研究が進む新型コロナ! BCGとビタミンDが効いている? 血液がO型の人はA型よりも安全?

2020年8月7日 16:35

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 謎の多い新型コロナウイルスを巡る議論は幅広い。これまでも様々な研究結果が出てきているが、中でも、これまで広く話題を呼んだものを今一度振り返ってみたい。

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 日本人やアジア人の感染者や死亡者が少ない理由が、BCGの予防接種にあるのではないかという仮説が4月に駆け巡った。米ニューヨーク工科大学の研究者が各国の感染者数や死者数の人口との割合と、BCGワクチンの接種状況を調査した結果を3月末にまとめた論文として発表した。

 それによると、感染率や死亡率はBCGを接種している国と、していない国との間で有意な違いが見られた。人口100万人当りの死亡者数で比べてみれば、集団接種を行っている国と行っていない国の間には、数十倍から100倍を超える差が見られるのだ。

 「BCGワクチンが新型コロナウイルスに対する防御になっているかもしれない」と期待させられる結論だ。現在BCGワクチン関与説は仮説の域を出ておらず、今後様々なアプローチによって関係の究明が進む筈だ。

 6月には、米カリフォルニア州に拠点を置く遺伝子検査サービス会社「23アンドミー」が、75万人以上に及ぶ同社データをもとに、血液型がO型の人は他の血液型の人と比べて新型コロナウイルスへの感染率が9~18%低かったという研究結果を発表した。

 年齢、性別、民族に止まらず、肥満度や基礎疾患の有無を考慮しても結論は変わらなかったようだ。ちなみにO型以外の血液型には統計的な差異は認められなかったという。O型に特異な傾向が表れる理由は分かっていない。

 同月のニューイングランドジャーナルofメディシン紙には、新型コロナウイルス感染症を発症して、呼吸機能の低下により酸素吸入か人工呼吸器を必要とするリスクが、A型では45%高く、O型では35%低いという研究結果が掲載されている。

 研究者たちが呼吸機能の低下を経験した1610人の患者と2205人の健康な人を対象に、ゲノムワイド関連解析による呼吸機能低下との相関領域を探したところ、ABO血液型を決定する遺伝子が局在する領域と一致したという。A型はO型よりも呼吸機能の低下リスクがおよそ2倍になることになる。

 新型コロナウイルスはABO血液型との関連で、「A型の血液型の人に感染者が多い」との複数の疫学的な報告が既になされていたことを勘案すると、ゲノム解析によって重症化リスクに血液型の違いが関与していることが示されたもので、世界規模で行われている重症化を呼び寄せる危険因子解明に寄与すると見られる。単にA型とO型の優劣に議論が矮小化する様では意味がない。

 3つ目は、新型コロナウイルス感染症の予防や死亡率の低下にビタミンDが効くのではないかという仮説だ。イギリスの研究者らによると、欧州20カ国では、国民の平均ビタミンD値が高い国ほど新型コロナウイルス感染症との間に負の相関関係があり、罹患率や死亡率が低いという。ほかにビタミンD低値と過剰な免疫反応に関連があるとの知見も公表されている。

 だが、ビタミンD低値と従来型の疾患との関連を示す研究は数多いが、ビタミンDの値を上げることと病状の改善は別問題で、新型コロナウイルスとの関連に言及するには短絡的との意見もあることから、今後の研究結果を待つほかない。ビタミンD値を上げるためにサプリメント等に頼る必要はなく、1日10~15分間日光を浴びれば良いという点に救いがある。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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