オリンパスの挑戦 (上)

2020年2月7日 21:21

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写真は、創業100年を機にリニューアルオープンした「オリンパスミュージアム」。(画像: オリンパスの発表資料より)

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 昨年12月17日付け日経電子版が、『手術支援ロボ、オリンパス参戦 独占ダビンチ特許切れで』と題する記事を配信した。「外科手術の分野に自動化の波が押し寄せている。経験豊富な医師の判断や器具の操作をAIとロボットで再現し、手術の安全性を高めるのが狙い。オリンパスや川重が開発を加速、ソニーも商機をうかがう」といった内容だ。

【こちらも】元気な精子を判別するAIを開発 オリンパスと慈恵会医大

 日経の配信から約1カ月前の10月25日、オリンパスは「内視鏡外科手術の均質化、安全性、効率性に貢献 『情報支援内視鏡外科手術のシステム開発』 日本医療開発機構の補助事業に採択」と題するニュースリリースを発信している。そこには開発システムの概要について以下が記され、詳細が説明されている。

(I)情報支援内視鏡外科手術プラットフォーム: 判断支援。
(II)自律制御内視鏡システム: 視野操作支援。
(III)自動制御置具システム: 処置具操作支援。

 そもそも「手術支援ロボット」とはどんな枠組みか。特許切れが迫ったダビンチの仕様で知ることができる。ダビンチは、1990年代に米国で開発された手術支援ロボット。99年からIntuitireSurgical社から販売された。かいつまむと、こんな機器。

★腹腔鏡手術を支援する、内視鏡下手術支援ロボット。

★患者の腹に開けた小さな穴に手術器具を取り付けたロボットアームと内視鏡を挿入。

★医師が操作ボックス(サージョンコンソロール)の内視鏡画像を見ながら操作し、例えば一定の大きさ以上のポリープや羅漢部位の切り取り(手術)をする。

★低侵襲性・効率性・確実性で安全な手術が可能。

 オリンパスには、新手術用ロボットで後塵を拝しえない理由がある。最大の要因は、循環器系内視鏡でオリンパス・富士フィルム・ペンタックスが世界市場の90%のシェアを有するが、オリンパス単体で約7割を占めている点。10月で創業100周年を迎えたが、新世紀入りのビッグプロジェクトとしなにがなんでも成功させなくてはならない。

 既に「2024年度以降の実用化を目指す」としているのも、アナリストの言葉を借りれば「自分自身を律するため。開発に向けた態勢も用意周到」。

 具体的には前記の「I」では国立がんセンター東病院(大腸外科長:伊藤雅昭氏)・大分大学医学部(教授:猪股雅史氏)・福岡工業大学情報工学部(教授:徳安達士氏)との間で、「II」では国立がんセンター東病院(同)さらに「III」では東京大学大学院工学系研究科(教授:佐久間一郎氏)と「共同開発体制」を敷いた。また国立研究開発法人日本医療研究開発機構から、最長23年度までの補助事業に採択された(補助金が出る)。

 オリンパスでは「(当方の)内視鏡には直径2-3mmほどのチャネル(トンネル)が貫通しており、ここに様々な処置具を挿入した癌・ポリープの切除や注射、止血、異物の回収が可能」としている。

 オリンパスは、負けられない戦いに勝つことができるのだろうか。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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