バフェット氏に引導? バリュー投資の終焉と緩和バブルの副作用 (2)

2021年5月4日 16:17

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 2003年以降、バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ社が公開しているポートフォリオ(株式銘柄や金融商品の組み合わせ)の運用パフォーマンスは、アメリカ市場のインデックスの1つであるS&P500種株価指数の運用パフォーマンスとほとんど大差がない。これでは銘柄を厳選してポートフォリオを組む意味が損なわれる。

【前回は】バフェット氏に引導? バリュー投資の終焉と緩和バブルの副作用 (1)

 さらに、ナスダック市場のインデックスとの運用パフォーマンスを比べてしまうと、結果は圧倒的に劣ってしまう。ナスダック市場の銘柄は、バリュー投資の対極とされやすく、PER(株価収益率)などの割安感よりも、成長性を見込まれて購入されるグロース投資の対象だ。

 事実として、2002年10月のS&P500種株価指数とナスダック100指数が、約800でほぼ同値であったにも関わらず、2021年現在のS&P500種株価指数は約4,200と約5倍であるのに対し、ナスダック100指数は約14,000と約17倍に成長している。

 これらの事実が突きつけられた質問に対して、マンガー氏が「複合的に見て、私は市場よりバークシャーに賭けたい。これは、私たちが死んでしまうことを仮定している」と回答したのに対し、バフェット氏が回答したのが前回の記事で記載した内容であった。バフェット氏は「長い間、バークシャー社を勧めたことがない」とも言っている。

 この発言には、バフェット氏が行うバリュー投資の限界と葛藤を垣間見ることができる。つまり、大きくなりすぎたバークシャー社の母体が、「堅実に利益を出していること」「シンプルで理解できる事業であること」というバフェット氏の信念に対し、足かせとなっているのだ。

 バークシャー社の投資余力は約15兆円にも上り、日本の大企業を買収できてしまうほどの余力である。先日話題となった日本の商社株の買付額は約6,300億円であったと見込まれているが、この金額の株式を保有するために約1年の時間をかけたと言われている。この金額は、同社の投資余力の5%でしかない。

 つまり、ポートフォリオの組み換えは、市場へ与えるインパクトを最小限に抑えながら行う必要がある以上、投資対象は自ずと受け皿の大きい大企業に限られるというわけだ。実際に、バークシャー社のポートフォリオを占める主要な銘柄としては、アップル社、バンクオブアメリカ社、コカ・コーラ社、アメリカンエクスプレス社、ハインツ社など、日本でもよく知られた大企業である。

 しかし、これらの銘柄を見た時に、見落としてはならない2つの重要なポイントに気付かなければならない。その1つが、ナスダック市場に所在している「アップル社」の存在であり、もう1つは、「配当金」の存在である。(続く)(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

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