相場展望10月26日号 米大統領選投票率60⇒70%でないと、トランプ勝利? 日経平均はハイテク成長株⇒景気敏感株の兆し?

2020年10月26日 08:13

小

中

大

印刷

■I.米国株式市場

●1.米株式市況の推移

 1)10/22、NYダウ+152ドル高の28,363
  ・▲150ドル近く下げたが、ペロシ下院議長が「合意は近い」と楽観的見通しを示したことで、下げ幅を消し、景気敏感株が軸となり上昇に転じた。
  ・米国債価格は下落、10年債利回りは0.84%まで上昇し、6月来の高水準となった。
  ・米国の中古住宅販売件数が2006年以来で最高に達したことを好感した買いが優勢。利ザヤ改善期待で銀行株も買われ上昇した。
  ・クドロー国家経済会議(NEC)委員長は、「追加経済対策を巡り大きな政策相違が解決される可能性は低い」と慎重。   (フィスコ)

【前回は】相場展望10月22日号 米大統領選の投資は『後出しジャンケン』で 米司法省はグーグルを提訴⇒株式市場波乱要因?

 2)10/23、NYダウ▲28ドル安の28,335ドル
  ・米国初のコロナ治療薬の承認を好感し、NYダウは続伸で始まる。
  ・追加経済対策を巡る交渉で、ペロシ下院議長(民主党)の譲歩が得られず、合意期待が後退し下落に転じた。

●2.米大統領選を投票率から見ると、世論調査と違って投票率60%⇒70%でないとトランプ勝利

 <一考察>

 1)米国大統領選挙を決するのは、『投票者によって選ばれた州ごとの選挙人数の多さ』である。

 2)世論調査では、バイデン候補が優勢と報道されている。
  ・世論調査は、精度に問題があり、その理由は下記の通り。
   (1)有権者へのアプローチは、棄権者からも回答も得た結果で、バラツキがある。
   (2) 回答を得られなかった中で、投票に行く人の投票内容が反映できていない。
    ・世論調査に対して「回答しない層」が概ね3分の1と結構な割合で存在する。世論調査は、「回答した人の中での、支持率調査」になっている。つまり、世論調査の前提は、「無回答者は投票せず、調査に協力して回答した人だけが投票所に行く」という支持率調査となっている点に注目した。

 3)米国メディアの特徴として、選挙候補者への支持立場を鮮明にしている。
  ・米国では、CNNなど大多数のメディアがバイデン支持と旗色を明らかにしており、バイデンに不利な情報を不掲載するなど『報道の自由』の対応を取っている。SNSのフェイスブックやツイッターもトランプ陣営に対して利用制限を行っている。
  ・世論調査もメディアの影響を受けた質問をすることが多い。世論調査会社の政治的位置から、不支持者に対しては「なぜ?」「なぜ?」と質問し、回答を誘導し、当惑させているという現状もある。
  ・そのため調査会社の政治的意図に反する有権者は「電話に応じない」という対策を取り、結果として、調査会社の思惑に近い候補者へ誘導し、「高支持率」になるリスクがある。
  ・ここに、「隠れトランプ支持者」が存在する原因の1つがあると思われる。
  ・よって、世論調査は「国民の声」を表したものになっているとは言い難い側面がある。
 
