JSPは23年3月期が減益着地だが、24年3月期は大幅増益予想

2023年5月1日 12:47

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  JSP<7942>(東証プライム)は4月28日取引時間終了後に23年3月期連結業績を発表した。需要が概ね堅調に推移し、製品価格改定も寄与して2桁増収だったが、期前半に製品価格改定が遅れた影響で原材料価格・ユーティリティコスト高騰の影響をカバーできず減益だった。ただし概ね計画水準で着地した。24年3月期は需要が堅調に推移して増収、製品価格改定の進展も寄与して大幅増益予想としている。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。株価は3月の年初来高値圏から反落したが、調整一巡して切り返しの動きを強めている。24年3月期大幅増益予想や低PBRを評価して上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期減益着地、24年3月期大幅増益予想

 23年3月期連結業績は売上高が22年3月期比15.4%増の1317億14百万円、営業利益が35.6%減の29億56百万円、経常利益が30.9%減の33億63百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が12.5%減の25億31百万円だった。配当は22年3月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)とした。配当性向は58.9%となる。

 売上面は需要が概ね堅調に推移し、製品価格改定も寄与して2桁増収だったが、利益面は、期前半に製品価格改定が遅れた影響で原材料価格・ユーティリティコスト高騰の影響をカバーできず減益だった。ただし概ね計画水準で着地した。

 押出事業は売上高が8.6%増の424億43百万円、営業利益(全社費用等調整前)が36.5%減の17億67百万円だった。全体として販売数量は前期並みだったが、製品価格改定効果で増収だった。利益面は製品価格改定遅れ、原材料価格・ユーティリティコスト高騰の影響で減益だった。分野別売上状況として、生活資材製品は食品容器用「スチレンペーパー」や広告宣伝用ディスプレイ材「ミラボード」などが増加、産業資材製品は液晶パネルの生産調整の影響でフラットパネルディスプレイ用「ミラマット」などが減少した。建築土木資材製品は「ミラフォーム」などの販売が前期並みだったが、製品価格改定効果が寄与した。

 ビーズ事業は売上高が20.8%増の827億61百万円で営業利益が22.2%減の20億38百万円だった。全体として発泡ポリプロピレン「ピーブロック」を中心とする高機能材製品の販売増加や製品価格改定効果で大幅増収だった。利益面は原材料価格高騰に対する製品価格改定遅れ、ユーティリティコスト高騰、人件費増加なの影響で減益だった。分野別売上状況として、自動車部品など幅広い分野で使用されている「ピーブロック」は国内が自動車分野の回復遅れで前期並みだったが、北米は低調だった前期からの回復などで大幅伸長した。ユニットバス天井材等に使用されているハイブリッド成形品「FOAMCORE」は需要回復で増加した。

 その他は売上高が0.4%減の65億08百万円で営業利益が21.5%減の1億66百万円だった。一般包材が、国内では自動車部品輸送関連中心に増加したが、中国では各種部品間の需要減の影響で販売減少した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が309億77百万円で営業利益が7億64百万円、第2四半期は売上高が332億75百万円で営業利益が6億40百万円、第3四半期は売上高が348億28百万円で営業利益が9億11百万円、第4四半期は売上高が326億34百万円で営業利益が6億41百万円だった。

 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比2.5%増の1350億円、営業利益が62.4%増の48億円、経常利益が48.7%増の50億円、親会社株主帰属当期純利益が34.3%増の34億円としている。配当予想は23年3月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。予想配当性向は43.8%となる。

 需要の緩やかな回復基調を見込み、原材料価格、ユーティリティコスト、物流コストなどの上昇に対する製品価格改定やコスト削減に取り組む方針だ。セグメント別の想定として、押出事業は販売増加で増収だが固定費増加で営業利益横ばい、ビーズ事業は「ピーブロック」の販売回復や製品価格改定などで増収増益、その他は概ね23年3月期並みとしている。

 24年3月期は需要が堅調に推移して増収、製品価格改定の進展も寄与して大幅増益予想としている。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は3月の年初来高値圏から地合い悪化も影響して反落したが、調整一巡して切り返しの動きを強めている。週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形となった。24年3月期大幅増益予想や低PBRを評価して上値を試す展開を期待したい。4月28日の終値は1564円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS114円06銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3076円73銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約491億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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