新型コロナを光の力で不活性化する材料を確認 奈良県立医大ら

2020年10月2日 08:38

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ウイルス量の変化(左)とウイルス感染評価結果の一例(右)(画像: 発表資料より)

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 奈良県立医科大学の中野竜一准教授、東京工業大学の宮内雅浩教授、神奈川県立産業技術総合研究所の研究グループは、可視光を当てることで強い酸化力を示す可視光応答形光触媒材料(CuxO/TiO2)が、新型コロナウイルスを不活化することを世界で初めて報告した。この材料を病院や公共機関などで使用すれば、その抗ウイルス効果により、感染機会の減少につながることが期待される。

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 新型コロナウイルスは、人から人へ感染し、体の中で増殖する。だが体外では増殖できないため、増加を防ぐためには、体の中にウイルスを取り込まないようにすることが大切だ。そのために感染経路をブロックしていく必要がある。

 その方法として飛沫感染を防ぐためのマスクであり、手からの感染を防ぐためのアルコール消毒や手洗いが推奨されている。今回紹介する材料は、表面についたウイルスを不活化することで、使用する人々の手にウイルスが広がっていくことを防ぐ画期的なものだ。

 研究チームが用いたのは、可視光応答形光触媒材料(CuxO/TiO2)というものだ。光触媒とは、光が当たることで化学反応を起こす物質のことである。2酸化チタン(TiO2)は世界で最初の「光触媒」であり、日本で開発された。これは紫外線が当たると強い酸化力を示す。酸化によりウイルスや細菌などは壊れて感染できなくなるし、化学物質は分解される。しかし屋外なら紫外線は十分な量を得られるが、室内では十分な酸化力を示すことができない。

 そこで新たに作られたのが、TiO2の表面に酸化銅(CuxO)を添加したものである。この素材の特徴は可視光線を当てることで表面に強い酸化力が現れることだ。可視光線は、通常の蛍光灯などで得ることができるため、室内環境でも酸化力を示すことができるのだ。

 研究グループは、この可視光応答形光触媒材料の、新型コロナウイルスに対する効果を調べた。材料表面に新型コロナウイルスを接種して紫外光をカットした白色蛍光灯を当て、一定時間経過後のウイルスの量を調査。すると1時間後には99.7%のウイルスが減少し、2時間で検出できない量(99.9%以下)にまで減った。また暗所でも4時間で検出限界以下までウイルスが減少した。

 この可視光応答形素材を、多くの人々が利用する施設、例えば公共交通機関や医療機関、娯楽施設などに用いれば、重要な感染経路と考えられている「接触感染」を減らすことができるだろう。そしてこの接触感染を防ぐために、頻繁にアルコール消毒などで対応しているスタッフたちの労力を減らすことにも貢献するだろう。これは新型コロナウイルスに限らず、様々なウイルス、細菌に効果があると考えられるため、今後幅広い分野での貢献が期待できる。(記事:室園美映子・記事一覧を見る

関連キーワード産業技術総合研究所(産総研)東京工業大学新型コロナウイルス

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