 4)選挙は、有権者数ではなく、投票者数よって決まる。
  ・世論調査では、バイデン候補が優位に立っているが、果たしてそうなのか?
  ・米国の投票率は、過去の全国平均では約60%と言われている。米国では、投票者によって、州ごとに大統領を選ぶ権利を持つ選挙人を選ぶ方式である。選挙人数は事前に州単位に決められており、多くの州は『総取り方式』である。したがって、人口の多い州で勝った候補者が『州の選挙人を総取りする』ことになる。そのため、多数の選挙人を擁する州で勝った候補者が、大統領選出に有利に働く。その選ばれた『選挙人数で大統領を決める』というのが米国の大統領選出方法である。2016年の大統領選挙では、クリントン候補が総投票数では勝ったが、大統領を選ぶ選挙人数で負けた結果、トランプ候補が大統領に選出されたという経緯がある。
  ・トランプ候補は、熱烈な岩盤支持者が投票者の約33%あると言われている。世論調査のトランプ支持率43%の76%がトランプに実際に投票するとなっている。
  ・バイデン候補の世論調査支持率52%に対して平均投票率60%とすると、31%程度になる。つまり、トランプ岩盤支持率33%を前提にして、投票者総数を100とすると、投票率は64%で、トランプ33対バイデン31、棄権36という数値が導かれる。しかも、投票率は共和党支持者が高く、民主党支持者の方が低い、過去実績がある。投票率から推論すると、世論調査のようなバイデン候補が優勢とは言い切れない。
  ・バイデン候補が勝利するためには、全国の投票率を上昇させなければならない。民主党がコロナを梃に「期限前投票」「郵送投票」を呼び掛けているのは、そういう理由もあるのだろう。現在の期限前投票済みは5,000万票超となり、過去最高と言われる。

 5)したがって、大統領選は世論調査とは違って、現在は『接戦』と推定した。

 6)バイデン候補が勝利する条件は、
  (1)民主党支持の投票率上昇が必要で、全体の投票率70%程度(過去60%)に嵩上げが必要。
  (2)トランプ候補の熱烈岩盤支持者層33%を崩す。
  と考える。

 7)よって、トランプ勝利の可能性はあり得る。

 8)米国株式市場は、混乱する可能性があるので注意したい。
  理由は、11月3日の投票・開票日に大統領が決まらず、郵送分の開票を待たなければならない、または僅差で最高裁判断にもつれ込む可能性があり、大統領決定日数が掛かることとなり不安定な期間が生じるため。株式市場が最も嫌い、市場が揺れるのは、『長い期間の不透明感』であることに留意したい。

●3.FRBは10/21、「米経済は回復続くも、業種や地域でばらつく」とした (NHK)

●4.英製薬会社アストラゼネカのコロナワクチン治験、ブラジルで被験者死亡 (ロイター)

 1)ブラジル保健当局は10/21発表、アストラゼネカとオックスフォード大学が開発する新型コロナワクチンの臨床試験で、ブラジル人の被験者が死亡したという。

 2)この被験者はニセ・ワクチン投与対象者だったため、臨床試験は継続されるという。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)10/22、▲12安の3,312
  ・5中全会の開幕を10/26に控え、売買は手控えられた。

 2)10/23、▲34安(▲1.04%安)の3,278
  ・外国証券投資(約1兆500億円)が認められることで、中国株式を売却して、米国などへの投資のために、中国から資金流出することを警戒した売りが先行し、下落した。

●2.中国・財新は、外国証券投資の追加枠100億ドル付与する準備と、報じる(ブルームバーグより

 1)中国国内の適格機関投資家に付与する外国証券投資枠100億ドル(約1兆500億円)の意味は、中国からの資本流出増を容認することにある。

 2)当局の狙いは、これによって、人民元の上昇ペースを緩めるか一時休止を望んでいる。しかし、これで元高を止める効果は長続きしないため、さらなる追加措置が必要になる。

●3.米政府、中国の6メディアを「外国宣伝機関」に追加決定 (ブルームバーグより

 1)理由  ポンペオ米国務長官は、「ニュースと中国共産党によるプロパガンダを区分し、米国民が確実に区別できるようにしたいだけだ」と、10/21記者会見で述べた。

 2)対象
  ・「経済日報」、「解放日報」、「第一財経グローバル」、「新民晩報」、「北京週報」、「中国社会科学出版社」の6メディア。
  ・例えば、「経済日報」は、中国政府の景気認識を伝える役割
        「解放日報」は、上海市の共産党委員会機関紙

 3)対抗  中国共産党機関紙「環球時報」の胡編集長は、間違いなく「報復する」とし、「中国政府による報復行動は、米国メディアの香港拠点が含まれる可能性がある」とコメントした。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)10/22、▲165円安の23,474円
  ・(1)米国株安 (2)円高 (3)コロナワクチン不透明感で投資家心理を冷やし、売り優勢。
  ・大統領候補テレビ討論会(10/22)を控えていることも、投資家は様子見を強めた。

