三井住友FGとSBIが資本業務提携 金融業界の再編は広がるか

2020年4月30日 08:34

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 28日、三井住友フィナンシャルグループ(FG)とSBIホールディングスが、戦略的資本・業務提携に合意したと発表した。提携により、デジタル領域および対面領域といった、各社の強みを活かした利便性の強化を目指す。今回の提携は、その他の金融機関にどのような影響を及ぼすのだろうか。

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■三井住友FGの目的はデジタル分野の強化

 三井住友FGは、ネットでの取引に強いSBIとの提携により、デジタル分野の強化を図る考えだ。グループ傘下のSMBC日興証券は、大手証券会社のひとつであるが、オンライン取引には拡充の余地がある。

 一方、SBI傘下のSBI証券は、手数料の安さや国内株式夜間取引(PTSサービス)の取り扱いなどに注力する、口座開設数最多のネット証券だ。三井住友FGは、このようなSBIのデジタル分野のノウハウを、新たな営業スタイルとして取り入れることを目指す。

■SBIは対面による営業力強化を図る

 一方、SBIは、三井住友FGが持つ全国ネットワークを活かした、対面販売のスキルの強化を目指す。SBIは「ネットとリアルの融合」を目指し、対面での資産運用相談および、金融商品の販売を行うマネープラザを全国に設置してきた。しかし、長年に渡り対面営業を行ってきた大手金融機関には及ばない。今回の提携により、顧客とのリアルな関係を重視した、営業力向上が期待されるだろう。

■今回の提携は、金融業界の再編につながるか

 これまで、対面販売を行う従来型の金融機関と、ネット販売型の金融機関は、それぞれの特徴を活かした棲み分けを行ってきた。具体的には、従来型は細やかな資産運用相談およびサポートの充実、ネット型は安い手数料と利便性だ。

 そのうえで、これまでに培ってきたお互いの強みを融合させ、顧客満足度と収益のさらなる向上を目指すのが、今回の提携である。うまくいけば、大手金融機関とネット型金融機関の再編が広がる可能性も十分にあるだろう。(記事:yamamoto・記事一覧を見る

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