デジタルマネー、給与振込に解禁決定! 銀行やクレカ業界にも影響甚大! (上)

2022年9月20日 07:35

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 スマホなどによって使用されるデジタルマネーが、23年春から給与振込に解禁されることが、9月13日に事実上決定した。厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会の分科会長が、省令改正等の準備を促した。

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 賃金の支払いは当たり前のように振込で行われているが、法律上賃金は現金で支払われるのが原則である。労働基準法に於いて、賃金は通貨で直接労働者に全額を毎月1回以上、一定の期日に支払わなければならない、と定められている。悪質な雇用者によって、労働者が不利益を被らないように定められた賃金の5原則だ。半世紀前の給料日には、職場の上司が現金の入った給料袋を労働者に手渡して、労働者が何故か礼を言うのが日常の光景だった。

 給料袋に収める現金は、担当者が金種を計算して銀行から持ち帰り、個々人の給料袋に封入する。所帯の大きな職場では、最後の○○さんの給料が過不足なく袋詰めできなければ、担当職員全員で袋詰めした給料全てを改め直さざるを得ない。給料日の前日は、担当部課にとって心身共に緊張を強いられる鬼門のような日だった。

 給与振込になっても、給与明細が上司から渡されるので、相変わらず頭を下げて受け取る人がほとんどだった。最近は、給与明細が個々人宛にメール等で送られるようなので、給料日の光景は様変わりしている。

 21年春としていたデジタルマネーによる給与振込が2年遅れになったのは、労働者を守る仕組みに対する厚労省と連合の、思惑の違いを埋めることに時間がかかったからだ。

 最終的に、決済サービス事業者が経営破たんした場合、口座残高の上限と設定された100万円までの全額を、4〜6営業日以内に支払えるように保証システムを設けることで双方が合意した。民間の保証会社に、一定の保証料を支払って契約するイメージだ。決済サービス事業者には財務状況等を厚労相に報告する体制を構築し、厚労相の指定を受ける事が求められる。

 加えて、デジタルマネーとなった給与は1円単位の引き出しが出来て、毎月1回は手数料なしの引き出しができるサービスの提供が必要となる。労働者本人の同意が必要なことは言うまでもない。現在80社を数える資金移動業者のうちでどの程度の業者が指定要件を充足させるかは流動的だが、意外に絞られると見る向きもある。(続く)(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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