CEOの卒論を実践、介護業界に足を踏み入れたリビングプラットフォーム

2020年7月30日 11:52

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 コロナウイルス禍相場の真っただ中の3月17日、リビングプラットフォームは東証M市場に上場した。2011年9月、創業者社長の金子洋文氏により、札幌市の住宅型有料老人ホーム「ライブラリ円山(訪問介護事業所併設)」開設で介護業者として産声を上げた。

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 何故、金子氏は介護業界に身を投じたのか。

 竹中平蔵氏のゼミに学んだ卒業論文のテーマは、持続可能な財政制度の構築。悪化の一途を辿る国家財政、中でも肥大化する社会保障費に照準を合わせたもの。現状に対する執られるべき施策が論じられた。

 具体的には年金・医療に次ぐ負担が多い大きい、介護に言及。解決策とし、モデレイトな負担での介護事業の実現に踏み出したのである。

 そして14年5月以降、就労支援B型、及びグループホーム事業に進出。16年5月には認可保育園の運営を開始した。前者は施設入居者からの「不足する労働力の担い手として社会に役立ちたい」を具現化するもの。後者は出生率の向上と少子化の流れの中での労働力確保をフォローする施策。

 3つの事業は金子氏が卒論での提言を具体化したものと言える。ともに少子高齢化時代の社会保障費・財政難に貢献する。

 収益面の現状の主力は介護事業。6月1日時点で介護施設は46棟(事業所数71)。上場(今年3月)後の初決算となった前3月期で、総売上高の9割弱を占めている。

 年8~10棟を増設し当面は介護事業の充実を軸に展開を図っていく方針。が、斯界はいま「差別化」が求められている。「最寄り駅に近い」「エリアでの低価格帯」「看取り体制整備」を主軸に図られている。

 入居者への優しさと並んで必須なのが介護スタッフに対する配慮。金子氏は「地域の処遇水準で高位安定化を視野に、随時給与等の見直しを行っている。また有休・連休の取得も推奨している。定年は70歳が標準。グループ内のキャリアアップのため適宜な研修を行い、資格取得の推進を促している」と語った。

 保育園(現状9園)・障がい者支援事業所(同14カ所)・介護事業施設展開の相乗効果を、こんな風に指摘する。

 「介護施設の高齢者には、園児との交流により楽しい時間が提供できる。園児は高齢者から地域の文化や遊びを体験学習できる。障がい者支援事業の推進は介護事業所や保育園で働く場の提供。働き手不足が深刻な介護・保育の現場での障がい者支援事業の利用者の就労は大きな存在」。

 また「例えば保育園は保育園と病児保育の併設などを進めていきたい」とした。

 コロナ禍相場の中で上場。荒波の中での出航。業務に対する真摯な姿勢を評価したい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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