加賀電子は24年3月期減益予想だが25年3月期回復シナリオ

2023年5月15日 12:54

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  加賀電子<8154>(東証プライム)は5月11日の取引時間終了後に23年3月期連結業績を発表した。前回予想を上回る大幅増収増益で過去最高業績だった。電子部品事業において部品販売、EMSとも大幅伸長した。24年3月期は減収減益予想としている。コロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響で一時的な需要減退を見込んでいる。なお中期経営計画最終年度25年3月期の営業利益目標を大幅に引き上げている。25年3月期は成長に戻るシナリオだ。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は高値圏だ。24年3月期減収減益予想に対するネガティブ反応も限定的だった。指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期大幅増収増益、24年3月期減益予想だが25年3月期回復

 23年3月期の連結業績は売上高が22年3月期比22.6%増の6080億64百万円、営業利益が54.2%増の322億49百万円、経常利益が52.6%増の327億39百万円、親会社株主帰属当期純利益が49.8%増の230億70百万円だった。配当は22年3月期比100円増配の220円(第2四半期末100円=普通配当70円+特別配当30円、期末120円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円+特別配当40円)とした。配当性向は25.0%となる。

 前回予想を上回る大幅増収増益で過去最高業績だった。電子部品事業において部品販売、EMSとも大幅伸長した。広範な産業向けに高水準で推移した。売上総利益率は12.9%で0.7ポイント上昇し、販管費比率は7.6%で0.4ポイント低下した。営業利益113億34百万円増益の要因分析は、販売数量・販売ミックス(為替影響、スポット販売含む)で+179億67百万円、販管費増加(インフレ手当・一時金、為替影響含む)で▲66億33百万円、為替影響(ネット)で+17億82百万円だったとしている。

 営業外では持分法投資損益が改善(22年3月期は損失4億72百万円、23年3月期は利益97百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が増加(22年3月期は3億63百万円、23年3月期は6億26百万円)した。特別損失では減損損失が増加(22年3月期は93百万円、23年3月期は6億44百万円)した。

 電子部品事業は、売上高が24.3%増の5393億42百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が56.4%増の283億14百万円だった。部品販売ビジネスは広範な業界向けに販売が高水準に推移した。車載向けは一部製品で供給不足が続いたが、独立系商社としての調達力の強みを活かして販売物量を確保した。EMSビジネスも車載関連、医療機器関連、事務機器関連など主要顧客向けが好調だった。

 情報機器事業は売上高が10.3%増の436億80百万円、利益が17.4%増の24億49百万円だった。法人向けおよび教育機関向けパソコン販売は、台数ベースでは伸び悩んだが、高価格帯製品の好調で金額ベースでは好調だった。また、資材不足で遅延していたLED設置ビジネスは、全国規模の大型案件の施工が進捗した。

 ソフトウェア事業は売上高が8.3%増の29億98百万円、利益が2億86百万円の黒字(22年3月期は26百万円の赤字)だった。スマホ向けゲーム制作やCG制作における大型案件や新規案件の受注が回復し、コスト削減も寄与した。

 その他事業は売上高が12.5%増の220億44百万円、利益が76.0%増の11億01百万円だった。PC製品・周辺機器のリサイクルビジネスが好調に推移した。アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器やゴルフ商品も回復した。

 会社別の営業利益(連結調整前)は、加賀電子が41.6%増の218億99百万円、加賀EFIが121.8%増の81億03百万円、エクセルが7.0%増の20億72百万円だった。また中計セグメント別営業利益(連結調整前)は、電子部品事業が75.5%増の194億75百万円、EMS事業が30.0%増の95億63百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)事業が17.4%増の24億49百万円、その他事業が159.4%増の6億63百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1493億02百万円で営業利益が98億20百万円、第2四半期は売上高が1494億58百万円で営業利益が85億41百万円、第3四半期は売上高が1534億60百万円で営業利益が76億45百万円、第4四半期は売上高が1558億43百万円で営業利益が62億43百万円だった。

 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。普通配当ベースでは増配の形となる。予想配当性向は32.1%となる。

 減収減益予想としている。コロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響で一時的な需要減退を見込んでいる。営業利益72億49百万円減益の要因分析は販売数量・販売ミックスで▲52億05百万円、スポット販売減少で▲43億09百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。

 なお中期経営計画最終年度25年3月期の営業利益目標を従来の「200億円」から今回の「300億円以上」に大幅に引き上げている。24年3月期は一時的な需要減退の影響を受けるが、25年3月期は成長に戻るシナリオだ。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は上値試す

 株価高値圏だ。24年3月期減収減益予想に対するネガティブ反応も限定的だった。指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。5月12日の終値は4950円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約4.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約1421億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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