東京海上日動、ブルームバーグとDXで協業

2021年7月31日 07:33

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 東京海上日動火災保険(東京都千代田区)は30日、ブルームバーグと資産運用のデジタル技術活用について協業を開始すると発表した。業務の効率化を図り、高度なデータ分析による意思決定を行う仕組みをつくる。

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 約定や発注などの取引業務を自動化する「オーダーマネジメントシステムAIM」を導入し、年間1万時間に及ぶ業務を自動化すると言う。定例業務にかかる手間と時間を大幅に削減する計画だ。

 データドリブンな意思決定が行える基盤づくりも行う。東京海上日動火災保険が持つ取引や残高などのデータに、ブルームバーグが所持する金融市場のビッグデータをかけあわせる。

 パイソンなどのプログラミング言語を使ってハイレベルな分析を行う「BQuantエンタープライズ」を導入。マーケットで流通する債権の利回りや流動性、業種などを総合的に分析する。これによって、最適な投資対象を発見する独自のモデルを構築したい考えだ。素早く質のいい投資戦略を立て、市場リスクの予兆を察知するなどして、運用収益を最大化する。

 また、人材のデジタルリテラシーを向上させるための取り組みも行う。AI開発に用いられるパイソンなどのプログラミング言語が習得できるよう、ブルームバーグの協力を得て専用の研修プログラムを策定する。資産運用部門の人員に研修を行い、デジタルリテラシーの底上げを行う。

 東京海上日動は、兼ねてからデジタル活用に全社で注力している。顧客から預かった保険料を用いて資産運用を行う部門でも、データに基づく判断を行って、運用収益の最大化を目指すステージに入った。最先端のシステムやデジタル技術を保有するブルームバーグと協業することで、実現の加速を目指す。

 今後2社は、マーケットの過去データを分析し、それに基づいて最適な取引を行う取り組みを進める。外部とのシステム連携も行って、定例業務のオート化を図るなども行い、資産運用部門のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する方針だと言う。

 東京海上日動は中期経営計画でも「デジタルトランスフォーメーションによる価値創造」を重点課題として挙げており、商品やマーケティング、営業プロセス、損害サービスプロセスなど6つの領域でDXを強力に進めている。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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