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骨のがん「骨肉腫」を無害な脂肪細胞へ変化させる 国立がん研究センターら
TNIK阻害薬により骨肉腫を脂肪細胞へ変化させる様子(画像: 国立がん研究センターの発表資料より)[写真拡大]
国立がん研究センター、慶應義塾大学などは5日、がんの1種である骨肉腫の細胞を無害な脂肪細胞に変化させることに成功したと発表した。研究グループは、骨肉腫を移植したマウスに、国立がん研究センターとカルナバイオサイエンスが共同開発した低分子化合物、「NCB-0846」を投与することで、これに成功した。
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■骨肉腫とは?
骨肉腫とは、主に幼児期から青年期にかけて、太腿や膝周辺の骨に発生する骨のがんだ。
その治療成績は、手術と化学療法を組み合わせることで、近年大きく向上してきた。しかし、肺などの離れた臓器に転移があるような場合には、現在でも治療が困難で、5年生存率は20~30%にとどまる。
そしてこの骨肉腫は、非常に珍しいがんであるために、その治療薬の開発は遅れている。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などにも有効なものがないというのが実情だ。
■骨肉腫を無害な脂肪細胞に変化させることに成功
研究グループによれば、このような骨肉腫では、「TNIK」と呼ばれるタンパク質リン酸化酵素の1種が高頻度で活性化しており、骨肉種の維持に不可欠な役割を果たしているという。なお、タンパク質リン酸化酵素とは、元々はタンパク質をリン酸化することで、タンパク質の活性をコントロールしており、細胞分裂やアポトーシスなどのさまざまな細胞の機能において重要な役割を果たしている。
そこで研究グループは、骨肉腫を移植したマウスにTNIKの働きを抑える「NCB-0846」を投与した。NCB-0846は、2016年に国立がん研究センターとカルナバイオサイエンスが大腸がんの治療薬として共同で開発した、低分子化合物だ。
すると、骨肉腫の細胞の増殖が抑制されると共に、骨肉腫の細胞が無害な脂肪細胞に変化することが確認された。
研究グループでは同時に、化学療法が効かなかった患者において、TNIKが強く発現していることも確認しており、このことが、化学療法が効かなかった原因の可能性があるという。
研究グループでは、NCB-0846のようなTNIK阻害剤が実用化されれば、骨肉腫の治療に新たな局面が開かれるのではないかと期待している。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る)
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