実践トヨタ生産方式 (2) 効果は絶大 総資金量は激減 トヨタバンク誕生

2020年9月25日 08:02

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 トヨタ生産方式の実際の効果のほどは、うまくやれば・・・目を見張るほどの効果が上がるのだ。こう言うと、「詐欺商法の誇大広告」のように聞こえるだろうか?しかし、最も投資家(株主)が注目する「資金効率」は、信じられないほど上がるのだ。

【前回は】実践トヨタ生産方式 (1) 「トヨタ1強」は「1歩でも前へ進む気持ち」から生まれた

 具体的には、「仕事のスピードが上がる」、「不良が少なくなる」、「置き場所が要らなくなる」、「積み上げる手間暇がなくなる」、「取り出す手間がなくなる」。さらに「移動するためのクレーンなどの装置が要らなくなる」、「保管場所、移動装置の付いた建物などが要らなくなる」、「設備の保守点検が必要なくなる」、「在庫の移動、先入先出など在庫管理担当者が必要なくなる」、「第一それらに必要な土地が必要なくなる」、「人員が減少するので人件費が下がる」などなど、実務の削減は計り知れない。

 加えて、混流(多種少量)生産によって「仕入れから売上げ計上までのリードタイムが激減する」ため、在庫資金が激減する。キャッシュフローに多大の影響が出る。そしてそれは、有利子負債の削減につながる。その逆をやってしまったのが、20年ほど前、トヨタに比較してこの生産技術で後れを取った日産であり、実質的に倒産に至った経緯である。

■ロット生産と多種少量生産のリードタイムの差(簡略モデル)

 ロット生産(例:1,000個)と1個ずつ生産する多種少量生産(トヨタ生産方式)を簡略化して比較してみると、完成品が出始めるのまでのリードタイムが極めて短く、回転する資金も極端に少なくなる。

 このリードタイムの差は、必要な運転資金に多大な影響を及ぼす。つまり、材料仕入れ・生産スタートから製品完成になり、納品・換金が終わるまでの期間が劇的に速くなる。その時、その1回転に取り扱う金額が極端に少なくなる。そのためリードタイムの短縮と同時に、回転する金額の劇的縮小が起こる。またそれに伴って、取り扱う資材の劇的減少などから設備の大幅な削減、土地の削減などが起きて、ビジネスモデルの総資金量として劇的な資金減少をもたらす。

 これは一般に、「製造業、物流、サービス業」の順に総資金量は少なくなる分、効果も少なくなるが、劇的削減をもたらすことは同様だ。製造業でも物流でも、資材の大きさでかなりの変化がある。物流の実店舗では、これを実践できれば店舗面積が最大1/5程度に縮小できる。通信販売においても、もともと設備や在庫商品など少なくて済むが、同様の効果がもたらされる。これが、アマゾンなど通販モールで起きている「ロングテール現象」などと結びつくのだ。

 「ケイレツ無用論」である日本電産の永守重信CEOの話に出てくる「モーターで、ケイレツは20%単価が高い」との考察について、サプライヤーはメーカーのラインに対してジャストインタイムで納品できているのか?疑問だ。特に、船便を使う場合はロットにまとめているはずで、その在庫管理に関わる全費用を部品単価に載せないと、実際のコストは比較できない。上記のような費用では、大きな重量物ではメガサプライヤーにとって不可能なほど圧し掛かってくる。

 「ロット生産」において当然とされてきたこれらの費用が削減された時、膨大な資金が削減される。製造業では最高1/1,000とも考えられる効果が生まれたはずだが、それが「高度経済拡大時期(1960年~1990年ごろまで)」に世界同時に製造業だけでなく全産業で徐々に進んできたため、目立たなかったのだ。

 経済理論の中では【生産手段】というひとくくりの単語で集約されてしまったことで、経済学の視点ではこの「資金効率の良さ」は認知されなかった。日本は「トヨタ生産方式」で先行していたため、実際には日本の金融政策の市中資金を多くする政策を上回るほどの効果が示されていることに、経済専門家は気付いていない。

 現在の「ジャブジャブ」と評される金融緩和策も上回る資金が、市中に出回っていることと同じ効果が出ていた可能性すらあるのだ。トヨタが「トヨタバンク」と言われて資金の余裕が生まれていたが、それは「利益(儲け)」が出ていただけでなく、同じ量の生産規模を実現するにも、必要な資金が少なくてできていたため資金の余裕が出ていたのだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

続きは: 実践トヨタ生産方式(3) 「メカニズムとして理解」すれば、物販・サービス業でも生き残れる

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