観測史上最大の彗星、ハッブル宇宙望遠鏡で直径を特定 マカオ科技大ら

2022年4月20日 07:48

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彗星C/2014 UN 271 (c) NASA, ESA, Zena Levy (STScI)

彗星C/2014 UN 271 (c) NASA, ESA, Zena Levy (STScI)[写真拡大]

 ベルナーディネッリ・バーンスティーン彗星(正式名称C/2014UN271)は、 ダークエネルギーサーベイの観測機器で2014年10月10日から2018年11月26日までの期間に撮影された42枚の画像から見出された、非常に暗い天体だ。彗星として認識され世界に公表されたのは、2021年6月のことであった。従来発見された彗星の核の大きさが最大でも数十km程度であるのに対して、この彗星の核は100kmを超えると考えられ、存在が発表された当時から注目される存在となっていた。

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 マカオ科技大学(MUST)、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の科学者らは、ハッブル宇宙望遠鏡データを用いてこの彗星を観測。その解析結果についての論文が、米誌アストロフィジカルジャーナルレターズで公開された。

 2022年1月に行なわれたこの解析によると、核の直径は119±15kmにも及ぶとされる。太陽を周回する公転周期は約300万年だが、幸運にも2031年に太陽に最も接近する。

 ただし観測史上最大とされる彗星にもかかわらず、地球に最も接近した際の距離は約11天文単位で土星よりも遠いため、16等星よりも明るくなることはない。

 肉眼でその雄姿を確認できないのは残念だが、300万年に1度しか太陽に接近しない彗星を大望遠鏡によって直接観測できるチャンスが、10年以内に訪れる。またこれに先立つ別の研究では、今回の太陽接近により軌道要素が変化し、公転周期がより長くなるとの予測もある。次回接近時(約500万年後と推定されている)に人類が果たして地球で生き延びていられるかどうかも、わからない。

 直径2.4mのハッブル宇宙望遠鏡をもってしても、地球から数十億kmも離れたこの彗星からのかすかな光を正確に捉えるのは、非常に困難である。そこで科学者らは宇宙線ノイズなどを除去する処理(ラプラシアン宇宙線除去アルゴリズム)を用いて、彗星の鮮明な画像を得ることに成功したという。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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