「失われた30年」「大廃業時代」日本経済の大きな課題を解決するために、求められるのは"次の"後継者(連載第2回)

2021年11月3日 16:24

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記事提供元:biblion

 (連載第2回)0→1起業ではなく、今ある会社を受け継ぐ「ネクストプレナー」による事業承継。これまでの日本にはない新しい起業のスタイルといえるでしょう。本連載では、今なぜ、ネクストプレナーなのか、その背景にある課題とともに、新しい起業スタイルとその働き方を提案しています。

「失われた30年」「大廃業時代」日本経済の大きな課題を解決するために、求められるのは

 本連載は、書籍『今日から1年後に社長になる方法―今ある会社を継いで、想いと事業を育てる「ネクストプレナー」』(2021年9月発行/著者:河本 和真)の一部を、許可を得て抜粋・再編集し収録しています。

今日から1年後に社長になる方法ー今ある会社を継いで、想いと事業を育てる「ネクストプレナー」

今日から1年後に社長になる方法ー今ある会社を継いで、想いと事業を育てる「ネクストプレナー」連載第1回の記事はこちらからご覧いただけます。
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■ゼロイチ起業が全部じゃない。今ある会社をつないで育てるネクストプレナーという働き方

 ■「もっと自分を生かせる場所があるのではないか」とモヤモヤしている方へ
 ■2025年に迫る「大廃業時代」。ネクストプレナーが日本経済の救世主に 販売サイトへ

著者:河本 和真

著者:河本 和真Growthix Capital株式会社 取締役/一般社団法人ネクストプレナー協会 代表理事。 大学院在学中に、学業と並行してベンチャー企業の立ち上げに従事。2014年4月、野村證券株式会社入社。入社後3年間、東京都内の支店にて証券リテール営業に従事。社内最速2年目での職位昇格を果たす。2017年にテック系M&Aアドバイザリーに参画。M&Aによる事業再生案件等を手掛けた後、2019年6月より、Growthix Capitalの創業メンバーに参画。譲渡に備えた財政状態の整備や、譲受後の戦略コンサルティング等エグゼキューションのみならず幅広くお客様のニーズにお応えする。

ネクストプレナー協会

ネクストプレナー協会サステナ社団(一般社団日本事業継続支援機構)が運営するネクストプレナー協会のWebサイトです。前回の記事では、ネクストプレナーという働き方と、新しい事業承継の仕組みをお伝えしました。私たちは、このネクストプレナーの存在が、これからの日本経済の救世主となると考えています。

 なぜ、今ネクストプレナーが必要なのか。
 今回は少し視野を広げて、これまでとこれからの日本経済と、ネクストプレナーの関係についてお伝えします。

「失われた30年」を「失われた40年」にしないために

 「失われた30年」という言葉を聞いたことはありますか?
 1989年12月、日経平均株価は史上最高値の3万8915円を記録しました。しかしその翌年から相場は崩れ始め、バブルが崩壊。その後株価は下がり続け、ある程度回復の兆しは見せながらも2019年12月の終値は2万3656円。ついにこの30年間で好景気を取り戻すことはできませんでした。
 このことから日本経済の低迷を指して「失われた30年」という表現が使われています。
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 現在20代から30代の方は、子どもの頃からほとんど好景気を体感することなく過ごしてきたことになります。
 これら経済成長の低迷と不景気は、これまで「失われた30年」を担ってきた人たちのせいだから仕方がない。私たちはその時代、子どもだったのだから関係がないことだ。私は社会人になるまではそのように考えていました。

 しかし、これからの時代の日本経済を支えていくのは自分たちです。
 「失われた30年」をいつまでも他人事のように眺めていては、このまま「失われた40年」「失われた50年」を迎えてしまう可能性があります。もしそうなってしまった場合、次の世代から責任を問われるのは自分であるということに気づいたのです。

