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「撚り構造型」の衝撃発電軽金属複合材料(画像:東北大学報道発表資料より)[写真拡大]
東北大学、山形大学などからなる共同研究グループは9日、鉄コバルト系磁歪(じわい)ワイヤーをアルミニウム合金に埋め込むことで、衝撃に強い振動発電用の金属材料の開発に成功したと発表。これまでの樹脂系の材料に比べ、衝撃に強く高温にも耐えられるため、自動車の部材や輸送機器のエンジン駆動部などにおけるIoTセンサーなどの自立電源として、応用が期待されるという。
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■振動発電とは?
磁歪材料は、伸ばすと磁界が強まり、縮めると磁界が弱まる。この磁界の変動を利用して発電するのが振動発電だ。
例えば、磁歪材料を右に曲げれば、磁歪材料の右側は縮み、反対側は伸びる。逆に左側に曲げれば、左側が縮み反対側は伸びる。これを繰り返せば(つまり振動させれば)発電できるというわけだ。
現在、私達の社会はIoT化が急速に進んでおり、2030年には、IoTセンサーの数は1兆個にも達すると考えられている。しかし、これらの全てに電池を搭載すれば、環境、資源、コストなどさまざまな面で大きな社会的な負担が生じる。
そこで現在、熱い注目を集めているのが、私達の身の回りにある未利用の運動エネルギー(振動、衝撃など)を利用して発電する環境発電だ。振動発電もこの環境発電の1種であり、これを活用すれば、電池不要のIoTセンサーを作ることが可能だ。
しかしこれまで、振動発電のための材料は樹脂系の材料しかなく、衝撃や高温に弱かったために、その活用範囲は限られていた。
■振動発電のための新しい金属系材料を開発
そこで研究グループは、鉄コバルト系磁歪ワイヤーをアルミニウム合金に埋め込むことで、衝撃と高温に強い振動発電のための金属系材料を開発した。
そしてさらに、2本の磁歪ワイヤーを撚り1本にすることで、その発電効率も高めた。
研究グループによれば、1回の衝撃荷重(変位速度2mm/秒)で1cm3あたり約0.2Vの出力を確認できたという。これは磁歪ワイヤーを撚らない場合の出力電圧の4倍にもなる。IoTセンサーなどのワイヤレスセンサーの電源としては、十分な発電能力だ。
研究グループでは今後、自動車・船舶・航空機などの実働外力と使用環境を考慮し、この新しい振動発電用の材料について、設計・開発・評価を実施していくことが必要であるとしている。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る)
関連キーワードIoT(Internet of Things)、東北大学
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