第2創成期入り宣言:タカトリの収益急伸と今後のカギ

2023年1月19日 16:38

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 タカトリ(東証スタンダード)。精密切断加工機を中心に、液晶・半導体業界向け製造機器等を手掛ける。自社開発の「ラインクローザー」と呼ばれる技術による、祖業でもあるパンスト製造機では世界屈指という側面も持つ。

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 そんなタカトリのこの間の収益動向は「2018年9月期:営業利益4億1500万円」⇒「19年9月期:1900万円の営業損失」⇒「20年9月期:7100万円の営業損失」⇒「21年9月期は3億8900万円の営業利益計上」⇒前9月期は「56.6%増収、246.5%営業増益、172.2%最終増益、15円増配30円配」と一転急伸。

 そして今期も「56.5%の増収(160億円)、62.8%の営業増益(22億円)、55.6%の最終増益(16億円、最高益更新)、10円増配40円配」計画と、四季報の業績欄の見出し【絶好調】も頷けなくもない。何がどう変わったというのか。

 22年9月期の決算資料を覗いた。一口で言うと主力:電子機器事業が前期比64.5%増収、221.8%営業増益と急回復。

 資料には「回復基調だったディスプレイパネルの販売が、コロナ禍の巣ごもり需要の一段落でパネルメーカーの投資計画の延期で低調。一方で半導体製造機器ではリモートワーク拡大による通信インフラ用ICチップや電子部品の需要の高まり、自動車電動化や機器の省電力化などでパワーICチップの需要が内外とも好調に推移。高シェアを持つ半導体向けSiC材切断加工装置が好調な展開となった」といった背景が読み取れる。

 市場の環境変化に揺さぶられながらも、電子機器事業に関しては「強さ」が見て取れる。増田誠社長も「高硬度脆性材料の切断加工機、半導体やパネルディスプレイ分野の製造装置及び自動裁断機などの主軸強化を図りつつ・・・新規分野の強化で第二創成ステージに立つ」と発信している。

 新規分野としては具体的に「医療機器」分野が、立ち上がっている。想定通りに新規事業が進めば、タカトリは新たな成長ステージに歩みを進めることが可能になろう。

 「胸腹水濾過濃縮装置」「体外循環装置用遠心ポンプ駆動装置」を両輪に進出するが、前期は「コロナの影響」に晒された。「長納期化」「新規ODM(相手先ブランドで設計から製造までを請け負う)の保留・先送り」。

 昨年1月の昨年来安値:1012円から10月下旬までは、ほぼ横ばいで推移。だが直後から急伸し11月末には9760円に。時価は8000円台出入り水準も、株価動向にはフォローの感を覚えるが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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