 この30年の問題を「失われた」のではなく「失わせた」として捉え、自分事としてその原因を分析し、対応を考え行動していかなければなりません。
 自分たちが生きている間に、30年前の好景気を超えるような明るい日本の姿を見てみたい。そのために今できることを、自ら取り組んでいく必要があると考えています。

2025年「大廃業時代」は回避できるのか

 今なぜネクストプレナーなのか、という問いに対して答える際、「大廃業時代」の到来が重要なポイントとなってきます。

 「大廃業時代」とは、2025年頃には日本の中小企業のうち約127万社が廃業を迎えると予測されている問題です。その背景には、経営者の高齢化と、後継者の不在という要因があると考えられています。

 日本の中小企業の経営者の年齢を見てみると、1995年には47歳の人数が全体のピークでしたが、2015年には66歳の人数がピークとなっています。この20年間で、経営者の年齢の山が急激に高齢化していることがわかります。

 中小企業庁の調査では、2025年には70歳を超える中小企業の経営者は約245万人となり、そのうち約半数の127万人において、後継者が決まっていないとされています。

 つまり、このまま127万の企業で後継者が見つからなければ、近い将来に廃業する企業の数も同じく127万社に近い数字となってしまうと考えられるのです。
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 さらに重要な問題は、これら廃業に追い込まれる中小企業の多くは、経常利益が黒字の状態で廃業する「黒字廃業」であることです。
 2019年の調査では、休廃業・解散企業において、半数以上の企業が黒字廃業をしています。

 この現状を放置しておくと、2025年頃までには中小企業の廃業が急増し、2015年からの10年間累計で約650万人の雇用が失われ、約22兆円のGDPが失われるという分析がなされています。もしこれが現実となれば、日本経済へのダメージは相当なものになるでしょう。

これまでの事業承継の課題|なぜ親族内承継はうまくいかないのか

 後継者不在問題の背景には、これまで日本で一般的であった親族内承継がうまく進んでいないという実情があります。親族内承継は、良いタイミングに良い人材が親族に存在する必要がありますが、どの中小企業でもそのようなことが実現するわけではありません。

 日本政策金融公庫総合研究所の「中小企業の事業承継に関するアンケート調査」によると、後継者が決まっているかどうかについて、日本の中小企業のうち21・8%が「未定企業」であり、50%が「廃業予定企業」であるということがわかります。
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 これらの調査から、事業承継を進めるためには、親族内に限らず後継者を検討する必要があると考えられます。
 ただし、例え親族内承継が可能な場合であっても、属人的な経営、株の買取や負債の承継など、中小企業特有の様々な問題を乗り越えなければなりません。

 まして第三者に事業承継を行うとなると、そのハードルは一層高くなるでしょう。
 また、後継者となる人がどのような人物なのか、信頼して会社を任せられるような熱意や能力があるのかを、現経営者が客観的に判断することは難しいかもしれません。そもそもそのような人物に出会える機会もそれほど多くはないでしょう。
 事業承継を望む経営者と、経営者志望でありその企業に適した人材を結びつける、その仕組みはこれまでの日本にはありませんでした。

 起業を志す方が自ら会社を経営できる人材となり活躍し、後継者不足に悩む企業の承継者となる。そして多くの雇用や知見を引き継ぎながら、時代の潮流に合わせた新しいチャレンジを行っていく「温故知新」の起業スタイル。それがネクストプレナーによる事業承継です。

 (次回に続く)

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ネクストプレナー大学|事業を承継する。経営者になる。そのための学びと実践が、ここにあるネクストプレナー大学は、ネクストプレナーの育成・輩出を目的とした唯一無二のビジネススクール。後継者不在企業とのマッチングや、中小企業経営に特化したカリキュラム、実地研修などを通じ、着実に経営者への道を歩むことができます。

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サステナ社団サステナ社団(一般社団日本事業継続支援機構)のWebサイト。官民のハブとなり、日本企業の可能性を信じ、持続的に事業を発展させるため、今までの経験や蓄積したデータを基に、事業継承を支援します。

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