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荏原製作所は7日、保有する知的財産の情報を「知財図鑑」に掲載したと発表。知財図鑑は、知財を分かりやすく表現、可能性を提起(妄想)し、Webで公開することにより連携を促し新規事業の創出を目指す知財のデータベース。荏原は知財情報の公開で外部連携を進め、保有知財や技術を活かした新規事業・サービスの共創を目指していく。
■公開された知財の概要
今回公開された知財は4件で、知財図鑑「妄想プロジェクト」で表現されている。荏原が培ってきたポンプ、環境プラント、半導体等精密・電子、コンプレッサ・タービン事業などの技術を掲載しており、具体的には次の通りだ。
合成繊維に金属粒子を固定し安定供給する触媒技術は、合成に好ましい触媒供給の不安定さ、合成後の廃棄物多量発生を解消する。知財図鑑では活用方法として、身の回りのアイテムに金属固定布を活用し、人類が悩まされているウイルス・細菌の効率的なフィルタリングを妄想している。
ドライ真空ポンプは、半導体製造、分析装置、殺菌前の空気排出、食品保存、コーティングなどクリーンな真空状態が必要とされる環境でそれを実現する技術。真空ポンプを活用しシャンパンやワインなど酒類をフレッシュな状態で保存・提供する、キッチンカー形式のワインバーを妄想する。
水中環境を整える空気供給装置は、ヘドロを巻き上げて水質汚染や環境汚染を引き起こす、従来のばっ気設備の問題を解消するパイプ・ポンプ等の技術。ばっ気で浮力をコントロールした水中アトラクション施設や、酸素濃度を調整した疲労回復スパなどを妄想している。
音環境を保全する防音装置は、従来難しかった低周波音と高周波音の両方の消音や、可動性・防振性、コスト削減を実現する。リモートワークが推奨される昨今、家族の声はもちろん床や壁を伝わる音も防音する、リーズナブルで高い防音環境の家庭内実現を妄想する。
■研究所を解散し取り組む、荏原式オープンイノベーション
荏原は2009年に、約50年続いた総合研究所を解散。研究と製品開発が乖離し、研究効率が低いことへの危機感から解散に至った。当時の研究員は各事業部に配置。以降、研究手法として取り組んできたのが荏原式オープンイノベーションだ。それにより2017年には特許出願が解散前の4.5倍に増加したと言う。
製品開発の基礎研究は大学とコラボし、荏原が研究の種を提供、大学が研究を実施する。事業部に配置された研究員が、現場でつかんだ研究テーマを研究開発できる仕組みも構築。事業部兼業で取り組み、終了したら事業部に持ち帰る。さらに未知なるXを生み出すため、外部企業との連携・発掘にも取り組む。産業振興財団と組み技術力のある中小企業の支援なども行っている。
荏原式オープンイノベーションは、基礎研究のコラボから開始し現在の形に進化した。今回の知財図鑑への公開もその進化の1つと言える。荏原はより積極的な外部連携で、社会に貢献するソリューションの創出を目指す。(記事:三部朗・記事一覧を見る)
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