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ソフトバンクGと孫会長の天国と地獄 (8) ソフトバンクG株が大幅下落!
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ソフトバンクグループ(SBG)が激しい株価の値動きに翻弄されている。2月12日に5751円だった終値が、3月12日には3964円になった。僅か1カ月足らずの間に31%を超える急激な株価の縮小だ。
【前回は】ソフトバンクGと孫会長の天国と地獄 (7) ”株主価値”を信じたら天国か?
直近の6日と9日の2日間は817円の下落となった。10日の開始直後には4120円までの落ち込みとなり、大台割れの気配すら漂った。その後も上下に振幅の激しい動きを見せたものの、終値は104円の上昇となり3日連続の下落は回避した。だが、その後日経平均が全体的に大きく値を下げる中で、12日にはついに4000円を割り込んだ。
大幅下落の要因は、先の見えない新型コロナウイルスの感染拡大で冷え込んでいた投資家心理に、OPECプラス(OPEC=石油輸出国機構とロシアなど非加盟の主要産油国の枠組み)での原油の減産合意が成立しなかったことが不安を増幅して、世界の株式市場に変調をもたらしたと見られる。産油国が協調して減産を継続することで原油価格が維持されるはずだったが、当てが外れたサウジアラビア(サウジ)が増産に向かったことで原油価格が大幅な下落となった。
原油価格との連動性が高いと見られている、サウジの国営石油会社サウジアラムコの株価が、19年12月の新規株式公開(IPO)価格である32リヤルを下回ったのは渦中の8日だ。
サウジが目論む脱石油立国は、サウジアラムコ株が順調に市場で消化されることが大前提だ。サウジアラムコの下落で当てが外れたサウジが、資金調達のためにソフトバンク・ヴィジョン・ファンド(SVF)から資金を引きあげるのではないかと連想した投資家が、SBG株の売却に走ったというストーリーが語られている。
サウジの政府系ファンドであるパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)の出資額450億ドル(5兆円弱)は、SVFの1号ファンドのおよそ半分を占めており、共同出資者としてアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ系ファンドも参加している。
サウジアラムコのIPOで強気を押し通し、優遇金利で株式取得資金の貸出しを行い、一定期間以上保有した投資家にはボーナス株を付与するなどの政策を総動員して、市場の評価を超える高値で新規上場を達成したサウジは、背伸びをしたが故のもろさをもサウジアラムコに植え付けてしまった。
確かにPIFが資金を引きあげることになれば、SBGにとっては悪夢以外の何物でもない。SVFはおよそ10兆円といわれるファンドの8割程を既に投資している。ファンドの大方が将来のIPO狙いで投資した流動性のない未上場株式に変わっている以上、SVFにはPIFへの返済に振り向けるような資金的余裕は何処にもない。
未上場株式を資金調達のために相対で売却しようとすると、足元を見られて買い叩かれるのが落ちだ。それどころか、市場が冷え込んでいる時期に、ウーバーやウィーワークのようなマイナスの話題で、市場を賑わした銘柄の買収を検討する物好きな投資家はそもそも存在しない。(続く)(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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