死語になった自動車用語「ディマースイッチ」

2021年3月4日 07:31

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クラッチペダルの左にディマースイッチが設けられている ©sawahajime

クラッチペダルの左にディマースイッチが設けられている ©sawahajime [写真拡大]

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●前照灯(ヘッドランプ)の切り替え

 最近の車は、ヘッドランプのアッパービーム(上向き照射)とロービーム(下向き照射=通常走行時)の切り替えも自動化する装備まで備えているが、昔は足踏みボタン形式の「ディマースイッチ」が普通だった。

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●マニュアル車のペダルレイアウト

 当時は、AT(オートマチックトランスミッション=自動変速機)装備の車両は殆ど無く、普通にMT(マニュアルトランスミッション=手動式変速機)装備だった。

 当然の事ながら、MTの場合は、変速ギアを操作するにはクラッチ操作が必要となる。

 1991年11月1日に、「AT限定普通自動車免許」が創設されたため、このAT限定免許取得者にとっては、クラッチの存在自体も、役割も覚える必要も無くなった。だが従来は、自動変速機(AT)がやってくれているギアチェンジ=シフトアップ、シフトダウンを、その都度ドライバーがクラッチ操作して(クラッチペダルを踏み込んで)行っていた。

 運転席には右から「アクセルペダル」「ブレーキペダル」「クラッチペダル」が並び、その左側に「ディマースイッチ」が設けられていた。(写真1参考)

●面倒な操作の場面

 例えば夜間、アッパービームにして山道を下っていて、シフトダウンが必要になったタイミングに、先のカーブに対向車のライトが見えた場合の操作を考えて見よう。

 最初にやるべきは、オーバースピードでカーブに進入しない様に、シフトダウンする。つまり、クラッチを切って変速機を下の段のギアに入れる動作である。

 続いて、対向車をアッパービームで眩惑させない様に、ロービームに切り替える。

 これ等の操作は、「クラッチを切る」のも、「ディマースイッチを切り替える」のも、左足を使う。

 慣れたドライバーなら、シフトダウンのためにクラッチを踏む直前に、ディマースイッチを踏んで前照灯の光軸を切り替えた直後に、即座にクラッチを踏む技を使える。

 しかし大抵のドライバーには、この操作は難しく、シフトダウンを優先している間に、対向車にアッパービームで思い切り眩しい思いをさせる結果となるケースが多い。

●当時の便利装備

 1960年代の車でも、例えばいすゞがノックダウン生産から国産化したヒルマン・ミンクスの上位機種には、フロントバンパー上部に小さな「受光部」を設けて、光軸の切り替えをさせる装置が備わっていた。

 当時でも、前述の様な面倒な場面でのドライバーへの負担軽減の工夫がなされていたのは事実だが、これは高額車に限られ、一般の仕様には殆ど含まれていなかった。

●最近では

 その後、2019年9月20日付「マルチユースレバーのおはなし」で解説した様な経緯を経て、現在はステアリングコラムから生えたレバーで方向指示と、ライトの点灯・消灯と、光軸切り替えをする方式が、ほゞ統一された様式になった。

 AT車になって、左足が普段仕事をする事が無くなった現在なら、足元にディマースイッチが生えていても大した問題では無いが、それよりもステアリングコラムから生えたレバーを操作する方が簡単だ。

 車はどんどんドライバーに優しくなって来る。

 「ディマースイッチ」は死語の世界へ行ってしまい、今ではその存在さえ知らない人の方が多くなった。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

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