拡大するインパクト投資 社会と環境への取り組みが企業価値を高める時代へ

2020年4月14日 07:55

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 10日、GSG(Global Steering Group for Impact Investment)国内諮問委員会が、「日本におけるインパクト投資の現状2019」を公開した。レポートによると、2017年に718億円だったインパクト投資の投資残高が、2019年には4,480億円以上に増加したという。

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 インパクト投資は、財務的なリターンと並行して社会的・環境的なリターンも目指す投資方法だ。近年、インパクト投資が広がりを見せているのはなぜなのか。今後の展望と併せて考えたい。

■インパクト投資が広がった背景

 インパクト投資が広がった背景には、2015年に開催された国連サミットでの「SDGs」の採択がある。SDGsとは、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包括性がある社会の実現のため、2023年を年限とする17の国際目標だ。この、国際目標を達成する手段のひとつとして、インパクト投資が注目されるようになったのである。

■教育や健康分野で活発

 インパクト投資における投資先として最も多かったのは、「質の高い教育」分野であり、回答者の75%を占めた。次に多くの回答を集めたのが「健康・医療」分野で、65%以上を超えている。また、「女性活躍促進」および「IT・先端技術」分野は、ともに60%近い回答を得た。

■メリットは?

 インパクト投資における最大のメリットは、投資を通じて社会や環境への貢献ができる点だ。利益のみを追求した投資をした場合、社会的に不適切もしくは、環境保全に問題がある企業が投資先となることもあるだろう。そのような投資を続けていると、健全な社会を構築・維持できなくなる可能性がある。

 一方、インパクト投資では、自分たちが生活する社会や環境をよりよいものにするための活動に対し、投資することができる。貧困やジェンダー、環境破壊、教育格差などさまざまな問題が顕著化する現在、インパクト投資で得られる社会的リターンは大きな魅力だといえるだろう。

■最多の手法は債券

 インパクト投資を行う手法において最多だったのは、融資・公社債以外の債券であり、回答の50%を占めた。また、上場株式および非上場株式もそれぞれ40%を超える回答を得ており、広く用いられていることがわかる。そのほか、インパクト投資を運用方針とした投資信託への投資なども、手法のひとつとして挙げられる。

■今後も成長が期待される

 インパクト投資は、今後さらなる成長が期待される。それは、社会的な貢献が政治的にも重視されているからだ。

 2019年に開催されたG20大阪サミットでは、安倍晋三首相が「地球規模課題の解決に必要な資金確保のため、社会的インパクト投資や、休眠預金を含む多様で革新的な資金調達の在り方を検討し、国際的議論の先頭に立つ考えがあること」を明言した。また国内では、内閣府による地方創生SDGs金融の推進も検討されている。

 このような政策的な展開をみても、インパクト投資のさらなる拡大と成長が期待できるだろう。それに伴い、社会的問題に取り組む積極的な姿勢が、企業の価値を高めることになりそうだ。(記事:yamamoto・記事一覧を見る

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