老後資金調達手段として注目のリバースモーゲージ、デメリットの確認も

2021年1月8日 16:36

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 楽天銀行は5日、ネット銀行では初となるリバースモーゲージ・サービスを開始した。不動産会社ハウスドゥの子会社フィナンシャルドゥとの提携で、『最高1億円・金利2.95%(変動)・終身型』のプランをリリースした。

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 ここ数年、大手銀行や地銀では『リ・バース60』を積極的に売り出しており、加速度的に利用者を増やしている。この商品のメリットは、住宅を担保に融資を受け、返済は毎月利息のみ、元金は満期か終身時に一括返済するというもの。

 つまり、契約者が死亡後に担保の不動産を売却して元金を清算するシステムで、残債が遺族に出ないノンリコース型が人気を集めている。なお、申し込みは60歳以上からと高齢者に絞った金融サービスであり、老後の資金調達に有効性が高い。

 楽天銀行はネット銀行初というだけでなく、申し込み資格を50歳以上にしている点に注目できる。近年の長寿化傾向の中でもあえて終身完済を採用しており、元金の一部が不良債権化するリスクにチャレンジしている形だ。マンションなどは建物価値に比重が重いため、一括返済が遅くなればなるほど残債リスクが高まってしまうのだ。他行が60歳以上を申し込み資格としているのは、このリスクの軽減化が理由である。

 だが年齢の下限を10歳若くすることで、新たな顧客を獲得できるメリットがある。そこで楽天銀行は、このリスクヘッジとして金利増を採用した。実は楽天銀行のプランは毎月の返済となる金利が高いのだ。

 『リ・バース60』の金利相場は年利2.5%を切る。しかも優遇金利で年1.5%まで減額するケースも多い。しかし楽天銀行では金利2.95%をベースとしている点に注意したい。

 年間0.5%の金利差があれば、1000万円の融資で年間5万円の差が生じることになる。他行の優遇金利を利用すれば、年間で15万円もの差がつくこともあり得る。ただし、現役で収入が高い50歳代から融資が受けられるメリットも大きいのは確かだ。どちらにニーズがあるのか、この判断は個々に委ねることになるだろう。

 老後資金の確保はもっぱらの関心事だ。リバースモーゲージの融資はその解決手段として大いに期待されている金融商品である。住宅金融支援機構のデータでは、『平成31年1月~3月の申請数は164件、前年同期比252.3%』と倍増している。現在はさらに増加率をアップさせているとのことで、今後は有力な資金調達法となる公算が高い。

 それだけに、事前のデメリット確認が必要となる。先にも述べた通り、リバースモーゲージの融資は高金利であるということ。しかも返済中は全く元金が減らないため、完済まで同じ金額の金利を払い続けることとなる。

 もう1度試算してみよう。50歳で1000万円の融資を受け、年利2.95%(変動金利をあえて無視する)で返済するとしよう。契約者が85歳で死亡した場合、毎年29万5000円を35年間支払い続け、金利総額が927万5000円にも及ぶ計算だ。いまや人生100年といわれる時代だ。50年間も高額な利息を払い続けるのは大きな負担であり、ある意味で無駄な出費といえるかもしれない。

 トータル金利は別にしても、1000万円借りることで、無条件で毎年29万5000円を返済するデメリットは理解しておくべきだろう。金融商品が売れない時代で、金融機関が編み出した新たな借金プランだと警鐘を鳴らす専門家もいることを、知っておくほうが良いかもしれない。

 また、評価額の変動が緩やかな土地の比率が高い戸建て住宅ならまだしも、マンションのように時価が諸事情で急落するリスクのある担保であれば、年ごとの融資限度額査定で残債額が担保価値を超えてしまうリスクが生じる可能性もある。そうなると差額の一括返済が請求され、場合によってはその場で住宅を処分されることもあるのだ。

 この担保評価下落リスクは、毎年の不動産評価額の査定で突然生じるため、いきなり住居を失うリスクを肝に銘じておかねばならないだろう。

 ややデメリットを強調しすぎた感はあるが、要は老後に必須の資金を得るために、毎年2%前後の手数料を終身まで払い続ける余力と覚悟が必要だということ。その準備があれば、リバースモーゲージは実に合理的な資金調達手段ともいえるだろう。

 しかも、元金はノンリコース型にすることで不動産の処分の範囲内で済むというのも大きなメリット。遺族に借金を残さない借金手段ということで、安心して利用できるのは高齢化社会のマナーとしても利用しやすい商品であるだろう。(記事:TO・記事一覧を見る

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