金星が火山活動を現在も継続する証拠を発見 米研究機関

2020年1月7日 19:00

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金星上にそびえる活火山と思われる存在を赤外線で撮像 (c) NASA

金星上にそびえる活火山と思われる存在を赤外線で撮像 (c) NASA[写真拡大]

 米大学宇宙研究協会(USRA)は3日、数年前に流れ出た溶岩と思われる存在を金星から発見したと発表した。今回の発見は、金星が現在火山活動を継続している可能性を示唆している。

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■地球以外で唯一火山活動を継続する太陽系惑星

 惑星は、木星や土星のような気体から構成される木星型惑星と、地球や火星のような岩石から成り立つ地球型惑星などに大別される。金星もまた地球型惑星に分類されるが、地球以外の惑星で現在火山活動が確認された太陽系惑星は金星だけだ。

 「金星が現在火山活動をしているならば、惑星内部をより理解するための大きな拠点となりうるだろう」と、研究を主導したUSRAのジャスティン・フィリベルト氏は語る。惑星がどのように冷却したかや、なぜ地球と金星が火山活動を続け、火星が止めてしまったのかなどが研究可能になるという。

 将来実施されるであろうミッションでは、溶岩の流れや地表の変化の可視化、火山活動の具体的な証拠が判明することが期待される。

■30年に及ぶ金星探査

 金星探査としては、1990年代初期に行われた米航空宇宙局(NASA)によるマゼラン探査機が最初だ。同探査機のレーダーにより、金星地表の地形が明らかになった。

 2000年代に入ると、欧州宇宙機関(ESA)のビーナス・エクスプレスが金星地表から放出される赤外線量を計測した。これにより、金星地表上でできたばかりの溶岩の流れの変容が特定できるようになったものの、溶岩の噴出や火山活動の期間等に関しては最近まで不明だった。

 研究グループは、金星上の鉱物の反応や時間経過による変化をみるため、実験室内で金星環境を再現。金星の大気の大半は二酸化炭素であり、地球よりも高温だ。実験室内で金星の大気を再現したところ、玄武岩内の豊富な鉱物が大気と急速に反応し、赤鉄鉱や磁鉄鉱等の酸化鉄を含む鉱物によって数週間以内で覆われることが判明した。

 さらにビーナス・エクスプレスによる観測によって、鉱物の変化はたった数年で発生することも判明。これにより、金星の溶岩の流れは非常に若く、火山活動を現在継続している可能性が示唆された。

 研究の詳細は、Science Advances誌にて3日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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