 2)10/3、+42円高の23,516円
  ・(1)これから本格的に始まる決算発表 (2)11/3の米大統領選の投票日、を前に動きは鈍く上値は重かった。

●2.外資系先物手口と日経平均の動向 ~ハイテク株⇒景気敏感株へシフトの兆し?~

 1)日経平均が上下するのは、外資系短期筋の売買が日替わりで転換するためで、方向感のない動きが続いている。
          10/19  10/20  10/21  10/22
 外資系先物枚数 +7,590 ▲3,012 +3,491 ▲8,497枚 (+:買い、▲:売り)
 日経平均の値幅 + 260  ▲104  + 72  ▲ 165円 (+:上昇、▲:下落)

 2)要因は、(1)米大統領選 (2)新型コロナ感染拡大とワクチン開発、の不透明感と思われる。

 3)ただ、銘柄の流れに変化の兆しがあり、ハイテク株に売りが散見され始め、今まで放置されてきた景気敏感株に動意が見られる。金利上昇を嫌うハイテク株⇒景気回復期待で景気敏感株へシフトするのか、注意深く見守りたい。

●3.西村経済再生相は、「年末年始の帰省・旅行分散のため休暇延長」を経済団体に要請(NHK)

●4.「日本での滞在72時間以内の入国を、各国の感染状況を踏まえ受入れへ」 (読売新聞)

 1)対象  ビジネス目的の訪日客が多い30カ国・地域を想定。
 2)条件  (1)新型コロナ検査を受ける (2)入国後は公共機関を使わず、不特定多数が出入りする場所は避ける (3)移動は仕事先に限定し、滞在先を含めた活動計画書を提出。
  免除項目は、入国後のホテルなどでの待機措置とする。

●5.中国リスクで、上場廃止の危機等も (DIAMOND onlineより抜粋

 1)理研ビタミン
  ・中国・山東省にある子会社「青島福生食品有限公司」の架空取引額116億円が発覚し、特別損失▲120億円を計上した。監査法人は十分かつ適切な監査証拠が入手できず「限定付適正意見」。
  ・理研ビタミンの実地調査では、中国の国家機密や社内の共産党委員会に関する情報流出、従業員のプライバシー等を理由に拒絶され、十分な調査が出来なかったという。

 2)国際紙パルプ
  ・取引先の香港証券取引所上場企業がバミューダ最高裁判所に「暫定清算手続き」の申請を行った。
  ・貸倒引当金27億円計上と今後の債権回収を見込み通期営業赤字▲61億円としたが、固定資産売却の特別利益で黒字を確保予定。

 3)蝶理
  ・中国の化学品製造会社に対する売掛金49億円の回収遅延で半額を貸倒引当金に計上した。

■IV.注目銘柄(株式投資は自己責任でお願いします)

 ・6407 CKD  空気圧等で幅広い顧客。営業利益大幅増を期待。
 ・8473 SBI   地方銀行再編の核になる動き。
 ・5922 那須鉄  通信基地局向けアンテナ支持金物受注増期待。利益回復基調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

記事の先頭に戻る

関連キーワード日経平均NYダウ中国

関連記事

広告

写真で見るニュース

  • 画像はイメージです。
  • ボルボ「S60」(画像: ボルボ・カー・ジャパン発表資料より)
  • ミニムーン20CD3 (c)  International Gemini Observatory / NOIRLab / NSF / AURA / G. Fedorets
  • SUBARU Labが入るH¹O渋谷三丁目の共用ラウンジのイメージ(画像: SUBARU発表資料より)
  • N-BOX、N-BOXカスタム:発表資料より
  • 新型N-ONE RS(画像: 本田技研工業の発表資料より)
  • モーガン・エアロ 1922年式 (c) sawahajime
 

広告

ピックアップ 注目ニュース