電子を捕獲するネオンが超新星爆発を引き起こす 東大の研究

2020年4月3日 07:50

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1054年の超新星爆発 SN1054 の超新星残骸である「カニ星雲」の写真。野本氏らが1982年に発表した論文では、SN1054は太陽の約9倍の質量の星が、電子捕獲を引き起こしたことで生じた超新星爆発であることを示唆しているが、今回の研究結果は、この特徴をシミュレーションからでも説明できることを示唆する。(c) NASA、ESA、J. DePasquale (STScI)、and R. Hurt (Caltech/IPAC)

1054年の超新星爆発 SN1054 の超新星残骸である「カニ星雲」の写真。野本氏らが1982年に発表した論文では、SN1054は太陽の約9倍の質量の星が、電子捕獲を引き起こしたことで生じた超新星爆発であることを示唆しているが、今回の研究結果は、この特徴をシミュレーションからでも説明できることを示唆する。(c) NASA、ESA、J. DePasquale (STScI)、and R. Hurt (Caltech/IPAC)[写真拡大]

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 東京大学の野本上級科学研究員をリーダーとする研究チームは、超新星の重力崩壊過程についてシミュレーションを行い、電子を捕獲するネオンが超新星爆発を引き起こすことを確認した。

【こちらも】宇宙初期の星々はジェット状の超新星爆発を起こした 東大などの国際研究

■恒星の進化と超新星爆発

 恒星を構成する元素は、水素が大部分を占め、その核融合反応エネルギーで輝いている。恒星の中心部で水素が使われると、ヘリウムが中心部にたまることでヘリウム中心核ができる。水素の核融合反応がヘリウム中心核の外側で起こるようになると、ヘリウム中心核は熱源を失い自重で収縮する。

 太陽程度の質量の星では、やがてヘリウムが核融合反応を起こすようになり、炭素や酸素がつくられ
 大量のエネルギーを放出する。その終末期には外層が流れ出て、高温の中心部が白色矮星として残る。

 太陽の8倍以上の重い星の場合は、中心温度がさらに高くなり、ヘリウムの灰である炭素や酸素がさらに
 核融合反応を起こし、ネオン、マグネシウム、ケイ素や鉄が次々と生成される。

 中心部の鉄は核融合反応を起こさないため、密度がある限界を超えると重力で潰れて中性子星になる。中心部の半径は1000キロメートルから一瞬で数十キロメートルまで収縮し、この反動で外層部は吹き飛ばされる。これが超新星爆発である。

■今回の研究

 研究グループは、太陽の8.4倍の質量を持つ星について、中心核がどのように進化するかシミュレーションを行った。シミュレーションでは電子捕獲率が密度と温度に依存するように設定した。

 終末期の星の内部では重力が中心に向かって恒星を収縮させるように働くが、その重力に対抗して外向きに働く圧力が存在する。この圧力を担っているのが、電子の運動エネルギーである。このように終末期の大質量星は大量にある電子のエネルギーによって重力とのパランスを保っている。

 今回のシミュレーションでは、中心核の質量が一定の値を超えると、ネオンやマグネシウムが電子を取り込むことでこのバランスが崩れ、重力によってコアが崩壊し中性子星となることを示した。

 本研究成果は、天体物理学専門誌アストロフィジカル・ジャーナルに2019年11月15日付で掲載された。(記事:創造情報研究所・記事一覧を見る

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