シナネンホールディングスは24年3月期大幅増益予想

2023年5月15日 12:57

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  シナネンホールディングス<8132>(東証プライム)は5月12日の取引時間終了後に23年3月期連結業績を発表した。原油価格やプロパンCPの高騰で大幅増収だが、電力事業における調達コストの高止まりと価格転嫁遅れ、IT関連投資や人件費の増加などで大幅減益だった。24年3月期は電力事業の収益改善やLPガス事業の料金改定などで大幅増益予想としている。電力事業については期初より価格改定を実施し、下期の大幅な収益回復を見込んでいる。また第3次中期経営計画では、創業100周年の28年3月期の目標にROE8%以上、経常利益100億円を掲げている。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は急反発して戻り高値圏だ。24年3月期大幅増益予想や低PBRを評価して上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期大幅減益だが24年3月期は大幅増益予想

 23年3月期の連結業績は売上高が22年3月期比18.3%増の3422億54百万円、営業利益が63.9%減の8億95百万円、経常利益が62.5%減の12億27百万円、親会社株主帰属当期純利益が80.8%減の4億78百万円だった。配当は22年3月期と同額の75円(期末一括)とした。配当性向は171.2%となる。

 原油価格やプロパンCPの高騰で大幅増収だが、電力事業における調達コストの高止まりと価格転嫁遅れ、IT関連投資や人件費の増加などで大幅減益だった。なお特別利益では固定資産売却益が8億63百万円増加、投資有価証券売却益が2億36百万円増加、特別損失では減損損失が22億15百万円増加、のれん償却額5億03百万円が剥落した。

 エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)は、売上高(外部顧客への売上高)が11.3%増の814億19百万円、営業利益(全社費用等調整前)が85.5%減の1億50百万円だった。主力のLPガス・灯油販売において、原油価格やプロパンCPの高騰に伴う販売単価上昇で増収だが、利益面は電力調達コスト上昇の影響で減益だった。

 エネルギーソリューション事業(BtoB事業)は、売上高が原油価格高騰に伴う販売単価上昇で22.0%増の2412億51百万円だが、営業利益は電力調達コスト上昇で3億46百万円の赤字(22年3月期は5億73百万円の黒字)だった。

 非エネルギー事業は売上高が6.9%増の193億54百万円、営業利益が4.3倍の8億56百万円だった。自転車事業(シナネンサイクル)は価格改定や新規法人開拓で増収増益、シェアサイクル事業(シナネンモビリティPLUS)は「ダイチャリ」の拠点開発、運営効率化、価格改定などの効果で黒字化した。23年3月末時点のステーション数は3100カ所超、設置自転車数は1万台超の規模となった。環境・リサイクル事業(シナネンエコワーク)は建築系廃棄物発生量減少の影響で減収減益だった。抗菌事業(シナネンゼオミック)は抗菌需要一服で減収減益だった。システム事業(ミノス)は電力自由化に対応した顧客情報システム(電力CIS)が伸長した。建物維持管理事業(タカラビルメンなど)は運営エリア拡大や新規受託などで増収増益だった。なお建物維持管理事業を手掛けるグループ4社を23年10月に統合する。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が711億94百万円で営業利益が50百万円の赤字、第2四半期は売上高が685億46百万円で営業利益が7億70百万円の赤字、第3四半期は売上高が956億57百万円で営業利益が3億55百万円の黒字、第4四半期は売上高が1068億57百万円で営業利益が13億60百万円の黒字だった。ガスや灯油の需要期である下期の構成比が高い季節特性がある。

 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比5.2%増の3600億円、営業利益が123.2%増の20億円、経常利益が87.3%増の23億円、親会社株主帰属当期純利益が171.5%増の13億円としている。配当予想は23年3月期と同額の75円(期末一括)としている。予想配当性向は63.0%となる。

 原油価格高騰が一服して小幅増収となり、引き続きIT関連投資を含む支払手数料や人件費が増加するが、電力事業の収益改善やLPガス事業の料金改定などで大幅増益予想としている。電力事業については期初より価格改定を実施し、下期の大幅な収益回復を見込んでいる。また第3次中期経営計画では、創業100周年の28年3月期の目標にROE8%以上、経常利益100億円を掲げている。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は急反発して戻り高値圏だ。24年3月期大幅増益予想や低PBRを評価して上値を試す展開を期待したい。5月12日の終値は3755円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS118円98銭で算出)は約32倍、今期予想配当利回り(会社予想の75円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4902円63銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約490億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

【関連記事・情報】
【株式市場特集】1月以来、業績を上方修正して黒字転換した銘柄の決算発表日に注目(2023/04/24)
【株式市場特集】鉄鋼株、オートバイ株、産業ロボット株をバフェット氏へ推薦(2023/04/17)
【株式市場特集】「楽しい株式投資」を提案!大谷翔平・WBC関連株と藤井聡太関連株(2023/04/10)
【株式市場特集】消費関連の最出遅れ株、サードパーティー銘柄ともいうべき食品・水産物の卸売株に注目(2023/04/03)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事