ジェイエスエスは調整一巡、23年3月期大幅増益予想で収益改善基調

2022年10月27日 09:13

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 ジェイエスエス<6074>(東証スタンダード)はスイミングスクールを全国展開し、スイミングスクール特化型企業では首位の施設数を誇っている。成長戦略として、新たな生活様式に適応しつつ水泳指導技術を活かした商品開発の強化などを推進するとともに、スイミングにとどまらず健康運動への取り組みも推進している。23年3月期はコロナ禍の影響が和らいで大幅増益予想としている。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。株価は地合い悪化も影響して上げ一服の形だが大きく下押す動きも見られない。指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。

■スイミングスクール運営首位

 スイミングスクールを直営と受託で全国展開している。22年4月1日現在の事業所数は、直営63カ所と受託21カ所の合計84カ所(うちコンパクトプールが直営13カ所と受託2カ所の合計15カ所)である。スポーツ施設運営企業として8位規模だが、スイミングスクール特化型企業では首位の施設数を誇っている。

 22年3月期の部門別売上高は、スイミングスクール収入が69億52百万円(うち直営事業収入が60億22百万円、受託事業収入が6億89百万円、企画課外収入が2億40百万円)、商品売上が5億63百万円、その他の営業収入が33百万円だった。

 22年3月期末の会員数は子供会員が21年3月期末比1.3%増の8万1383人、大人会員が4.8%減の9523人、合計が0.6%増の9万906人、コース別会員数は注力している単価の高い選手・育成コースが1.3%減の5197人、長期在籍が見込まれるベビー・キンダーコースが1.6%増の2280人だった。21年3月期と22年3月期はコロナ禍の影響を受けたが徐々に回復傾向となっている。

 選手強化の実績として、東京2020オリンピックにおいて、競泳では渡辺香生子選手、五十嵐千尋選手、白井璃緒選手、飛込では玉井陸斗選手、荒井祭里選手、板橋美波選手、伊藤洸輝選手が出場した。

 スクール事業の強みには、総合フィットネスクラブとの比較で景気に左右され難いという点がある。入会から四泳法習得まで2~3年の安定した在籍が期待され、ベビーからの入会や選手コースへの進級で長期在籍の可能性も高まる。大人会員は高齢者が中心で、生涯スポーツ化も期待される。

 20年3月には、ニチイ学館<9792>との資本業務提携を解消し、日本テレビホールディングス<9404>と業務資本提携した。日本テレビホールディングスのグループ会社でフィットネスジムを展開するティップネス(関東エリアを中心に全国170店舗を展開、スポーツ施設運営企業として3位規模)と協業してシナジーを創出する。

■商品開発を強化

 中期経営計画(21年6月にローリング)では目標数値として、最終年度24年3月期の売上高91億円、経常利益4億37百万円、当期純利益2億76百万円、EPS71円24銭を掲げている。コロナ禍を乗り越えて成長基調への回帰を目指す。

 成長戦略として、新たな生活様式に適応しつつ水泳指導技術を活かした商品開発の強化などを推進するとともに、スイミングにとどまらず健康運動への取り組みも推進している。

 重点施策として、事業戦略では年間2事業所程度の着実な出店、中高年層をターゲットとしたプログラムの開発、水泳指導技術を活かした商品開発の強化、物販の拡大(JSS会員向けの会員グッズ販売、グループ外スクールに対する水中運動マシンなどのスイミング用品販売)、選手強化、業務受託および業務提携など事業パートナーとの連携、人事戦略では教育・研修の充実、評価制度・昇給制度の改革、女性社員の職域拡大と活用の高度化、財務戦略ではコロナ以前の業績回復、東証市場区分見直しへの対応を推進する。

 店舗展開では、少子化による施設当たり会員数減少や施設老朽化への対策として、平屋建てで天井高が低いコンパクトプールの新規出店・新築移転を推進して利益率向上を図る方針だ。ティップネスとの協業としては、オンラインフィットネス「トルチャ」や、地域健康支援合同企画「JSSキッズファミリープラン」などを開始している。

 大人会員施策の一環としては、水中バイクと水中トランポリンを利用したオリジナルプログラム「バイポリン-W」を展開している。その他の施策としては、独自の療育システムに基づく児童発達支援サービスと放課後等デイサービスの提供、自治体等からの水泳授業受託サービスなども推進している。

 22年8月には、児童発達支援および放課後等デイサービス事業「JSS水夢」の2事業所目として、22年11月(予定)にJSS水夢北神戸(仮称、兵庫県神戸市北区、JSS北神戸スイミングスクール内)を開設すると発表した。

■スタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書

 22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編についてはスタンダード市場を選択し、スタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。

 中期経営計画で掲げた経営戦略および重点施策を着実に実施することで、業績の向上および企業価値の向上(時価総額の増大)を図り、25年3月期までにスタンダード市場の上場維持基準を充たすよう各種取組を進めるとしている。

■23年3月期大幅増益予想で収益改善基調

 23年3月期の業績(非連結)予想は売上高が22年3月期比10.9%増の83億73百万円、営業利益が21.0%増の3億50百万円、経常利益が21.6%増の3億46百万円、当期純利益が2.5倍の2億80百万円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の12円(第2四半期末6円、期末6円)としている。連続増配予想である。なお株主への公平な利益還元という観点から、株主優待制度については22年3月末対象をもって廃止し、配当による直接的な利益還元に集約するとしている。

 コロナ禍の影響が和らいで大幅増収増益予想としている。事業所展開は既存施設の新築移転を含めて年間2店舗程度の開設を想定している。成人集客については、水中ウォーキングプログラムの深化、水中バイクプログラムの直営営業所への展開、水中バイク以外のプール対応型マシンの製品化などを推進し、大人への訴求力強化を図るとしている。

 第1四半期の業績は、売上高が前年同期比6.3%増の19億21百万円、営業利益が30.9%増の75百万円、経常利益が32.2%増の74百万円、四半期純利益が45百万円の黒字(前年同期は6百万円の赤字)だった。

 コロナ禍の影響が継続したが、前年同期との比較では影響がやや和らいで増収となり、増収効果などで大幅増益だった。なお全事業所合計の第1四半期末会員数は前年同期比0.6%減の9万305人となった。

 通期業績予想は据え置いている。第1四半期の進捗率は売上高が22.9%、営業利益が21.4%、経常利益が21.4%、当期純利益が16.1%と概ね順調だった。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。

■株価は調整一巡

 株価は地合い悪化も影響して上げ一服の形だが大きく下押す動きも見られない。指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。10月25日の終値は452円、今期予想PER(会社予想のEPS72円45銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の12円で算出)は約2.7%、前期実績PBR(前期実績のBPS636円29銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約18億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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