新パスポート、2月4日申請分から発給開始 「冨嶽三十六景」のデザイン採用

2020年2月5日 16:58

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新パスポートのデザインの一部。「江戸日本橋」。(画像: 外務省発表資料より)

新パスポートのデザインの一部。「江戸日本橋」。(画像: 外務省発表資料より)[写真拡大]

 外務省は3日、2月4日以降に申請された旅券(パスポート)に関して、「冨嶽三十六景色」のデザインが取り入れられた新型を交付することを発表した。新パスポートは偽造防止能力が高められているほか、IC内に記憶される個人情報の不正読み取り防止機能を強化するなど、安全性に配慮した高い技術が用いられている。

 世界的に知名度の高い葛飾北斎の「冨嶽三十六景」を使用することにより、日本文化の発信につなげながら、それ自体複製の困難なデザインがいっそうの偽造防止効果となることを狙う。

 新たな偽造対策を導入するため、パスポートのセキュリティ仕様は定期的に更新されている。近年の大きな変化は、2006年にICチップが取り入れられたことだ。今回のデザイン変更もセキュリティの更新に合わせた形で、基本デザインは2016年5月に発表されていた。

 当初発表時から、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせて、2019年度中の導入を目指すとされており、2018年には20年3月頃の導入を見込んでいることが公表された。新たなパスポートへの期待が高まる中、今回、2月4日から切り替えとなることが正式に発表された流れだ。

 パスポートの表紙は変わらず、中身のデザインが刷新される。「冨嶽三十六景」の各作品が見開き2ページに1作品使用され、すべてのページのデザインがそれぞれ異なる。

 10年パスポートでは24作品、5年パスポートでは16作品が採用され、巨大な波とその向こうに佇む富士山を大胆な構図で描いた傑作と名高い「神奈川沖浪裏」などが、透かしや特殊インキを取り入れながら印刷されている。

 新デザインは、5名の有識者からなる準備会合において検討された。メンバーは、元マラソン選手の有森裕子さんや俳優で旅人の関口知宏さんなど、様々な方面で活躍する著名人。正月やひな祭りといった日本の行事や、桜をはじめとした日本を代表する四季の植物など、日本的なデザインをコンセプトに複数の候補が議論され、最終的に「冨嶽三十六景」が採用された。(記事:万嶋せら・記事一覧を見る

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