温度-173度まで変化し、とても人間が生きられる場所ではない。そのことを考えれば、溶岩洞は月のオアシスのような存在で、しかも今回発見された地形の規模は1つの都市がすっぽり収まるほどだ。

 月の火山活動は長く見積もっても20億年ほど前には停止しているため、溶岩洞に入った人が溶岩流に押し流されるという悲劇が起こる可能性はない。近い将来、月面溶岩洞に建設された基地は、人類が火星や太陽系外を目指すためのベースキャンプとして活用されるだろう。なぜならば月の引力は地球の6分の1しかなく、地球でのロケット発射コストよりも劇的に安価にできるからだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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