新型メルセデスベンツ・CLAクーペPHV 欧州複合モード燃費は71.4km/リットル!?

2020年6月11日 17:51

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(画像: メルセデス・ベンツの発表資料より)

(画像: メルセデス・ベンツの発表資料より)[写真拡大]

 新型メルセデスベンツ・CLAクーペのPHV(プラグインハイブリッド)仕様の受注が欧州で開始された。メルセデスベンツPHVの呼び名は、「EQパワー」だ。バッテリー駆動での最大航続距離は79kmとなっている。しかし、なんといっても注目は、「欧州複合モード燃費は71.4km/リットル」との表示だ。

【こちらも】メルセデス・ベンツ、新型GLCにPHVモデル「350 e 4MATIC クーペ」追加

 これには、EV走行を有利に計算して、トヨタのHV機構の有利さを排除したい欧米メーカーの思惑が働いている。HVで世界をリードした「トヨタ方式HV」の簡素な構造を採用したくないメーカーの思惑が根強いと見ておかねばならない。

 今回発表されたのは、「新型ベンツ・CLA 250 e クーペ」でPHV仕様となっている。パワートレインは、直噴1.3リットル直列4気筒ガソリンターボ・エンジン、最大出力160hp/5500rpm、最大トルク25.5kgm/1620rpm。

 PHVのため、モーターは最大出力102hp、最大トルク33.6kgm。システム出力、218hp・45.9kgmと強大なトルクに驚かされる。リチウムイオンバッテリー容量は15.6kWhだが、水冷式で重量150kgとなってしまう。これは、かなり重い装備と化している。

 0~100km/h加速6.8秒、最高速240km/hと発進加速の強烈さのわりに最高速が伸びないのはモーターの特徴だ。そろそろエンジン車の基準を忘れなければならない時代が来たようだ。

 発進など低速域での日常使用が容易になって行くのは、技術の進歩としては当たり前であると同時に、ユーザーにとっては歓迎すべきことだ。EVモード最大航続距離79km(NEDC:新欧州サイクル測定モード)、PHV走行燃費、欧州複合モード燃費71.4km/リットルとなっている。

 しかし、燃費表示基準においては「Well-to-Wheel(油田からタイヤまで)」としないと公平さに欠けると同時に誤解を招く。日本の燃費基準は2030年度が目標のようだが、世界の基準をどこが決めるのか?

 新型メルセデスベンツ・CLAクーペPHVの充電は、普通充電で約1時間45分(出力7.4kWのAC ウォールボックス使用)。容量の80%急速充電では、約25分(出力24kWのDC)となっている。

 また、「MBUX」(メルセデスベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)を搭載し、音声によるユーザーインターフェイスを可能にしている。

 さらに特徴としては、5段階の回生ブレーキのレベル(DAUTO、D+、D、D-、D--)を選択できるようにしている。回生ブレーキについては、日産・リーフのアクセルを離すと0.2Gの減速をかけるシステムもあるが、これは出来るだけ多くエネルギー回生して、最大航続距離を伸ばそうとの考え方でなされている。これは慣れると良いシステムなのだが、減速が「回生ブレーキ」のみで行われているとのディーラー現場での解説はいかがなものであろうか?

 どちらにしても回生ブレーキと油圧ブレーキの協調ブレーキであり、必ず両者のコンビネーションを制御プログラムで調整している。トヨタ、BMW、ベンツなど多くのメーカーは、アクセルを離した時には、ガソリンエンジン車のエンジンブレーキのフィーリングを基にしてセットアップされている。

これは、運転者に違和感を覚えさせないようにとの配慮であろう。それでもバッテリー容量が満杯でない場合には、回生ブレーキが主たる働きをしているようだ。BMWでは90%回生ブレーキと称している。

 新型メルセデスベンツ・CLAクーペPHVは、EVを主に走行するのか、エンジンを早めにかけてバッテリー充電を早めにするのかなど選べるようだ。ポルシェ・タイカンも発売になり、EVやPHEVが主体となる時代がもうすぐやってくる。本当に地球温暖化に資するためには、「Well-to-Wheel」燃費基準を早める必要があるのであろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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