ブラックホールも“冬眠” 活性化と不活性化の原因を解明 東大の研究

2021年1月30日 09:33

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銀河中心ブラックホールを取り巻くガスの時間進化。上段にガスが剥ぎ取られる場合、下段はガスが生き残る場合(画像: 東京大学の発表資料より)

銀河中心ブラックホールを取り巻くガスの時間進化。上段にガスが剥ぎ取られる場合、下段はガスが生き残る場合(画像: 東京大学の発表資料より)[写真拡大]

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 東京大学は26日、銀河の中心にあるブラックホールの活動に及ぼす銀河どうしの衝突の影響に関する、興味深い研究結果を公開した。これによれば、宇宙において銀河どうしの衝突は比較的頻繁に起こり、それによってブラックホールの活動が活性化させられる場合と、逆に鎮静化される場合があるという。

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 従来は銀河どうしの衝突によって、ブラックホールの活動は活性化すると信じられてきたが、今回の東京大学の研究はその常識を覆す、画期的な結果をもたらしている。ブラックホールの活動が活性化させられるケースは、ある銀河の周りを周回している衛星銀河が、銀河の中心からそれて周辺部に衝突する場合で、逆にブラックホールの活動が沈静化されるのは、銀河の中心部に衛星銀河が衝突する場合である。

 この研究では、銀河どうしの衝突により中心ブラックホールへのガス供給が断たれれば、そのブラックホールは活動停止に追い込まれるのではないかとの仮説を立てた。銀河衝突の痕跡があり、かつ中心ブラックホールの活動性が極めて弱いアンドロメダ座の大星雲M31に着目し、それをモデル化して3次元数値流体シミュレーションや1次元解析的モデルを実施。銀河衝突により、銀河中心のブラックホールからガスをはぎ取ることが可能かどうか検証を試みた。

 この検証では、様々なケースが想定されたが、ブラックホールが活性化する場合と、活動停止に追い込まれる場合の具体的なシミュレーション結果の分かりやすい写真が提示されている。さらにそれに加えて、位置天文観測衛星Gaiaの観測データに基づく衛星銀河の精密軌道計算を実施し、M31においては、過去に銀河の中心領域に強い影響を与えられる銀河衝突の頻度が1億年に1 回程度あったことを明らかにした。

 この結果は、大質量ブラックホールが明るく輝いている期間は1億年程度であるという事実とよく合致している。

 銀河中心ブラックホールは常に周りの天体から物質を吸い込み続け、どんどん成長していく存在であると、これまでは信じ込まれてきた。だが頻繁に起きる銀河どうしの衝突によって、時には活動を活発化させ、時には冬眠状態に入ることがこの研究で明らかになった。

 特に銀河を周回する衛星銀河の軌道が中心ブラックホールの活動状況を大きく左右するとの結論は、今後どの銀河の中心ブラックホールが、活性化するのか冬眠するのかを、確実に予測できる可能性を示唆している。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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