史上初、金星大気の気温分布を測定 東大

2020年3月1日 07:22

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雲に覆われた金星大気の温度を観測する仕組み(写真:東京大学の発表資料より)

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 東京大学は2月27日、金星下層から中間圏における気温分布や大気安定度の測定に、史上初めて成功したと発表した。

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■地球と似て非なる金星

 金星と地球とは質量や大きさが似ている一方、大気環境は全く異なる。地球大気の大半が窒素や酸素であるのに対し、金星大気の主成分は二酸化炭素だ。また気温は460度、気圧は90気圧という、高温高圧な環境を金星地表面はもつ。濃い硫酸から構成される雲が全球を覆っている点も、金星特有の特徴といえる。

 金星の観測はこれまで、地上の大型望遠鏡や人工衛星等を活用し実施されてきた。だが金星は分厚い雲で覆われているため、雲のある層から下の大気構造の観測が困難だった。

■ドップラー効果を応用して金星大気を観測

 東京大学の研究グループは、あかつきやVenus Express等の金星探査機を活用し、高度40キロメートルから85キロメートルにかけての大気における気温分布を、全球面に渡って観測した。ドップラー効果を応用した電波掩蔽(えんぺい)観測という手法により、高精度かつ高分解能で金星の気温の高度分布が測定可能になった。同手法による観測はこれまでも行われてきたが、金星全球に渡りデータを取得できたのは、史上初めてのことだという。

 観測の結果、高度60キロメートルより下では緯度が大きくなるにつれ温度が下がるのに対し、上では反対の傾向がみられることが判明。また「Cold collar」と呼ばれる局所的に冷たい領域が、緯度65度付近に存在することも明らかになった。

 研究グループは気温分布から大気の安定度を求めたところ、緯度70度を境に大気の安定する領域に違いが出ることが判明した。赤道側では高度50キロメートルから55キロメートルにかけて大気の不安定な領域が存在した。それに対し極側では、大気の不安定な領域が雲層の下まで及んでいることが明らかになった。

 本研究成果が、金星の大気循環モデル構築に貢献するだろうと研究グループは期待を寄せている。また、金星を覆う雲のメカニズム理解にも役立つだろうとしている。

 研究の詳細は、国際学術誌Scientific Reportsに26日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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